人権の尊重
クボタグループは、グループ人権方針を定め、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(以下、「UNGPs」)に示された手順に則って、人権の尊重に取り組んでいきます。
クボタグループ人権方針
クボタグループは人権に関して、国際規範を支持し、すべての人類が享有する権利として尊重することを、ここにクボタグループ人権方針として宣言します。クボタグループはUNGPsに示された手順に則って、自らの事業活動から影響を受けるすべての人々の人権を尊重します。
人権尊重の取り組みに係るガバナンス
クボタグループは人権尊重を事業継続の重要な前提条件の一つと捉え、人権尊重に関わる取り組みについて、社長が委員長を務めるクボタグループリスクマネジメント委員会が業務執行責任者および業務担当部門からの報告を受け、その活動を少なくとも年2回モニタリングし、適宜活動への指示を行っています。
クボタグループリスクマネジメント委員会で承認された方針と実行指示を受け、人権DD事務局がクボタグループの「ビジネスと人権」に関する取り組みの実行機能を担っています。この人権DD事務局は複数のクボタ社内関連部門の人員で構成され、定期的にリスクマネジメント委員会に具体的な活動案の提案と実施報告を行います。人権DD事務局での運営活動ミーティングは月1回程度の頻度で行われ、適宜外部の団体・有識者などのアドバイスを参考にしながら活動を計画・推進しています。2024年度は13回の運営活動ミーティングが実施されました。また現在、日本および海外拠点に地域人権DDオフィサーを設け、グループグローバルで人権DDの取り組みを進めるための体制整備を進めています。
クボタグループリスクマネジメント委員会によるモニタリング
クボタグループは、自らの事業活動を通じて人権への負の影響を引き起こしあるいは助長し、またその取引関係によって人権への負の影響を与える可能性をいち早く理解し、これに適切に対処したいと考えます。人権尊重を事業継続の重要な前提条件ととらえ、人権尊重に関わる取り組みについてクボタグループリスクマネジメント委員会が報告を受け、活動をモニタリングし、適宜活動への指示を行っています。
人権啓発推進体制
国内では、HR本部長を委員長とした「人権啓発推進委員会」(年1回)を設置し、各拠点の推進員が人権啓発活動方針に基づいた活動を推進しています。期初に、全拠点の推進員参加の会議を開催しています。各拠点では推進員以外にも、人権リーダーを任命し、人権啓発活動を担っています。
活動には、法務省が定める「人権週間」(12月4日から12月10日)に、毎年、国内グループ会社を含む国内の全従業員を対象として人権標語を募集し、表彰する取り組みがあります。2023年の応募人数は23,211名(応募率96.0%)で、各拠点の優秀作品は短冊型ポスターにして掲示しています。
人権デューディリジェンス
企業としての人権尊重の責任を果たすべく、人権デューディリジェンスを事業活動に必要なプロセスの一環であるという認識のもと、継続的に推進しています。
人権デューディリジェンスは、事業活動による実際の、または潜在的な人権への負の影響を特定・評価し、その防止・軽減を行うプロセスです。クボタグループでは国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則ってこれを実施しています。
〈UNGPsに則った取り組みの概念図〉

人権リスクアセスメント
クボタグループは、2023年3月に、事業とサプライチェーンの人権リスクの特定に向けた取り組みを開始しました。この人権リスクアセスメントのプロセスは下記リンクからご覧ください。
その結果、下記を顕著な人権課題として特定し、特定したライツホルダーとのエンゲージメントを通じて人権尊重の状況を確認しています。なお、クボタグループでは、変化する事業内容や事業環境および社会情勢をふまえ、顕著な人権課題を定期的に見直す考えです。
- 顕著な人権課題
- 適正賃金
- 外国人労働者・移民労働者
- ハラスメント
- 適正な労働時間
- 強制労働
- 救済へのアクセス
- 職場における差別/差別
- 児童労働
人権インパクトアセスメント
クボタは、クボタグループとして取り組むべきライツホルダーを以下と特定し、上記の顕著な人権課題の顕在性の確認および確認された事項への対応を進めています。現在は、クボタ単体のライツホルダーに対する取り組みを中心的に進めていますが、今後は、国内外のグループ会社のライツホルダーへの取り組みまで対象を広げていきます。
自社の労働者
- ハラスメント等がない職場環境づくり
- クボタグループではハラスメント等がない職場づくりのための教育、啓発を実施し、また苦情処理システムの構築をはじめとする対策により救済に取り組んでいます。詳しくはESGレポートもご参照ください。
- 移民労働者の労働環境および生活環境
- クボタグループの事業は、様々な国籍の従業員や労働者の方々に支えられています。そのような方々、特に移民労働者の方々の有する脆弱性への理解に努め、彼らの人権尊重に向けた取り組みを進めています。
クボタに移民労働者に向けた取り組みの詳細についてはこちらをご確認ください。
- クボタグループの事業は、様々な国籍の従業員や労働者の方々に支えられています。そのような方々、特に移民労働者の方々の有する脆弱性への理解に努め、彼らの人権尊重に向けた取り組みを進めています。
地域社会
- 当社の石綿問題への対応状況をWebサイトで公開しています。
- 方針を定めて社会貢献活動を行っています。詳細はESGレポートをご参照ください。
ユーザー
- 個人情報の適切な管理に関して
- お客様をはじめとするステークホルダーの個人情報を適切に保護・管理することを重要な社会的責任と認識しています。クボタでは「個人情報保護方針」を定めてこれを含む関連情報をWebサイトで公開しています。
- 製品を安全かつ適切にご使用いただくために
- Webサイトにおいて製品の取扱説明書やアフターサービス、リコール等の情報、また作業の安全についての情報を公開するなど、持続可能な産業を守るための取り組みを行っています。
人権研修
クボタグループではハラスメントのない働きやすい職場づくりをめざして、人権啓発活動方針に基づき、毎年、社長以下役員をはじめ、全従業員が人権研修を受講できるよう計画・実施しています。
新入社員研修等階層別研修をはじめ、拠点ごとにも人権研修を行っており、加えて、2024年もeラーニングによる研修を継続することで受講者の利便性確保を図っています。2024年も社内研修や外部団体主催の研修を通じ国内は延べ人数にして全員が何らかの人権研修を受講しました。
今後、海外グループ会社の社長以下役員をはじめ、グループグローバルの全従業員に対する人権研修を予定しています。
-
経営幹部向けの人権研修(2024年10月11日)
テーマ:「AIと人権」
講師:西村あさひ法律事務所・外国法共同事業弁護士・ニューヨーク州弁護士 福岡 真之介 様 -
人権eラーニングテキスト
- eラーニングに含まれるテーマ
- 人権に関する動向(法改正など)
- パワーハラスメント
- カスタマーハラスメント
- ビジネスと人権
- 相談対応
- eラーニングに含まれるテーマ
2023年の人権研修実績
社内研修 | 外部研修 | 合 計 | |
---|---|---|---|
クボタ | 20,398 名 | 308 名 | 20,706 名 |
国内グループ会社 | 9,491 名 | 79 名 | 9,570 名 |
経営幹部向け研修 | 518 名 | (国内グループ会社社長ほか含む) |
---|---|---|
新入社員研修 | 1,275 名 | (国内グループ会社ほか含む) |
新任職長研修 | 6 名 | |
新任作業長研修 | 49 名 | (国内グループ会社ほか含む) |
ハラスメント相談窓口担当者セミナー | 183 名 | (国内グループ会社ほか含む) |
人権啓発eラーニング | 19,589 名 | (国内グループ会社ほか含む) |
主な外部研修
人権問題に取り組む企業の団体や行政などが主催のセミナーへも積極的に参加しています。
実行委員会*1, 主催「第44回人権・同和問題企業啓発講座」延べ48名(国内グループ会社を含む)
実行委員会*1, 主催「第54回部落解放・人権夏期講座」26名
- *1.大阪府、大阪市、(一社)部落解放・人権研究所など主催。
苦情処理メカニズム


ハラスメント相談窓口担当者セミナー(2023年6月28日・7月4日・7月19日・7月20日)
(講師:公益財団法人21世紀職業財団 専任講師 杉本 登志子様)
人権侵害を受けた者への救済手段として、内部通報制度「クボタホットライン(社外弁護士を含む通報窓口)」や、海外を含む各拠点に相談窓口体制を整備し、迅速な対応を行っています。
通報窓口の連絡先が書かれたポケットカードを全従業員に配布しているほか、社内イントラサイト、ポスター、メールマガジン、人権研修会(eラーニングを含む)などでクボタホットラインを周知しています。
相談窓口担当者に対しては、カウンセリング能力向上や二次被害防止のため、外部講師を招聘し、「ハラスメント相談窓口担当者セミナー」を毎年実施しています。2023年はWebシステムを利用し183名が受講しました。
セミナーの内容は、セクハラ、パワハラ、マタハラ、性的マイノリティに対するハラスメントなど、さまざまなハラスメントに対し迅速かつ相談者に不利益とならないような適切な対応の内容について重点的に学習しました。
内部通報制度(「クボタホットライン」)の詳細については下記リンクよりご確認ください。
クボタホットライン |
グローバル |
サプライヤー |
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コンプライアンス推進部 通報窓口 |
人権啓発部 通報窓口 |
社外弁護士 通報窓口 |
|||
利用者 通報者の範囲 |
日本国内のクボタおよびクボタグループ会社の役員・従業員、また、クボタおよびクボタグループ会社で継続的に労務提供を行う取引先の役員・従業員 | 日本国外の左記(順次導入中) | 日本国内に拠点を有するサプライヤーの役員・従業員等 | ||
通報内容 | 人権問題を除くコンプライアンス全般 | 人権問題全般(ハラスメント・差別等) | コンプライアンス全般人権問題全般 | 競争法違反、贈収賄、情報漏えい、経営層による不正行為の4類型 | クボタ側の下請法違反疑義案件、サプライヤー社内の人権問題等 |
匿名の可否 | 可(匿名でも受け付けるが、事案の確認、是正に関して限界がある旨を通知) | 同左 | 同左 | ||
通報手段 | 電話、Web専用フォーム、Eメール、郵送(封書) | 電話、Eメール、面談 | Web専用フォーム、電話 | Web専用フォーム |
国連グローバル・コンパクトへの参加
クボタは国連グローバル・コンパクトへ参加を表明し、声明書に署名をしました。このイニシアティブには、責任あるビジネスアクションを取ることで望ましい世界を創り上げようとコミットしている企業が世界中から参加しています。クボタもこれらに加わり、責任ある企業活動の取り組みを続けていくことを約束します。
なお、2024年はグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの関西分科会に参加し、こちらを通じて有識者、また他の組織や企業との対話を図り、グローバル・コンパクトが提唱する課題への取り組みなどについて情報交換をするとともにそれぞれの活動に関して議論を重ねました。
社外組織への加入
クボタ(単体)は、下記社外団体に加入し、差別のない社会をめざし活動しています。
- 大阪同和・人権問題企業連絡会(他に滋賀・和歌山・兵庫・千葉・広島でも加入)
- 大阪市企業人権推進協議会(市町村ごとに組織あり)
- 一般社団法人 公正採用人権啓発推進センター
- 特定非営利活動法人 多民族共生人権教育センター
- 一般社団法人 おおさか人材雇用開発人権センター
- 一般社団法人 部落解放・人権研究所 など
現代奴隷法への対応
クボタグループでは英国現代奴隷法に基づきステートメントを開示しています。年度ごとのステートメントは下記リンクからご覧いただけます。
英文ステートメントの内容については下記リンクよりご確認ください。
外部有識者とのダイアログ
クボタグループでは、「ビジネスと人権」への取り組みに対する評価と今後の取り組みに対して示唆を得る目的で、外部有識者と定期的にダイアログを行っています。2024年10月に実施したダイアログの概要は当社Webサイトでご覧いただけます。当社の取締役、執行役員およびエグゼクティブオフィサーがこれに参加し、いただいたご意見の内容を参考に、当社グループの取り組みを推進しています。
外部有識者とのダイアログの概要については下記リンクよりご確認ください。
社外における活動
クボタグループでは、「ビジネスと人権」を含む当社活動に関しての積極的な対外発信に努めています。
2024年の主な活動実績
- 2024年7月、東京大学大学院新領域創成科学研究科サステイナブル・ファイナンス・スクールにおいて「企業のサステイナブル経営」の講義を行いました。当社の事業戦略、投資基準や評価・報酬制度にどのようにサステナビリティの要素が組み込まれているかを説明し、具体的な取り組みの一つとして当社の「ビジネスと人権活動」についても触れました。
- 2024年10月25日、コー円卓会議日本委員会が開催する「2024年ビジネスと人権に関する国際会議 in 東京」において、2023年12月の「クボタグループ人権方針」策定以降の当社グループの「ビジネスと人権」活動を紹介しました。特に、外国籍の労働者を対象とした人権デュー・ディリジェンス(インパクトアセスメント)の活動について説明しました。当社としても参加を通じて、グローバル有識者より共有された「ビジネスと人権」に関する世界動向に対して認識を深めるとともに、他社の人権デュー・ディリジェンスに関する取り組み事例を学び、クボタグループにおける今後の取り組みの推進への示唆を得ました。
活動内容の詳細については下記リンクよりご確認ください。
サプライチェーンを通じた人権尊重
クボタでは、「クボタグループ行動憲章・行動基準」において「私たちは、強制労働や児童労働を認めず、取引先に対しても、その旨を要請します」とうたっています。
クボタグループサプライヤー行動規範においても強制労働や児童労働を認めず、サプライヤーに対しても、その旨を要請しています。また反社会的武装勢力の資金源となっている紛争鉱物*の使用禁止なども明記しています。
2017年5月に「英国現代奴隷法」に関しクボタグループとしてのステートメントを公表、以後毎年更新しています。Webサイトにも掲載しています。
国内の従業員に対しては人権研修で説明し、海外グループ会社に対しては、各社の拠点長より従業員に説明することにより周知徹底を図っています。
紛争鉱物への対応
- 紛争鉱物方針
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コンゴ民主共和国及びその周辺国において、非人道的行為を繰り返す反政府武装勢力は、当該地域で産出されるタンタル、スズ、タングステン、金とその派生物(以下、紛争鉱物)を資金源としています。これはサプライチェーンにおける人権・環境等の社会問題のひとつです。
クボタは、ESG経営推進の一環としてとらえ、反政府武装勢力の資金源となっている紛争鉱物の使用を禁止するよう推進し、万一、紛争鉱物の使用が判明した場合は、速やかに不使用化に向けて取り組みます。
お取引先には、弊社の考え方をご理解いただくとともに、クボタが実施する調査・監査にご協力いただくなど、サプライチェーンの一員として取り組んでいただくよう要請していきます。
コンゴ民主共和国およびその周辺国
紛争鉱物活動状況
- 書面調査
紛争鉱物報告テンプレート(CMRT)を使用して、紛争鉱物の使用状況、製錬業者の特定、紛争鉱物への取り組み状況などを取引先に確認しています。回答に不備のある場合には再提出いただくなど、情報精度向上に努めています。2024年度の書面回収率は100%です。
- リスクへの対応
紛争鉱物の調達方針を定めていない取引先には、方針を定めていただくようお願いしています。その他、リスクが高いと判断した取引先に対しては、追加の確認を実施してデューディリジェンスを行っています。
- 対応組織
紛争鉱物方針に基づく活動は、ESG経営推進部門や調達部門などからなる「紛争鉱物事務局」を設置し、横断的に取り組んでいます。