内部統制システム
クボタグループの内部統制システムは、業務を遂行するうえで守るべきルールを明確に定め、このルール通りに業務が運営されているかチェックする仕組みです。このシステムは、ルールに基づいて業務を遂行する「業務運営」と、経営上重大なリスクを管理する「リスク管理」から構成されています。
「業務運営」とは、業務を運営するための基本事項を「業務規則」で定め、各部門は業務規則に基づき日常のチェックを行い、業務を運営することです。「業務規則」には共通的な業務規則(基本規則)と機能別業務規則があります。
「リスク管理」とは、各リスクを管理している主管部門がすべき運営事項を「リスク管理規程」で定め、これによりリスクを管理するために必要な推進事項を立案し、部門を監査することによりその実効性を確認することです。
内部統制システムのなかで、クボタの経営上の重大なリスクを次の3つに分類しています。
- 財務報告の信頼性に係る内部統制
- 公正取引や環境保全、安全衛生等の会社の基本機能に係る内部統制
- 設備関連法規遵守や輸出入管理等のコンプライアンスに係る内部統制
これらのリスクを回避するために、担当する主管部門は、推進事項の実施と事業部門への監査を行い、その結果および次年度の対策を社長および取締役会に報告することにより、リスク管理のPDCAサイクルを回しています。
内部統制システムの概要
クボタグループリスクマネジメント委員会
企業のリスクマネジメントに係る社会的要求が変化していることから、この変化に対応するとともに将来の変化に柔軟に対応可能な体制を構築するため、2023年1月付でクボタグループリスクマネジメント委員会を設立しました。
本委員会ではクボタグループの企業価値向上のために、既存の内部統制リスクに係るリスクマネジメントを継続するとともに、新たに経営に重大な影響を与えるリスクに係るマネジメント体制の構築を行うことを目的としています。
このために、定期的にクボタグループに係るリスクアセスメントを行ったうえで、本委員会でリスクに係る評価を行い、優先対策すべきリスクを決定します。委員会傘下の分科会にて対策を実施し、対策状況について委員会に報告し、委員会はそのモニタリングを行うほか、必要な指示を行う予定としています。
これらリスクの評価や対応の方針・状況などについては、リスクマネジメント担当役員が定期的に取締役会に報告します。
内部統制システムの運営活動(リスク管理活動)
クボタでは、事業活動の一環と位置づけてリスク管理活動に取り組んでいます。「リスク管理活動は事業活動の根幹である」という認識のもと、財務報告の信頼性に関するリスクなど、全社共通のリスクを洗い出し、「不備があれば直ちに修正する」という地道な改善を継続して行うことで適切なリスク管理に努めています。また、事業展開のグローバル化が加速するなか、リスク管理活動が、事業存続のための経営基盤であることを強く認識し、海外を含めたレベルアップを図っています。
リスク管理の内容と監査件数
リスク管理事項 | 回避すべきリスク | 2020年度 監査件数*1 |
|
---|---|---|---|
財務報告の信頼性に係る 内部統制 |
財務報告 |
|
9,466 |
会社の基本機能に係る 内部統制 |
公正取引 |
|
83 |
環境保全 |
|
11,991 | |
安全衛生 |
|
777 | |
品質保証 |
|
569 | |
労務管理 |
|
7,531 | |
情報セキュリティ |
|
1,992 | |
知的財産 |
|
781 | |
コンプライアンスに係る 内部統制 |
設備関連法規遵守 |
|
560 |
震災等災害対策 管理 |
|
100 | |
建設業法遵守 |
|
594 | |
人権啓発*2 |
|
- | |
安全運転管理 |
|
201 | |
不正支払防止 |
|
38 | |
機密情報管理 |
|
1,085 | |
個人情報保護 |
|
246 | |
輸出入管理 |
|
109 | |
物流関連法規遵守 |
|
639 |
- *1.監査件数…対象部門ごとの監査項目数を積み上げた件数
- *2.人権啓発…研修・情報発信・調査結果フォローなどの活動を中心に展開
クボタホットライン(内部通報制度)
リスク管理を補完する仕組みとして、内部通報制度を運用しています。違法・反倫理的行為の抑制、早期発見・是正を行うとともに、風通しの良い組織風土の醸成に努めています。
窓口の種類と取扱内容
- コンプライアンス推進部・・・「人権問題以外のコンプライアンス」について(匿名も可能)
- 人権啓発部窓口・・・「人権問題」について(匿名も可能)
- 社外弁護士窓口・・・「人権問題も含むコンプライアンス全般」について
- より気軽な相談先として各会社・事業所に「人権相談窓口」もあり
- 2017年より社外弁護士窓口についても、通報手段を、電話だけではなくメールも可としました。
利用できる対象者
- クボタと国内グループ会社の正規従業員、パートタイマー、アルバイト、派遣社員
- 海外では各拠点で対応し、重要案件については各拠点からクボタ本社に報告する仕組み
- 2017年より中国における内部通報については、全案件をクボタ本社に報告する仕組みとしました。
通報者の保護
業務規則「内部通報制度運用編」において下記を明確に定めています。
- 「通報者に対し、通報を理由とした不利益な取り扱いをしてはいけません」
- 「調査・報告に必要な場合を除き、通報された内容および調査で得られた個人情報をはじめとする一切の情報を利用又は開示してはいけません」
制度の周知活動
制度についての理解不足からくる不安を少しでも軽減できるような工夫をしています。
社内報や社内ホームページにて下記を紹介
- 通報内容別の件数や過去事例(概要)
- 通報制度を利用した際の流れ
- 制度の目的や通報者の保護、匿名の扱い など
通報件数(国内)
- 2016年 1月~12月・・・30件
- 2017年 1月~12月・・・52件
- 2018年 1月~12月・・・71件
- 2019年 1月~12月・・・59件
- 2020年 1月~12月・・・74件
- 問い合わせや調査の結果、問題がなかったものも含む
その他
さらに、無記名のクボタグループ従業員CSR意識調査においては、自由記述欄を設けています。会社に率直な意見をする機会となっており、風通しの良い組織風土の醸成に努めています。
クボタホットライン フロー図
財務報告の信頼性確保
海外子会社を含めたクボタグループ全体の財務報告の信頼性を確保するために、内部統制システムを整備し運用しています。
また、その有効性を確認するために、監査部や子会社の監査部門が定期的に内部監査を実施しています。
これらの監査結果に基づき、金融商品取引法で定められた財務報告に係る内部統制報告制度(J-SOX)などに準拠して、グループ連結ベースでの内部統制の有効性を評価する体制を構築しています。
独占禁止法/競争法の遵守
コンプライアンスの徹底がGMBクボタを実現する上での根幹になるとの認識のもとで、独占禁止法/競争法違反の未然防止を図るため、次の通りクボタグループとしてリスク管理活動に取り組んでいます。
教育・啓発活動
クボタ本体の各事業部門、国内・海外のグループ会社において継続的に独禁法/競争法研修会を実施することにより、コンプライアンス徹底のための啓発・意識付けを行っています。また海外グループ会社の経営者として赴任する従業員に対しては競争法を含む広範なリーガル研修を都度実施しています。
監査・リスク管理調査
クボタ本体および国内グループ会社に対して実地確認を含めた独禁法監査を継続的に実施しています。また海外のグループ会社に関しても書面監査や現地でのヒアリングおよび意見交換会を通じてリスク管理状況の把握を行っています。
相談体制の維持・拡充
当社および当社グループ会社の事業活動に関して独禁法上の確認を要する案件については関係事業部門・グループ会社との密な情報共有を行うとともに弁護士等の外部専門家への事前相談等の必要な対応を徹底しています。
下請法の遵守
クボタ本体の各事業部門および国内のグループ会社に対して定期的に書面調査を実施しています。この他、下請法研修会を各事業所・グループ会社で実施するとともに、発注等の下請法関連実務に関する相談会を開催することで自立的なリスク管理体制の拡充を進めています。
不正支払防止
クボタグループは、不正支払防止のリスク管理活動の中でも特に贈収賄の防止に注力し、SDGsの目標16ターゲット5「あらゆる形態の汚職や贈賄を大幅に減少させる」の達成に取り組んでいます。
国際的に反贈収賄の機運が高まる中、国連が定める「国際腐敗防止デー」(12月9日)に合わせて、「社長メッセージ」をクボタグループの役員・従業員に毎年発信しています。メッセージでは「クボタグループは贈収賄等の不正に基づくビジネスは一切認めない」ことを、経営トップから明確に意思表示しました。
クボタグループは、役員・従業員への贈収賄防止教育に特に注力し、国内および海外で研修会を実施しています。コロナ禍に見舞われた2020年度は、感染拡大を防ぐためにウェブ研修やeラーニングも新たに取り入れながら実施しました。ウェブ研修では、各国の法令や執行状況について説明するとともに、ケーススタディを実施しました。eラーニングは、冒頭でクボタ社長のメッセージを伝えるとともに、映像や設問を多く取り入れることで、印象や記憶に残りやすいものとしました。研修を定期的・継続的に実施することで、最新情報の周知と贈収賄防止意識の醸成を図っています。
また、クボタグループの贈収賄防止方針と贈収賄防止要領を説明する資料として「クボタグループ贈収賄防止ハンドブック」を作成しています。世界共通の内容を記述したグローバル版として日本語・英語、フランス語を、またグローバル版の内容に加えて、国・地域ごとに留意すべき点や対策をより詳細に織り込んだ各国版も中国、タイ、韓国、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、ベトナム、およびメキシコ版を整備しています。
さらに、社外に向けての取り組みとして、コンプライアンス本部長名で「お取引先様へのお願い」をクボタのウェブサイトに掲載しています。お取引先様にクボタグループの贈収賄防止に対する考え方をご紹介するとともに、贈収賄防止活動へのご理解とご協力をお願いしています。
これらのリスク管理活動を検証するために、クボタグループでは「不正支払防止委員会」を設置しています。2020年度は、国内11部門・会社、海外39拠点を対象として書面による監査・ヒアリングを実施し、不正な支払を未然に防止する仕組みが構築・運用されているかどうか、実際に不正な支払が無かったかどうかについて検証しました。
また、リスク管理活動の方針と活動結果については、取締役を中心に編成された「全社リスク管理委員会」を通じて定期的に社長・取締役会・監査役会へ報告し、そのフィードバックをふまえて内容を見直すことで、レベル向上に努めています。
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- クボタグループ贈収賄防止方針(抜粋)
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クボタグループ行動憲章にも明記している通り、私たちは「法令遵守と倫理に基づいた企業活動」を約束しています。
クボタグループは贈収賄等の不正行為に基づくビジネスは一切認めません。クボタグループの企業・役職員が贈収賄に関わることも一切禁じます。株式会社クボタ 社長