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TCFD 提言に基づく開示


クボタグループは、2020年1月にTCFD*提言へ賛同を表明しました。

  • 金融安定理事会が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース
    (TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

TCFD提言

気候変動により発生するさまざまなリスクや機会は、企業の財務に大きな影響を与える可能性があります。TCFD提言とは、2017年に企業に対して「投資家向けの気候関連情報の開示フレームワーク」を示したもので、金融システムの安定化を損なうおそれがある気候変動への対応状況や事業への影響等の情報開示を推奨するものです。提言では、気候変動がもたらすリスクおよび機会の財務的影響やその対応状況など、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に関する企業の自主的な把握と情報開示を求めています。また2021年10月、温室効果ガス排出削減にコミットする企業は低炭素経済への移行計画の説明が求められるなど、TCFD提言の一部が改訂されました。クボタグループは今後も、気候変動への対応の検討を進め、開示拡充に努めていきます。
TCFD提言に関連する当社の開示状況は以下の通りです。

TCFD提言による開示推奨事項 関連箇所(TCFD開示を除く) ESGレポート2024参照
ガバナンス
a. 気候関連のリスクおよび機会についての取締役会による監督体制を記述 「環境経営推進体制」
「コーポレートガバナンス体制」
P30
P156
b. 気候関連リスクおよび機会を評価・管理するうえでの経営者の役割を記述 「環境経営推進体制」
「取締役・監査役報酬・役員報酬制度の概要」
P30
P161
戦略
a. 組織が選別した短期・中期・長期の気候関連のリスクおよび機会を記述 「環境経営のアプローチ – 環境経営におけるマテリアリティ」
「環境経営のアプローチ – リスクと機会」
P19

P20
b. 気候関連のリスクおよび機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響を記述 「環境経営のアプローチ – リスクと機会」
「環境経営のアプローチ – 重点施策」
P20
P21
c. 2°C以下のシナリオを含むさまざまな気候関連シナリオに基づく検討をふまえ、組織の戦略のレジリエンスを記述 「環境ビジョン」
「気候変動の緩和と適応」
「環境配慮製品・サービスの拡充」
P22
P32
P73
リスク管理
a. 組織が気候関連のリスクを識別・評価するプロセスを記述 「環境経営のアプローチ – 環境経営におけるマテリアリティ」 P19
b. 組織が気候関連リスクを管理するプロセスを記述 「環境経営のアプローチ – 環境経営におけるマテリアリティ」
「環境経営推進体制」
「環境配慮製品・サービスの拡充」
「内部統制システム」
「内部統制システム ‒ 内部統制ステム
の 運営活動(リスク管理活動)」
P19

P30
P73
P171
P172
c. 組織が気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセスが組織の統合的リスク管理にどのように統合されているかを記述 「環境経営推進体制」
「コーポレートガバナンス体制」
「内部統制システム」
P30
P156
P171
指標と目標
a. 組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに則して、気候関連リスクおよび機会を評価する際に用いる指標を開示 「環境保全中長期目標と実績」
「気候変動の緩和と適応 – CO2 削減対策」
「取締役・監査役報酬・役員報酬制度の概要」
P26
P32
P161
b. スコープ 1、スコープ 2、および当てはまる場合はスコープ3 の温室効果ガス(GHG)排出量と、その関連リスクを開示 「気候変動の緩和と適応 – バリューチェーンを通じたCO2 排出量」
「環境データ」
P35

P86
c. 組織が気候関連リスクおよび機会を管理するために用いる目標、および目標に対する実績を記述 「環境保全中長期目標と実績」 P26

ガバナンス

環境経営推進体制

クボタグループでは、2014 年より「環境経営戦略会議」を設置し、気候変動などの地球環境問題や事業環境をふまえた環境保全に関する中長期目標や重点施策、環境ビジョンなどの審議を行ってきました。2021 年から、クボタ独自のESG 経営を実現するため、「KESG 経営戦略会議」に移行し、グループ全体のESG 関連課題の審議を行っています。また、グループ全体の環境経営をグローバルに推進していくため、日本、中国、アジア、北米、欧州の5 地域で「環境管理担当責任者会議」を設置しています。


環境経営推進体制


KESG経営戦略会議の様子

KESG経営戦略会議の様子

環境経営推進体制
  • 環境プラントの運転やメンテナンスを事業として行っている拠点

「KESG経営戦略会議」は、代表取締役社長を委員長に、すべての社内取締役、事業本部担当役員、財務担当役員、人事担当役員、研究開発担当役員、製造担当役員、環境管理担当役員、経営企画部長などによって構成されています。環境経営については、気候変動などの地球環境問題や事業環境をふまえて、環境経営の中長期的な方向性や目標を審議し、環境負荷・環境リスクの低減や環境配慮製品の拡充などの重点施策計画を決定しています。会議の結果は取締役会や執行役員会に報告するとともに、グループ内に展開しています。また、グループ全体の環境保全活動の進捗を把握・分析し、その結果を次の計画や方針の策定に反映することでPDCAサイクルに基づいたマネジメントを実行しています。2023年のKESG経営戦略会議において、環境関連の課題を計4回審議しました。

「環境管理担当責任者会議」では、毎年、全地域でクボタグループの方針・推進事項の伝達や、環境保全中期目標に対する進捗状況の共有、省エネ対策・環境リスク対策などの事例共有、各地域における環境保全活動に関する課題解決のための討議などを行っています。
また、当社では、環境関連の社会動向や各国の規制などをふまえ、中期(5年の活動期間)・長期(15年の活動期間)視点の環境保全目標を策定しています。環境保全中期目標は5年ごともしくは達成状況などに応じて見直しを行っています。グローバル生産拠点において、個別に環境保全の中期計画を作成しています。環境管理部は、年2回、目標に対する進捗状況の確認を行っています。同様にエコプロダクツについてもエコプロダクツ認定製品売上高比率の中長期目標を設定し、進捗状況の確認を年1回行っています。計画の内容や進捗状況を執行役員会へ報告しています。

取締役会による監督と気候変動対応のパフォーマンスに関連した経営幹部の報酬への反映

「KESG経営戦略会議」で審議・報告された環境関連の施策や環境保全中長期目標などの結果は、必要に応じ取締役会および執行役員会へ報告します。当社は、事業規模と収益性に関わる業績目標の達成を促すこと、並びにK-ESG経営の取り組みを加速させることを目的に2022年より役員報酬制度を改訂しました。役員報酬の年次賞与の20%がK-ESG指標で評価され、気候変動対応は、その指標の一部に組み込まれています。ほかの指標とともに進捗状況に応じた評価を行っています。

気候関連社外活動

クボタグループの環境宣言で地球規模で持続的な発展が可能な社会の実現をめざしています。また、環境に配慮した製品・技術・サービス・企業活動を通じて、地球環境・地域環境の保全に貢献していくことを宣言しています。よって、社外活動への参画を検討する際、クボタグループが推進する気候変動への対応を含む環境保全活動について、当社環境宣言と一貫性があることを確認しています。各社外団体などの活動への参画要否は、事前の社内検討、当社環境宣言や環境基本行動指針、KESG経営戦略会議での方針などと矛盾がないことを確認したうえで、決定しています。団体の考えや方針等と齟齬が生じた場合、参画辞退を決定する場合もあります。また、グローバル各拠点が自主的に行っている地域との環境保全活動などは、年に一回実施内容を確認し、クボタグループの事業方針や環境保全活動の方針と相違ないことを確認しています。

気候変動対応の軌跡

TCFD提言への賛同を表明して以降、本ガバナンス体制において審議を行った気候変動関連の事項は下図の通りです。今後も環境経営をグローバルで推進する中で、気候変動に関する取り組みを進めていきます。

気候変動対応の軌跡

戦略

クボタグループは、2021年に、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)などの1.5°C/2°C・4°Cシナリオをふまえ、将来社会の分析を行い、2050年に向けて環境面から事業活動の方向性を示す「環境ビジョン」を策定しました。環境ビジョンでは、拠点におけるCO2 削減の取り組みなどを通じた環境負荷ゼロへの挑戦に加え、環境配慮製品・ソリューションの提供を通じて「食料・水・環境」分野におけるさまざまな社会課題解決やカーボンニュートラルでレジリエントな社会の実現に貢献することを表明しています。そのビジョンを実現していくためにも、事業活動に影響を及ぼす規制動向や技術進展、市場の変化を考慮する必要があります。また、気候変動が加速することによる物理的な変化にも着目する必要があります。そこで、1.5°C/2°C・4°Cシナリオを用いて将来想定される市場・事業環境の変化をふまえ、事業分野における気候変動による影響の分析および評価を行いました。
今後も各シナリオを用いた気候変動によるリスク・機会の分析、予測される事業活動への影響や財務インパクトの評価手法について検討を進め、さらなる開示拡充に取り組んでいきます。

シナリオ分析のプロセス

ステップ1 対象事業分野および気候シナリオの選定

シナリオ分析の時間軸

2021年に策定した環境ビジョンは、2050年ごろの社会像を分析し、2050年のカーボンニュートラル実現に貢献することを目標として設定しました。さらに、将来求められる環境面から事業の姿を構築していくために、その途中の2030年を想定した事業軸における分析を実施しました。当社は「食料・水・環境」分野で事業を展開しており、そのうち、売上高などの財務的な側面と非財務の両面から気候変動による影響が大きいと想定される「食料」(農業機械)および「水」分野の事業を対象に2021年は分析を行いました。 2022年には、さらに対象を全事業に拡大しました。


2030年の事業への影響を評価するため、利用可能な科学的根拠をふまえ、1.5°C/2°Cおよび4°Cシナリオを選定しました。

項目 前提条件
対象事業 全事業(機械および水・環境)
時間軸 気候変動による2050年ごろに想定される変化をふまえたうえで、2030年の事業への影響を分析

設定シナリオ 参照シナリオ
移行面 1.5°C/2°C
シナリオ
IEAによる「2050年ネットゼロ排出シナリオ(Net Zero Emissions by 2050 Scenario, NZE2050)」*1、「持続可能な開発シナリオ
(Sustainable Development Scenario, SDS)」*1, 2、FAOによる「持続可能追求シナリオ(Towards Sustainability Scenario, TSS)」*3
4°Cシナリオ IEAによる「現行政策延伸シナリオ(Stated Policies Scenario, STEPS)」*1, 2
FAOによる「現状維持シナリオ(Business As Usual Scenario, BAU)」*3
物理面 1.5°C/2°C・4°C
シナリオ
IPCCによる「共通社会経済経路(Shared Socio-economic Pathway, SSP)」シナリオ *4
  1. *1.出典IEA「World Energy Outlook 2023」
  2. *2.出典IEA「Energy Technology Perspective 2020」
  3. *3.出典FAO「The future of food and agriculture – Alternative pathways to 2050」
  4. *4.出典IPCC「第6 次評価報告書」

ステップ2 リスク・機会の抽出

公開されている文献やデータなどを活用し、当社事業に影響があると想定されるリスクと機会の抽出と機械および水・環境事業で想定される 2030年の世界を分析しました。気候関連シナリオはデータや知見が蓄積され、随時更新されます。当社が行うシナリオ分析の前提条件となりますので、参照文献を更新しながら、想定されるシナリオの拡充・見直しをタイムリーに行っています。

  • ステップ3 注視すべき変化の特定

    気候変動による市場・環境変化の大きさ、影響を受ける事業・地域の重要性、バリューチェーン上での影響を勘案し、将来事業を展開していくために当社が注視すべき市場・環境の変化を特定しました。

  • ステップ4 シナリオ分析の実施

    特定した注視すべき変化ごとに農業機械および水関連事業の視点で、事業への影響(リスク・機会)を評価し、それらへの対応戦略を策定しました。

リスク管理

環境保全活動におけるリスク管理

シナリオ分析で検出された重要な気候変動の物理的リスクと移行リスクへの対策は、ガバナンスパートで記載した通り、KESG経営推進体制によって取締役会の監督のもとで目標管理されています。2014年度に「環境経営戦略会議」を発足し、気候変動などの地球環境問題や事業環境をふまえた環境保全に関する中長期目標や重点施策、環境経営の中長期的な方向性の審議を行ってきました。2021年度より、環境関連の審議は社長を委員長とする「KESG経営戦略会議」に移行しました。当会議は、ESGの観点で、グループの中長期的な企業価値創出に向けた方針策定と主要な施策の検討・評価を行うことを目的としています。審議結果は、必要に応じ取締役会および執行役員会へ報告しています。

リスク・機会の特定プロセス

当社では、バリューチェーン全体(直接操業、上流・下流含む)における気候変動に関わる移行・物理的リスクおよび機会を特定するため、気候変動への対応を含む環境保全活動に関わるマテリアリティの特定を行っています。発現するリスク・機会の対象期間は短期・中期・長期的な視点で行い、特定したリスク・機会は毎年見直しを行っています。マテリアリティの特定プロセスは以下の通りです。

ステップ1)国際的な政策や外部評価指標、当社事業分野におけるグローバルトレンドなどの情報収集・分析
ステップ2)「KESG経営戦略会議」での検討や社内関係部門へのヒアリング、ESG投資機関などのステークホルダーとの対話を通じて、課題を抽出
ステップ3)ステークホルダーおよびクボタグループにとっての重要度を検討し、重要課題をマトリックス表にマッピング
ステップ4)重要度が高い課題に対する影響(リスク・機会)を抽出したうえで、重点施策を策定し、着実に推進

リスク・機会への対応の評価プロセス

当社ではリスク・機会への対応および評価のプロセスとして、環境保全中長期目標を設定し、その進捗管理を行っています。目標設定に当たり、環境保全に関する対策案や中期(3-5年の期間)・長期(5-15年の期間)の目標を「KESG経営戦略会議」で審議しています。各拠点は計画を作成し、環境管理部は毎年進捗状況の管理を行っています。「KESG経営戦略会議」では、実績と目標との差異を分析したうえで、重点施策や中長期的な取り組みの方向性を審議しています。また、各地域の状況に応じた気候変動への対応を推進していくため、5地域で「環境管理担当責任者会議」を実施し、地域に応じた課題の評価および対応を検討しています。

指標と目標

クボタグループでは、気候変動によるリスクの低減と機会の拡大をめざした環境保全中長期目標を設定し、目標達成に向けた取り組みを推進しています。また、当社グローバル拠点(生産および非生産拠点)のCO2 排出量(スコープ1, 2)および上流・下流側でのCO2 排出量(スコープ3)を算定し、経年で実績値を開示しています。主な開示データは第三者機関による保証を取得し、その精度向上に努めています。
スコープ1, 2のCO2 排出量については、グローバル拠点を対象に50%削減(2014年度比)を環境保全長期目標2030として設定し、環境ビジョンで示したカーボンニュートラルは2050年までの実現をめざします。そのために、拠点におけるエネルギー消費を削減する省エネ活動の継続、キュポラの電炉化などの燃料転換、さらに再生可能エネルギーの利用拡大などを通じ、カーボンニュートラルの実現を推進していきます。 今後も、グローバルでの環境保全活動の推進や、環境配慮製品・サービスの拡充を通じて、気候変動課題の解決につながる取り組みを推進していきます。

気候変動関連の目標と2023年度の実績
取り組み項目 管理指標 基準年度 2025 年度
目標*3
2030 年度
目標*3
実績*3
CO2 排出削減
(スコープ1, 2)
CO2 排出量*1 2014 ̶ ▲50% ▲28.0%
CO2 排出原単位*2 2014 ▲45% ▲60% ▲46.6%
再生可能エネルギー利用率*1 ̶ 20%以上 60%以上 15.9%
省エネルギー推進 エネルギー使用原単位*2 2014 ▲35% ▲40% ▲37.8%
エコプロダクツの拡充 エコプロダクツ認定製品売上高比率 ̶ 70%以上 80%以上 70.1%
  1. *1.グローバル拠点を対象とする
  2. *2.グローバル生産拠点を対象とする
  3. *3.▲は「マイナス」を示す

シナリオ分析

シナリオ分析の前提

TCFD提言におけるシナリオ分析とは、不確実性の高い気候関連問題による事業への財務影響や、将来の事業戦略に及ぼす影響を検討するために活用していくものです。気候変動による影響のシナリオ分析では、2050年に向けた人口増加や経済発展をベースに、IPCCやIEAなどが公表している1.5°C/2°C・4°Cシナリオを用いて、2030年に想定される事業への影響評価を行いました。

事業分野ごとの気候変動シナリオ分析結果

気候変動による機械事業への想定される影響(2030 年)

機械事業に関わる将来世界は、自動車の脱炭素化のように今後の規制強化が予想されており、産業機械分野においても動力源の多様化を求める動きが加速すると考えられます。今後、欧州では持続可能な経済活動のリスト化(タクソノミー)が実施され、都市部への内燃機関製品の乗り入れ規制が進み、工事などで使われる建設機械や公園整備に使われる芝刈機などの産業機械においても電動化の需要が高まると予想されます。WEOは、1.5°Cシナリオにおいて輸送分野でのオイル需要が減少し、産業分野では原料用途での利用が継続すると予想しています。同様に、産業機械は長時間の稼働が求められる工事や農作業といった充電施設などのインフラにアクセスが難しい地域での使用が想定されます。長期視点では電気や低・脱炭素燃料の利用が拡大すると考えられますが、農業機械や建設機械などの用途において、本命となる動力源は一つに絞り込むことは困難です。よって、2030年時点では一部の地域で電動化や低・脱炭素燃料の利用が進む一方で、化石燃料を使用した製品の需要も継続するため、多様な動力源のニーズに対応する製品開発が必要であると考えます。

気象条件の変化(気温上昇、降水パターンの変化、大気CO2レベルの上昇など)は、作物や地域により収量に影響を与える可能性があります。例えば、一般的に気温の上昇は作物の発育を早めますが、極端な温度や降水量の変化は収量の低下につながる可能性があります。FAOは、特に温帯地域では気候変動により収穫量に悪影響がでることを予想しています。また、気温変化に強い農作物の開発や農業技術の発展、持続可能な次世代農法の開発、農業機械の発展などが気候変化による収穫量への悪影響を緩和していくことを予想しています。よって、気象条件の変化により農作物が育つ環境にも変化が生じる可能性があり、農業の進化が求められてくると考えます。


機械事業に関する2030年頃の世界

<機械事業において考慮した変化>
考慮した変化 バリューチェーンの影響 シナリオ
調達 直接操業 製品 1.5°C/2°C 4°C
気候変動関連の規制強化等による製品設計・使用要件の変化    
脱炭素化製品・サービスを望む市場ニーズの変化    
農業における脱炭素推進による農業形態の変化    
耕作適地の変化(農業機械・農法の需要変化)      
<機械事業における分析結果>

凡例:想定されるリスク 機会の例

シナリオ シナリオ分析結果概要(市場・事業環境の変化) 評価結果(2030年) 財務インパクト*
(2030年)
1.5°C/
2°C
リスク
【技術】
気候変動関連の規制強化等による製品設計・使用要件の変化
  • 内燃機関の燃費改善の規制が今後強化される。
  • 日本、米国、欧州各国で2050年ごろのカーボンニュートラルを宣言し、特に乗用車では電動化や燃料電池車への移行が加速する。
  • 今後、農業機械や建設機械、ユーティリティビークルなど、内燃機関を使用する製品に対する新たな規制が適用されるなど、CO2 排出削減のニーズが高まり、電動化、燃料電池化、低・脱炭素燃料化(水素エンジン、合成燃料エンジン)など、動力源のニーズが多様化する。
  • 長時間の稼働やハイパワーが求められ電動化が難しい大型製品などは内燃機関搭載製品が使用される。内燃燃料には低・脱炭素燃料の利用も増加してくる。
燃費改善、多様な動力源に対応する研究開発を積極的に進め、将来の事業機会獲得につなげる必要がある
機会
【製品】
2030年時点では一部の先進地域で規制が適用されるが、脱炭素化製品の売上高への影響は限定的 小-中
機会
【市場】
脱炭素化製品・サービスを望む市場ニーズの変化
  • 建設機械や芝刈機、ユーティリティビークルにおいて、騒音低減化、給油手間の忌避や室内利用など、内燃機関搭載製品にない新たな価値を求める市場ニーズが拡大する。
  • 地域の燃料供給インフラに応じ、低・脱炭素燃料を利用した水素エンジン・ガスエンジンやハイブリッドエンジンを搭載した製品の需要が拡大する。
一部の先行市場や既存市場で電動建設機械、芝刈機、ユーティリティビークルなどを求める顧客はあるが、 2030年時点での売上高への影響は限定的 小-中
機会
【市場】
農業における脱炭素推進による農業形態の変化
  • 気候変動による影響を抑制するための農業技術発展や農地の有効利用が促進され、農作物の生産量は増加する。
  • 先進国では農業における脱炭素化も進み、持続可能な農法の普及が拡大する。
  • 新興国では農業の脱炭素化と近代化が同時に進み、スマート農業や営農ソリューション、それらを可能とするエネルギー効率の高い農業機械の需要が拡大する。
  • 不耕起栽培により土壌の炭素貯留を増加させるなど脱炭素型農業の需要が拡大する。
農業の低・脱炭素化に貢献する農業機械、スマート農業ソリューションなどの売上高増加が期待できる 中-大
4°C 機会
【レジリエンス】
耕作適地の変化(農業機械・農法の需要変化)
  • 気候変動は耕作適地の移動や農作物生産に影響を与える。
  • スマート農業機械や精密農業など、新たな農業機械・農法への移行支援や農業ソリューションの需要が拡大する。
  • 特に北米、アジア、欧州の一部地域など、より湿潤な地域における農業ソリューションの需要に変化がある。
気象変化に対応可能な農業機械、農業ソリューションの売上高増加が期待できる 中-大
対策戦略
イノベーションを通じて製品使用段階でのCO2 排出抑制に貢献していきます。
  • 今後も規制強化が予想されるエンジンの燃費改善、ハイブリッド化などの研究開発を継続強化 【取り組み1】
  • 市場のニーズに応じ、カーボンニュートラルに貢献する製品ラインアップの拡充 【取り組み2】
  • 地域のエネルギー供給状況に応じ、電動化、燃料電池化、低・脱炭素燃料化(水素エンジン、合成燃料エンジン)など、多様な動力源の実用化に向けた研究開発の加速
農業からの温室効果ガス削減や持続可能な食料生産活動を支援していきます。
  • バイオマス地域資源循環や炭素貯留など低・脱炭素農業や気象変化に対応可能な製品・サービスの研究開発を推進
  • 農業の効率化・省力化に貢献するスマート農業(農業機械自動化、 精密農業など)を可能とする農業機械やサービスの拡充と普及拡大
  • フードバリューチェーンの課題解決に貢献する植物工場など次世代作物生産を通じた持続可能な農業の構築に貢献
  • 気象変化の影響を受ける地域での営農ソリューションの具現化
  • さらなる農業の効率化や農業を通じた脱炭素化に貢献する最先端技術とICTを融合させた「クボタ営農支援システム」(クボタスマートアグリシステム、 KSAS)や「クボタIoTソリューションシステム」(クボタスマートインフラストラクチャシステム、 KSIS)、「ほ場水管理システム」(WATARAS)の利用用途の拡大  【取り組み3】
  • 損益への影響を「小」≦25 億円、25 億円<「中」≦250 億円、250 億円<「大」で示す。

<気候変動対応に貢献する取り組み例>

  • 農業の効率化・省力化に貢献する
    アグリロボトラクタ

  • 使用時のCO2排出抑制に貢献する
    電動建機・トラクタ

  • 低燃費の電子制御
    小型ディーゼルエンジン

  • 農業の効率化に貢献する
    クボタスマートアグリシステム(KSAS)

気候変動による水・環境事業への想定される影響(2030年)

水・環境事業に関わる将来世界では、製品の原材料となる鉄の製造方法の脱炭素化や炭素税の引き上げなどにより調達や製造などの各バリューチェーンで影響が顕在化すると考えます。また、人口増加や経済発展にともない鉱物資源などの利用の拡大が予想されます。社会全体で脱炭素およびサーキュラー・エコノミーの意識が高まり、新規資源の採掘を回避する循環利用が加速すると考えます。水資源についても需要の増加が見込まれますが、海面上昇による地下水の塩化、豪雨による河川の濁度上昇など水質悪化も懸念され、水資源の管理がより一層厳格に運用される可能性があります。また、4°Cシナリオ下では、日本、中国(北東部)、北米(西部)、欧州(南部)、中東・南アジアなどで水ストレスが上昇することが予想され、農業や生活用水へ影響が出てくると想定されます(下図)。IPCC第6次報告書では、気温が4°C上昇すると、北米や欧州の高緯度地域では河川氾濫の頻度の低下、中緯度や熱帯湿潤地域、モンスーン地域では頻度が高まることが予想されています。よって、資源の有効利用や気象災害に強い街づくりなど、人々の暮らしを支える社会インフラの構築が必要であると考えます。

水・環境事業に関する2030年頃の世界

<水・環境事業において考慮した変化>
考慮した変化 バリューチェーンの影響 シナリオ
調達 直接操業 製品 1.5°C/2°C 4°C
水と資源の確保・保全に向けた社会動向の変化      
気象災害に対する意識の変化      
<水・環境事業における分析結果> 

凡例:想定されるリスク 機会の例

シナリオ シナリオ分析結果概要(市場・事業環境の変化) 評価結果(2030年) 財務インパクト*
(2030年)
1.5°C/
2°C
機会
【市場】
水と資源の確保・保全に向けた社会動向の変化
  • 人口増加や経済発展が進むことでさらに水需要が増加する。
  • 気候変動の影響による水資源の逼迫や水質悪化などへの予防措置として、先進国やアジア諸国で生活・産業用水の取水・排水規制が課せられる。
  • 水不足・水質悪化を解消するためのソリューションの需要が拡大する。
上下水道のインフラ整備に関連する製品・ソリューションの売上高増加が期待できる 中-大
機会
【資源効率】
水と資源の確保・保全に向けた社会動向の変化
  • ごみや農業残さの利活用、従来活用されていなかった小水力からのエネルギー回収など、エネルギーや資源の有効利用につながるソリューションの需要が高まる。
  • 脱炭素とサーキュラー・エコノミーの両立が加速し、新規資源の採掘を回避し、資源の循環利用が増加する。
  • 都市化工事の増加や作業者の減少などにより水インフラ工事の効率化につながるソリューションの需要が拡大する。
資源・エネルギーの再生・回収や利用効率化に関するソリューションの売上高増加が期待できる 中-大
4°C 機会
【レジリエンス】
気象災害に対する意識の変化
  • 気候変動が進むことで、台風・豪雨など自然災害増加や、渇水、水質悪化など、生活環境への悪影響が想定される。
  • 自然災害激甚化への対策として、既存上下水道インフラのレジリエンス強化や老朽更新、水質改善などの需要が高まる。
  • 気候変動にともない激甚化する自然災害に対して、日本では国土強靭化に向けた水関連製品の需要が拡大する。
水インフラ強靭化、災害対策、水質改善に関連する製品・ソリューションの需要は今後も継続し、売上高増加が期待できる 小-中
対策戦略
さまざまな資源(水・エネルギー・鉱物など)の有効活用に貢献していきます。
  • 水需要の増加に応える上下水道インフラ整備への貢献
  • 水質改善に貢献する浄水・下水処理関連製品・ソリューションの提供拡大
  • 地域の資源循環の仕組みづくりに貢献する農業系残さや生活ごみ、下水汚泥などからのバイオ燃料の製造および利用促進
  • 廃家電などの都市鉱山から有用な金属を回収し廃棄物の埋め立て処分を削減し廃プラスチックをエネルギー源として利用する「ディープ・リサイクル技術」の開発推進
  • 下水汚泥から重金属やりんを回収する下水汚泥溶融システムの利用拡大による資源の有効利用を促進
  • 水道管路工事・施工管理における省エネルギー化に貢献する「スマート水道工事システム」の利用拡大を推進
気象災害に強い水インフラづくりに貢献していきます。
  • 災害に強いダクタイル鉄管や災害からの復旧対応に貢献する排水ポンプ車、災害予防に貢献する排水機場での河川水位シミュレーション・運転管理システム等、防災・災害対応製品の提供拡大
  • 水・環境プラント・機器の遠隔監視・診断・制御を支援するクボタスマートインフラストラクチャシステム(KSIS)の利用用途の拡大  【取り組み4】
  • 損益への影響を「小」≦25億円、25億円<「中」≦250億円、250億円<「大」で示す。

<気候変動対応に貢献する取り組み例>

  • 災害時にも水供給を可能とするダクタイル鉄管

  • 排水の再生処理にも活用される液中膜

  • 施設の管理・運用の省人化・効率化に貢献する
    クボタスマートインフラストラクチャシステム(KSIS)

気候変動による両事業に共通する想定される影響(2030年)

機械事業および水・環境事業に共通して、事業活動にともない発生する温室効果ガスに対する規制強化および異常気象による事業活動への影響が考えられます。気候変動は社会全体で対応が必要なグルーバルな課題であり、持続可能な事業活動を続けていくために、気候変動問題への対応は必要不可欠です。パリ協定の目標達成に向けて各国でカーボンニュートラル宣言を発表しています。この動きを受け、炭素税の導入や炭素国境調整措置など、温室効果ガスの排出やエネルギー使用に関係する規制強化が広がりを見せています。また、投資家や市場においても脱炭素に向けた取り組みを企業に求める動きも加速すると考えられます。EU ETSの炭素価格は2023年にUSD109(World Bank 、2023)となり、今後さらに温室効果ガスへの排出規制が強化されると、企業への負担はますます増加することが予想されます。よって、当社は事業活動に関わる気候関連の規制やコスト増加リスクへの対応を進め、競争力を維持していく必要があります。
クボタグループは、120ヵ国以上で事業を展開しており、サプライヤーや当社生産拠点もグローバルに展開しています。特に4°Cシナリオにおいては気候条件の変化(気温上昇、降水パターンの変化、大気CO2レベルの上昇など)により、風水害が増加する可能性があります。これは自社のみに影響するものではなく、当社事業に関わりがあるサプライヤーなども同様です。当社は「食料・水・環境」分野で事業を展開しており、人々の暮らしを支える製品・サービスを提供しています。よって、気象災害などが発生しても製品・サービスの供給を停止させない気候変動にレジリエントな事業体制の構築も必要であると考えています。

<事業共通で考慮した変化>
考慮した変化 バリューチェーンの影響 シナリオ
調達 直接操業 製品 1.5°C/2°C 4°C
社会が企業に求める脱炭素化対応の変化
異常気象増加による自社・サプライヤーへの影響
<事業共通の分析結果>

凡例:想定されるリスク 機会の例

シナリオ シナリオ分析結果概要(市場・事業環境の変化) 評価結果(2030年) 財務インパクト*1
(2030年)
1.5°C/
2°C
リスク
【規制】
社会が企業に求める脱炭素化対応の変化
  • 炭素価格制度・炭素国境調整措置が導入されるなど、各国で製品ライフサイクルを通じた脱炭素要求が高まる。
  • 脱炭素化に向けた規制や取り組みが加速し、炭素税導入や再エネの利用促進が加速し、エネルギー価格が上昇する。
  • 炭素税導入により化石燃料、排出するCO2 に対する課税が強化される。
  • 各国の省エネルギー規制強化によりエネルギーコストや省エネ対策費の増加が想定される。
脱炭素化や省エネに対応する設備投資やエネルギー価格、原材料価格上昇により製造コストが増加する
省エネ・CO2 排出抑制対応などによる排出削減目標達成時に想定される炭素税の負担が発生する
(約25憶円*2
4°C リスク
【物理的】
異常気象増加による自社・サプライヤーへの影響
  • 豪雨や洪水などの気象災害が激甚化・高頻度化する。
  • 自社拠点やサプライヤーでの事業活動に悪影響を及ぼすことが想定される。
  • 原材料調達遅延により、生産・販売活動に影響を及ぼす。
気象災害による災害損失が発生する可能性がある
(約30-60億円*3
気象災害による悪影響を回避するBCP 対策費が増加する可能性がある
対策戦略
事業活動から発生するCO2 排出抑制に努めていきます。
  • 拠点における省エネ、高効率設備導入、電炉化・燃料転換、LED 照明の導入、再エネの利用拡大に向けた取り組みの推進  【取り組み5】
自拠点・サプライヤーにおける気候変動リスク対策を強化していきます。
  • ハザードマップを活用した豪雨・浸水・暴風によるリスクが高い拠点の特定と建設物の補強や電気設備への浸水対策の計画的な推進
  • 調達ルートの多様化を図るなど、部材調達の分散化
  • 事業継続計画(BCP)に基づく気象災害に強いモノづくり体制の構築
  1. *1.損益への影響を「小」≦25 億円、25 億円<「中」≦250 億円、250 億円<「大」で示す。
  2. *2.2030年時点の予想される炭素税を乗じて試算
  3. *3.過去発生した気象災害にともなう損失を参考に試算

低炭素経済への移行計画

気候変動にともなうシナリオ分析を通じて、事業への影響を抽出し対応戦略の検討を行いました。特に気候変動にともない、食料生産や生活に重要な水資源には大きな影響があると考えます。クボタグループの環境ビジョンでは、カーボンニュートラルでレジリエントな社会の構築に貢献することをめざしています。ビジョン実現を通じてこれら社会課題解決につなげていくための移行計画(ロードマップ)を策定しました。


<TCFD提言に基づく移行計画の開示>

移行計画において考慮する要素
クボタの状況
ガバナンス 承認、監督、説明責任、
報告、レビュー
KESG経営戦略会議で報告・レビューを実施
透明性 統合報告書、ESGレポートなどを通じ、進捗状況や新たな取り組みなどを報告
インセンティブ ESGの推進に対する評価を役員報酬に反映(ESGレポート2024 P160を参照)
保証 環境保全中長期目標、エネルギー使用量、CO2 排出量の実績値は第三者保証の対象
戦略 整合性 K-ESG経営のマテリアリティとして「気候変動の緩和と適応」を特定
シナリオ分析 1.5°C/2°Cおよび4°Cシナリオ分析の結果、環境ビジョンの背景を開示
仮説 社会全体のメガトレンドとして人口増加、経済発展、都市化が進む
優先する機会 気候変動にともなう農業や水資源への社会課題解決に貢献する製品・ソリューションの提供
行動計画 短中長期視点のロードマップを策定
財務計画 気候変動対応に関連する設備投資、研究開発費を中期経営計画2025に含む
リスクマネジメント リスクの説明 機械事業、水・環境事業における1.5°C/2°C 、4°Cシナリオにおけるリスクを抽出
計画の課題と不確実性 現時点の検討可能な情報などに基づいているため、今後の技術開発や市場動向などにより大きく異なる可能性がある
指標と目標 指標、目標、日付 ESGレポート2024(P25-27, P40)参照
方法論 SBT認定レベルのスコープ1,2 CO2 排出削減目標を設定
GHG排出削減量 スコープ3および社会のGHG 排出抑制における排出削減は検討中

移行計画

TCFD提言では、移行計画を、「組織の全体的な事業戦略の一側面であり、GHG 排出量の削減など、低炭素経済への移行を支援する一連の目標と行動」と定義しています。投資家などのTCFD 関連情報の使用者は、低炭素経済への移行にともない、企業がどのように気候関連リスクを低減し事業機会を増やそうとしているのかに関心をもっています。2021 年10月にTCFD 提言が改訂され、移行計画の開示ガイダンスを公表しました。
TCFDの詳細は以下サイトをご参照ください。
www.fsb-tcfd.org/

<農業分野におけるクボタがめざすカーボンニュートラル・循環型社会>

当社の製品・サービスを通じた農業分野におけるカーボンニュートラルと資源循環への貢献を示しています。

<農業分野におけるクボタがめざすカーボンニュートラル・循環型社会>

<カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ>

気候関連シナリオ分析で想定した2030年時点では、一部の地域で電動化や低・脱炭素燃料の利用が進むと考えています。しかし、当社が提供する農業機械や建設機械などの産業用機械は、継続して内燃機関を搭載した製品需要も継続すると考えます。低炭素経済を実現させていくためには、当社がカーボンニュートラルが求められる時代に合わせた製品の技術的な可能性を示しつつ、お客様のニーズ拡大や社会インフラの整備が不可欠です。

私たちは、2030年以降のカーボンニュートラルの時代の動力源は多くの選択肢があり、全方位で対策をしなければならないと考えています。以下は気候変動対応を示した移行計画です。

上記は現時点の検討可能な情報などに基づくものです。今後の技術開発や市場動向などにより大きく異なる可能性があります。

  1. *1.コンパクト電動トラクタ:www.kubota.co.jp/news/2022/newproduct-20220905.html
  2. *2.電動ミニバックホー:www.kubota.co.jp/news/2023/management-20231218.html
  3. *3.水素エンジン:www.kubota.co.jp/news/2022/management-20220928.html
  4. *4.マイクロハイブリッドエンジン:global.engine.kubota.co.jp/ja/technology/microhybrid/
  5. *5.農業ソリューション:www.kubota.co.jp/innovation/smartagri/
  6. *6.ほ場水管理システム:agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/wataras/
  7. *7.農業系バイオマスを利用した地域資源循環システム:www.kubota.co.jp/news/2022/management-20220405.html
  8. *8.CO2削減プロジェクトのJ-クレジット認証取得:www.kubota.co.jp/news/2022/management-20221226.html
  9. *9.スマート水道工事:www.kubota.co.jp/product/ironpipe/products/technology/innovation/
  10. *10.水環境プラント・機器向けIoTソリューション:www.kubota.co.jp/product/ksis/
  • 事業所におけるカーボンニュートラルに向けた取り組み

    クボタグループは2050年CO2排出実質ゼロを挑戦的な目標と定めています。この目標達成に向け、計画的な環境負荷削減を進めるため、2030年にスコープ1,2CO2排出量の50%削減(2014年度比)の目標を掲げています。目標達成に向けた取り組みは、今後予想される化石燃料使用に対する炭素税や国境炭素調整税の導入・強化や再生可能エネルギーの導入義務化、エネルギー価格の上昇などのリスク低減につながります。当社では、グローバル拠点で省エネルギー対策(エネルギー効率の高い設備への切り替え、適切な運転管理によるエネルギーのムダ取りなど)、溶解炉の電炉化、再生可能エネルギーの利用拡大などを計画的に進めています。

    1. *1.買収企業のCO2 排出量を買収以前に遡り補正。無補正値は71.4、 61.3、58.5 万t-CO2
    2. *2.移行計画検討時に省エネや電炉化などの設備投資増加分として算定した金額であり見直す可能性があります。

カーボンニュートラル関連対応を含む環境保全に関する研究開発コスト

製品環境負荷低減や環境保全装置などの研究開発コスト

(単位:百万円)

  2022年度 2023年度
投資額 費用額 投資額 費用額
機械部門 822 6,124 641 8,990
水・環境部門 948 3,341 641 3,432
共通部門 467 1,414 854 2,811
合計 2,237 10,879 2,136 15,233

気候変動対応のレジリエンス評価

想定されるリスクへの対応および事業機会獲得に向けた移行計画を着実に推進しており、機械事業、水・環境事業、および両事業に共通するシナリオ分析の結果、いずれのシナリオにおいても事業の継続が可能であると考えています。気候関連規制、社会インフラの構築、市場、技術発展など、社会全体の変化に柔軟にかつ率先して対応していくことで、当社は、カーボンニュートラルが求められる経済活動に向けた移行において、レジリエンスを有していると考えています。今後も、事業を通じ、気候変動問題の解決に貢献する製品・サービスを提供し、脱炭素が達成できる社会をめざしていきます。

クボタの取り組み

将来予想される人口増加や経済発展は私たちの事業にとって大きな機会となります。しかし、世界が現在と同じような経済活動を続けていくと、地球全体の自浄力や環境容量を超える負荷を与える可能性があり、事業活動を継続していくうえでのリスクとなりえます。私たちは、事業活動や製品・サービス・ソリューションの提供などを通じ、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

自社のCO2排出抑制

中国工場の屋根に設置した太陽光発電システム

スコープ1、2*1排出量の削減

クボタグループは、生産拠点を中心に自社拠点からのCO2 排出抑制のために、省エネルギー対策や生産性向上活動を継続して実施しています。引き続きこれらに注力するとともに、鋳物工場の溶解工程で使用している石炭コークスの使用を廃止し、電気炉に変更するなど、CO2 排出の少ない燃料への転換を進めています。さらに、太陽光発電システムの導入やグリーン電力などの購入を通じて、再生可能エネルギーの利用拡大を図っています。同時に、生産拠点の再編や移転の際には、環境負荷が少ない生産方式を採用するなど、生産革新による省エネルギー化や省資源化にも挑戦します。

スコープ3*2排出量の抑制

クボタグループのスコープ3排出量のうち、8割以上が販売した製品の使用時の排出によるものです。したがって、私たちは農業機械や建設機械の作業燃費を改善し、より少ないエネルギーで、より多くの作業をより精密に行うことができる製品の開発を進めることが排出抑制に直結します。
農業機械のロボット化やICTの活用により、スマート農業を推進することで、農作業の軽労化だけでなく、省エネルギー化や省資源化にも貢献していきます。現在は軽油やガソリンといった化石燃料が中心ですが、バイオ燃料や合成燃料(e-fuel)など、よりCO2 排出が少ない燃料の活用を進めていきます。さらに、電動・ハイブリッド化や燃料電池化など、動力の脱炭素化に向けた研究開発に挑戦しています。
また、製品の輸送時の排出削減対策として、製品の積み合わせ輸送や他社とのコンテナ共同利用などの積載効率向上やモーダルシフトにも取り組んでいます。

  • コンセプトマシン「New Agri Concept」

  • 電動建設機械と電動トラクタ

  1. *1.スコープ1:事業者自らによる直接排出
    スコープ2:事業者のエネルギー使用にともなう間接排出
  2. *2.スコープ3:その他の間接排出(事業者の活動に関連する他者や客先での排出)

社会のGHG 排出抑制やレジリエントな社会の実現への貢献

食料分野における環境貢献

農業を含む食料分野において、クボタグループはスマート農業のさらなる進化によって、単位面積当たりの収量拡大や作物の品質向上に取り組んでいます。これには食料需要が増加しても耕地面積を増やすことなく収量を増加させるという狙いがあります。作業効率の改善や適切な肥料・農薬の散布などの農作業の省エネルギー・省資源に加え、農地拡大のための森林伐採や自然破壊の抑制などに貢献していきます。
ほかにも、ほ場水管理システムWATARAS(ワタラス)は水田の水位などをモニタリングしながら、遠隔操作や自動制御による水田への給水・排水を可能にしています。また、豪雨により河川が氾濫する危険があるときに、遠隔操作で排水する水位の設定を上げることで、一時的に田んぼに雨水をためる「スマート田んぼダム」の実証が行われています。これは洪水を防ぎ、水害に対する地域のレジリエンスを高める方法の一つとして期待されています。
今後は、農作物の生産から食品流通、消費に至るフードバリューチェーンのデータ連携基盤を構築し、AIを活用した自動管理システムを提供することを検討しています。これにより需要動向が「見える化」され、需要に応じた生産・販売を行うマーケットイン型の農業への移行を促すとともに、鮮度の高い安全・安心な農作物を消費者に届けることで、フードロスの削減にもつなげていきます。

  • グローバル市場で活躍するトラクタ

  • クボタスマートアグリシステムの操作画面

  • ほ場水管理システムWATARAS

水・廃棄物分野における環境貢献

クボタグループは、上下水道用の配管材料から水処理プラントのエンジニアリングに至る水の総合メーカーとして水インフラを支えています。それらの技術を活用し、下水処理場で発生する下水汚泥や農業および食品工場で発生する食品残さなどの廃棄物を発酵させてバイオガスを取り出し、エネルギー資源としての再利用やバイオガス発電などの資源回収ソリューションを提供しています。また、都市鉱山とも呼ばれる廃棄物から金属やプラスチックなどの資源を回収するための破砕・選別技術やごみ焼却残さの再利用を可能とする溶融技術の提供を通じて、バージン資源の採掘抑制によるCO2 排出削減に貢献しながらサーキュラー・エコノミーの実現にも貢献する取り組みを展開しています。
社会の温室効果ガス排出抑制の一例として、クボタグループが納入したごみ焼却・溶融プラント(長野広域連合/ちくま環境エネルギーセンター)において、ごみが燃焼する際に発生する熱エネルギーを利用した「ごみ発電」のCO2 排出抑制量は約5,100t-CO2/年です。

都市・生活環境分野における環境貢献

クボタグループは、水環境インフラ事業および建設機械事業をもつ強みを生かし、建設工事現場での省エネルギーと作業効率改善を図っています。その一例として、管路情報に基づいた最適な工事を行うスマート水道工事システムを提供しています。
また、農業機械・建設機械の故障診断アプリを利用してメンテナンスの効率化を図り、故障した機械の停止時間(ダウンタイム)削減に貢献しています。
今後は、街中での建設工事などの工期短縮や省力化に貢献する地下配管情報などを集約したプラットフォーム構築や地下インフラの延命・更新に向けたソリューション提供なども検討し、建設工事分野における省エネルギーにも貢献していきます。
さらに、プラント情報やセンサを活用した上下水道施設・河川洪水の監視・管理プラットフォームの整備により、上下水道などの都市インフラの災害に対するレジリエンスを高めていきます。また、それらのプラントや施設を最適な条件で運転することにより、省エネルギーにも貢献します。

  • プラスチック破砕選別施設

  • 残さや灰を液状化・スラグ化し、資源としての再利用を可能とする回転式表面溶融炉

  • 農業機械・建設機械の故障診断アプリ

【取り組み1】エンジンソリューションでカーボンニュートラルに貢献

開発中の水素エンジン

当社が提供する農業機械や建設機械、発電機などに搭載されるエンジンは、激しい負荷のかかる作業に使用されることが多いため、耐久性が求められます。内燃エンジンはそのような環境下で使用されることに適していることから、今後も農業機械や建設機械の動力源として活用されることが予想されます。しかしながら、社会のカーボンニュートラル化のニーズも高まり、求められる産業用エンジンは多様化しています。

クボタグループは、このような産業界の課題解決に貢献していくため3つのソリューションを提供していきます。「ピュアエンジン」ソリューションはエンジンの燃焼効率向上を図り、エンジン使用にともなうCO2 排出量の削減に貢献していきます。「ハイブリッド」ソリューションは電動モーターを活用し、エンジンのダウンサイジングが可能となり、排気ガスの量を減らすことができます。「フューエル」ソリューションの水素や天然ガス、エタノールなどの代替燃料を使用できるエンジンを提供することで、CO2 排出量の削減に貢献していきます。クボタグループでは、これらエンジンソリューションを提供し、カーボンニュートラルの実現に挑戦しています。

  • ピュアエンジン」ソリューション

    燃焼効率改善によりCO2排出を軽減

  • 「ハイブリッド」ソリューション

    モーターで出力を補うことでエンジンをダウンサイジング、低燃費化

  • プラスチック破砕選別施設

    水素や天然ガス、エタノールなどの低・脱炭素燃料への対応

エンジンソリューションの詳細
global.engine.kubota.co.jp/ja/sustainability/carbon-neutrality/

【取り組み2】 電動製品

電動ミニバックホー

電動ミニバックホーKX038-4eを2024年春、欧州市場に投入します。欧州は環境対応の先進地域であり、環境性能の高い製品に対するニーズの高まりが顕在化しています。本機種はモーターの回転数を調整するEcoモードを実装するなど、省エネ機能を盛り込むことで、4時間の連続稼働時間を確保しています。これによりミニバックホーの主要用途の一つである都市部の配管工事などにおいて、途中で充電することなく1日分の工事作業を行うことが可能です。
本機種は現地の販売会社を通じて、レンタル契約でエンドユーザーに製品供給します。本機種を通じて、使用に際しての課題など知見を深めながら、環境配慮製品のさらなるラインアップ拡充を進めていきます。

電動トラクタ

2023年より、欧州の一部地域でコンパクト電動トラクタの長期有償レンタルを開始しました。本製品には、トラクタの電動化の大きな課題である連続稼働時間の確保のため、 1時間の急速充電で平均3 ~4時間の連続稼働が可能な大容量バッテリーを搭載しました。午前中の作業で消費したバッテリーを昼休みに急速充電することにより、午後の作業も可能となります。

また、本製品は社外からも多くの表彰を受賞し、2023年度のスーパーエコプロダクツに認定されました。

  • 電動ミニバックホー

  • 電動トラクタ

【取り組み3】 水稲の中干し延長によるGHG排出抑制に貢献するクボタの技術

クボタグループは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた施策の一つとして、農業などの社会活動から発生する温室効果ガスの排出抑制に向けたソリューションの提供を進めています。世界全体では農業から発生するメタンは1.5億t-CO2といわれ、日本の稲作から発生するメタンは約1200万t-CO2と試算されています。農業は気候変動の影響を受けやすく、気温上昇や降雨量の変化は農作物の収量に影響を与えると考えられます。今後、人口増加や経済発展にともない食料需要は増加すると予想され、農業から発生する温室効果ガス(GHG)の抑制が必要であると考えています。
当社は、J-クレジット制度の「水稲栽培における中干し期間の延長」を活用し、農業生産者がメタンの排出を抑制し、削減した温室効果ガス量をクレジット化できるサービスを提供しています。2023年6月にJ-クレジット制度へプロジェクト登録のうえで生産者と取り組みを開始し、2024年3月に約1700t-CO2がクレジットとして認証されました。また、J-クレジット制度の利用促進のため、J-クレジット創出プロジェクトの運営・管理を行う「クボタ大地のいぶき」を設立しました。
当社の営農支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」やほ場水管理システム「WATARAS(ワタラス)」を活用すれば、プロジェクト参画者の負担を軽減し、温室効果ガス削減に貢献することができます。また、農業生産者は、温室効果ガスの排出抑制とともに、クレジット創出による収益を得ることができます。
当社は今後も農作物の生産と環境負荷低減が両立できるように、温室効果ガスの排出抑制につながるサービスをさらに拡大していきます。

中干し延長を可能とするクボタの水管理システム WATARAS

WATARASは、ICTの活用により、水田の水管理をスマホ等で遠隔監視したり自動で給排水制御することができます。事前にほ場の水位を設定しておくことで、WATARASの水位計により、ほ場に行かなくても水位を一定に維持することが可能です。スケジュール機能を利用すれば、簡単に中干し期間を含む水管理内容を設定することができます。これら機能により水管理に要する労力や用水量を削減することが可能です。

  • 中干し期間の延長

中干しとは、稲の根腐れ防止や過剰な分げつ抑制など、稲の成長を調整するため、期間中に、水田の水を抜いて、土を乾燥させる作業です。この期間を慣行より1週間延長することで、土壌に酸素を取り込み、メタン生成菌の活動を抑え、メタン発生量を約3割削減することができます。

クボタが提供する「クボタ J-クレジット支援サービス 大地のいぶき」の詳細
agriculture.kubota.co.jp/service/j-credit/

【取り組み4】ICTの活用で水資源の有効活用に貢献

世界的に人口増加や経済発展が進むことで水資源の需要は今後さらに増加すると予想されます。水は農作物生産に不可欠であり、農業での過剰な利用は水資源の減少にもつながります。人々の生活環境においても社会全体で水を利用し続けていくためにも有効利用が不可欠です。一方で、日本国内では人口減少に伴う上下水道利用料収入減や水環境インフラ維持管理の人材不足も重なり、今後ますます効率的な管理・運営が求められています。

クボタグループは、パイプ、ポンプ、 バルブの製造や上下水プラントの建設・維持管理を提供してきた知見をふまえ、水資源の有効利用と効率的なインフラ管理を実現するソリューションを提供しています。当社のスマートウォーターソリューションは監視、診断、制御、予測がキーとなります。水インフラ施設・設備の管理を遠隔監視により省人化し、監視データの解析により異常予兆を検知して漏水や施設停止等を未然に防ぐことで、水資源の有効活用をサポートします。また、田んぼの水位を自動制御するWATARASにより使用水量を削減でき、水需要に合わせて揚水ポンプを自動制御することで節電も期待できます。
今後もクボタならではの安全・安心な水環境インフラの構築・管理に貢献するスマートウォーターソリューションを実現し、水資源の有効活用をサポートしていきます。

  • クボタがめざすスマートウォーターソリューション

スマートウォーターソリューションの詳細
www.kubota.co.jp/innovation/smartwater/