環境配慮製品・サービスの拡充
クボタグループでは、環境配慮製品・サービスの提供を通して、地球環境保全と食料・水・生活環境分野における社会課題の解決に貢献しています。設計・開発段階で製品環境アセスメントを実施し、原材料の調達から製品の廃棄まで、製品のライフサイクル全体での環境配慮を推進しています。環境配慮性の高い製品は、「エコプロダクツ」として社内認定し、その拡充に取り組んでいます。
SDGsの達成に向けた活動
関連するSDGsとターゲット | |
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主な活動内容 |
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2030年/2025年活動目標(KPI) |
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製品のライフサイクルにおける環境配慮
1. 主な環境配慮の取り組み
2. 製品ライフサイクルにおける温室効果ガス排出量の分析
クボタグループは、農業機械・建設機械からパイプシステムや水処理装置まで様々な製品を取り扱っています。製品環境アセスメントの一環として、主力製品でライフサイクルアセスメント(LCA)を実施し、ライフサイクルにおける温室効果ガス排出量を把握しています。本LCAの結果については、2014年に一般社団法人産業環境管理協会による第三者レビューを受けました。
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LCA結果 温室効果ガス排出割合
- *1.トラクタのLCA結果は、農業用トラクタ M9540DTHQ-ECのフランスにおける5,000時間の牽引・運搬作業を想定して算定しました。
- *2.ダクタイル鉄管のLCA結果は「持続可能な水道サービスのための管路技術に関する研究」〔(公財)水道技術研究センター〕の報告データに基づき算定しました。なお、原材料調達、製造、製品輸送の割合は、自社のCO2排出量データに基づき按分しました。
ライフサイクルにおける温室効果ガス排出割合は、農業用トラクタでは使用段階が、ダクタイル鉄管では製造・施工段階が全体の約9割を占めており、製品の種類により、ライフサイクルにおける環境負荷の発生割合や大きさが異なります。クボタグループでは、ライフサイクルにおける環境負荷の分析結果を環境配慮設計に活かし、環境配慮製品・サービスの拡充につとめています。
3. 製品群ごとの主な環境配慮の取り組み
4. 環境配慮の取り組み事例
エコプロダクツ認定制度
1. エコプロダクツ認定制度とは
「エコプロダクツ認定制度」は環境配慮性の高い製品を社内認定する制度です。クボタグループの環境経営における環境保全の基本5項目である「気候変動への対応」「循環型社会の形成」「水資源の保全」「化学物質の管理」「生物多様性の保全」に関連する項目を評価し、社内基準をクリアした製品を「エコプロダクツ」として認定しています。
2. エコプロダクツ認定委員会の構成
エコプロダクツ認定委員会は、生産技術本部長を委員長とし、各事業部から選出した委員と研究開発統括部、環境管理部によって構成されています。各事業部が申請した製品について、エコプロダクツへの適合性を審議し、認定を行っています。
3. エコプロダクツ認定製品の拡充の軌跡
「エコプロダクツ認定制度」に基づき、2023年度は新たに37件をエコプロダクツに認定し、累計認定件数は440件となりました。また、エコプロダクツ認定製品の売上高比率は環境保全中期目標2025の70%以上に対して70.1%となりました。2023年度は、社外から高い評価を受けた電動トラクタ2件を新たにスーパーエコプロダクツとして認定しました。今後も、省エネ、軽量化・小型化、長寿命化・メンテナンスの容易性や環境規制への適合など、顧客や社会が求める環境に配慮した製品開発を進めることで、エコプロダクツの拡充に取り組んでいきます。
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エコプロダクツ認定件数の推移(累計)
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エコプロダクツ認定製品売上高比率*の推移
- *1.エコプロダクツ社内認定制度で基準をクリアした製品の売上高比率
エコプロダクツ認定製品売上高比率(%)=エコプロダクツの売上高÷製品の売上高(工事、サービス、ソフト、部品・付属品を除く)×100 - *2.2023年度よりセラミック素材であるTXAXは部品と同等として、売上高から除外し算出しています。TXAXを含めた場合、2023年度のエコプロダクツ認定製品売上高比率は69.9%になります。
4. エコプロダクツ認定製品一覧
使用済み製品の管理
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DPFマフラ
DPFエコプログラムによるリサイクル品の提供
クボタグループでは、使用後の製品・部品を回収し、再生するサービスを展開しています。株式会社クボタエンジンジャパンでは、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子を除去するフィルタであるディーゼルパティキュレートフィルタ(Diesel Particulate Filter, DPF)の再利用を促進する「DPFエコプログラム」を実施しています。DPFはエンジンから排出されるガスに含まれる有害な微粒子状の物質を捕集し、定期的に燃焼することで除去しています。しかし、この燃焼で除去しきれない灰分はDPF内に堆積していきます。本プログラムは、当社指定の洗浄・検査を行うことで、新品と同等性能となったDPFリサイクル品を提供するサービスです。その他にもクボタ製エンジンに使用しているスタータ、オルタネータなどを対象に、回収した部品の分解、洗浄、部品交換などを行い、新品同様の製品として使用できるようになるリマン部品プログラムを展開しています。また、Kubota Engine America Corporation(アメリカ)でも同様にリマン部品の提供を行っています。
Siam Kubota Corporation Co., Ltd.(タイ)では、トラクタ、コンバイン、耕うん機、ディーゼルエンジンなどを製造・販売しています。加えて、新製品販売時にお客様から下取りした機械を修理・再生し、認定中古機としてディーラーが販売する事業の支援を行っています。
水環境分野において当社は、生活排水や工場排水の浄化に用いられる液中膜ユニットを提供しています。安定した処理施設の稼働には、液中膜のメンテナンスや定期的な膜カートリッジの交換が不可欠です。クボタメンブレン株式会社では、膜カートリッジの点検や交換とともに、回収した膜カートリッジを再資源化することで廃棄物の排出抑制に貢献しています。
プラスチックパイプ・継手を製造・販売する株式会社クボタケミックスでは、再利用ポリ塩化ビニル(清浄にして、かつ、粉砕した廃棄物品から調製したポリ塩化ビニル)を使用したリサイクル硬質塩ビ三層管も製造・販売しており、資源の有効利用を進めています。水・環境施設の建設・補修・運転管理の事業を行うクボタ環境エンジニアリング株式会社では、廃プラスチックを破砕・選別し、燃料・材料として利用できるプラスチック燃料化・材料化施設のエンジニアリングを実施しています。
これらの取り組みにより、新しい原料の使用を回避し、新規製品の製造にかかるエネルギーの使用や温室効果ガスの排出抑制につなげています。私たちはお客様のニーズに応えながら、資源の有効活用に貢献する取り組みを今後も推進していきます。
リサイクルされた製品
クボタグループが製造しているダクタイル鉄管、異形管、機械鋳物(エンジンのクランクケース、シリンダーヘッド、トランスミッションケースなど)は、社外や工場内から回収された鉄スクラップや故銑を主原料として製造されています。鉄は再生時に不純物をほとんど取り除けるため、品質低下することなく、新たな製品に生まれ変わることができます。私たちは環境保全中期目標2025の目標値として、リサイクル素材使用率 70%以上維持を掲げ、リサイクル材料の使用を推進しています。
- *1.クボタグループで製造する鋳物製品・部品(ダクタイル鉄管、異形管、機械鋳物(エンジンのクランクケース等)でのリサイクル素材使用率(%)です。
- *2.今回から同一事業所内で発生した故銑は算定対象から除くよう計算方法を変更し、過去実績に遡及適用しています。