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気候変動の緩和と適応

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書では、人間の影響が大気、海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がないとされています。2023年には世界各地が熱波におそわれ、夏場の平均気温が世界で観測史上最高となり、「地球沸騰化」と表現されました。各国ではCO2排出実質ゼロやカーボンニュートラルを宣言するなど、脱炭素社会への移行に向けた動きが加速しつつあり、企業における温室効果ガス削減の取り組みがさらに重要性を増してきています。
クボタグループは「気候変動の緩和と適応」をマテリアリティの一つとして捉え、2050年カーボンニュートラルの実現に挑戦することを表明しています。省エネルギー活動や再生可能エネルギーの導入などにより、温室効果ガス排出量を削減する気候変動の「緩和」と、気候変動の影響に備える「適応」に向けた取り組みを進めています。

SDGsの達成に向けた活動

関連するSDGsとターゲット
13.気候変動に具体的な対策を,13.1,13.3,7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに,7.2,7.3,7.a,9.産業と技術革新の基盤をつくろう,9.4,9.5,2.飢餓をゼロに,2.4,11.住み続けられるまちづくりを,11.b
主な活動内容
  • 気候変動の緩和、適応、影響の軽減につながるモノづくりの推進
  • 省エネ・節電などによるエネルギー使用の効率化
  • JITと自働化を柱として、エネルギーのムダ・ロス削減の推進
  • 再生可能エネルギーの使用拡大 など
2030年/2025年活動目標(KPI)
  • 環境保全長期目標2030:
    • クボタグループCO2排出量 2014年度比50%削減
  • 環境保全中期目標2025:
    • グローバル生産拠点のCO2排出原単位 2014年度比45%改善
    • グローバル生産拠点の再生可能エネルギー利用率 20%以上
    • グローバル生産拠点のエネルギー使用原単位 2014年度比35%改善

環境保全長期目標2030および実績

2030年目標 2030年に、クボタグループのCO2排出量*を2014年度比で50%削減します
実績 2023年度は、クボタグループのCO2排出量*を2014年度比で28.0%削減しました
  • CO2排出量は、クボタグループ全拠点(100%)のスコープ1およびスコープ2を対象とし、非エネルギー起源の温室効果ガスを含みます。

環境保全中期目標および実績

取り組み
項目
管理指標*2 基準
年度
2025年度目標*4 2030年度目標*4 2023
年度実績
CO2削減*1 CO2排出原単位
(スコープ1,2)
2014 ▲45% ▲60% ▲46.6%
再生可能エネルギー利用率*3 20%以上 60%以上 15.9%
省エネルギー推進 エネルギー使用原単位 2014 ▲35% ▲40% ▲37.8%
  1. *1.CO2排出量は、基準年のスコープ1およびスコープ2の90.6%を対象とし、非エネルギー起源の温室効果ガスを含みます。エネルギー起源CO2の算定において、電力の排出係数は基準年度の値を使用します。
  2. *2.原単位は生産高当たりの環境負荷量です。海外拠点の生産高を円換算する際の為替レートは、基準年度の値を使用します。
  3. *3.対象範囲はグローバル拠点です。
  4. *4.▲は「マイナス」を意味します。

気候変動の緩和

1. CO2排出量(スコープ1とスコープ2)

2023年度のCO2排出量は56.0万t-CO2で前年度比4.3%減少しました。また、CO2排出原単位は前年度比15.2%改善しました。
CO2排出量は、電力使用に伴う排出係数が悪化する中、削減対策の実施、鋳物系 拠点の減産により減少しました。
原単位は、再生可能エネルギーの利用拡大、省エネルギー活動の推進、高効率設備の導入などの削減対策を推進し、連結売上高の増加とCO2排出量の抑制を両立したことで改善しました。

  • CO2排出量*1と原単位の推移

    1. *1.グループ全体のCO2排出量への影響が大きい買収・売却した企業のCO2排出量を買収・売却以前に遡り補正した場合のCO2排出量は2014年度77.8万t-CO2、2015年度73.9万t-CO2、2016年度70.0万t-CO2、2017年度68.8万t-CO2、2018年度69.3万t-CO2、2019年度67.2万t-CO2、2020年度61.4万t-CO2、2021年度66.0万t-CO2、2022年度59.5万t-CO2となります。2023年度は補正対象となる買収・売却はありませんでした。
    2. *2.CO2排出量(56.0万t-CO2)にはCO2として大気排出されず、鉄管などの製品に吸収される炭素相当分(1.4万t-CO2)を含んでいます。
    3. *3.CO2排出量は、クボタグループ全拠点(100%)のスコープ1およびスコープ2を対象とし、非エネルギー起源の温室効果ガスを含んでいます。
    4. *4.原単位は連結売上高当たりのCO2排出量です。連結売上高は、2018年度より従来の米国基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。

2. CO2削減対策

クボタグループは、環境保全中長期目標を策定し、事業活動に伴うCO2排出量とエネルギー使用量の削減に注力しています。各生産拠点において、中期的な削減対策の実施計画を策定し、毎年見直しを行っています。その際、インターナルカーボンプライシング*を導入し、設備投資計画においてCO2排出量やエネルギー使用量の削減効果やCO2削減量当たりの投資費用を算定しています。案件ごとに環境面での有効性や経済合理性を明らかにし、投資判断の材料としています。

具体的な削減対策としては、エネルギー効率の高い設備への切り替えや適切な運転管理によるエネルギー消費のムダ取り、工程ごとの使用電力の見える化などの取り組みを進めています。また、グローバル全拠点において、LED照明の利用拡大を進めてきました。2023年末時点で、生産拠点における照明のLED化比率は90.4%となりました。2023年度は空調の省エネルギー対策を全社的に推進しました。
また、再生可能エネルギーの導入も進めています。2023年度は、堺臨海工場やSiam Kubota Corporation Co., Ltd(タイ)、Kubota Engine (Thailand) Co., Ltd.(タイ)、Kverneland Group Soest GmbH(ドイツ)、Kverneland Group Ravenna S.r.l(イタリア)などで、太陽光発電システムの増設や新設を行いました。グループ全体での再生可能エネルギーの利用量は132,287MWh (約69,614t-CO2 の排出量削減に相当)となりました。再生可能エネルギー利用率は2025年目標の20%に対して、2023年実績は15.9% となりました。

  • 組織が内部的に炭素価格付けを実施すること
  • 2022年9月に開設したクボタグローバル技術研究所では、出力1,566kWの太陽光パネルを設置しました。

  • 地域別CO2排出量

  • 事業別CO2排出量

  1. *1.農業機械、建設機械、エンジンなどの製品の生産によるCO2排出量
  2. *2.ダクタイル鉄管、鋳鋼などの製品の生産によるCO2排出量
  • 排出源別CO2排出量

    • 国内

    • 海外

  1. *1.非エネルギー起源温室効果ガスには以下を含みます。
    CO2 4.2千t-CO2、CH4 1.4千t-CO2、N2O 0.6千t-CO2、HFC 0.4千t-CO2、PFC 0千t-CO2、SF6 0.006千t-CO2、NF3 0千t-CO2

生産拠点別CO2排出量は、以下のURLを参照してください。
www.kubota.co.jp/sustainability/environment/report/2024/sitereport.html

  • 事業所におけるエネルギー使用量と原単位の推移

    1. *1.PJ=1015J、TJ=1012J
    2. *2.原単位は連結売上高当たりのエネルギー使用量です。連結売上高は、2018 年度より従来の米国基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。

3. バリューチェーンを通じたCO2排出量

事業所におけるCO2排出量にとどまらず、バリューチェーン全体の排出量の把握に取り組んでいます。ガイドライン*に基づき、スコープ3排出量を算定しました。今後も算定対象の拡大に努めていきます。

  • 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」
バリューチェーンの各段階のCO2排出量
区分 算定対象 排出量(万t-CO2)*3
2021年度 2022年度 2023年度
自社の排出 直接排出
(スコープ1)*1
化石燃料の使用 30.3 29.5 27.7
非エネルギー起源温室効果ガスの排出 0.6 0.7 0.7
間接排出
(スコープ2)*1
購入した電力・熱の使用 30.4 28.3 27.6
上流および
下流での排出
その他の
間接排出
(スコープ3)
カテゴリー 1 購入した製品・サービスの資源採取、製造、輸送 373.2 410.4 419.1
2 購入した設備などの資本財の製造、輸送 40.6 56.7 49.2
3 購入した燃料・エネルギーの資源採取、製造、輸送 11.2 11.1 10.8
4 輸送・配送(上流) 28.5 28.2 24.6
5 拠点から排出した廃棄物の処理 3.1 3.1 2.8
6 従業員の出張 1.1 1.9 2.8
7 雇用者の通勤 1.0 1.0 1.7
8 賃借したリース資産の運用 0.0*4 0.0*4 0.0*4
9 輸送・配送(下流) 0.0 0.0 0.0
10 中間製品の加工*2 34.2 34.6 33.8
11 販売した製品の使用*2 2,813.3 3,695.1 3,678.7
12 販売した製品の廃棄時の処理 6.1 6.8 6.9
13 賃借するリース資産の運用 0.0*4 0.0*4 0.0*4
14 フランチャイズの運用 0.0*4 0.0*4 0.0*4
15 投資の運用 0.0*4 0.0*4 0.0*4
合計 スコープ3 3,317.4 4,248.9 4,230.6
合計 スコープ1、2、3 3,378.7 4,307.4 4,286.6
  1. *1. CO2排出量は、クボタグループ全拠点(100%)を対象としています。
  2. *2. 2023年度より対象となる製品範囲を変更しました。この変更は過年度に遡及して適用しています。
  3. *3. 各数値の四捨五入により、各数値を合計した値と合計値に差異が生じる場合があります。
  4. *4. 対象となる活動がないもしくは極めて影響が低いため、CO2排出量は0と表示しています。
  • スコープとは

気候変動への適応

1. 気候変動への適応策

気候変動が進むと、気象災害の頻発や農業形態の変化、熱中症の増加など、私たちの暮らしに悪影響を及ぼす可能性があります。気候変動に対して、私たちは温室効果ガスの排出削減(緩和)を進めるとともに、気候変動の影響による被害の回避・軽減(適応)対策も同時に進めていく必要があります。
クボタグループでは、気候変動への適応策として、製品・サービスと事業所での取り組みを実施しています。

■製品・サービスでの取り組み
カテゴリ 主な取り組み
食料
  • 異常高温でも品質・収量を低下させない米づくりのために深耕可能なトラクタの提供や、高温条件に対応した適正な肥料の散布など、土づくりのための情報提供
  • 農作業など炎天下の厳しい条件下での作業の軽労化を図る機械の高性能化、ロボット技術やICTを活用したクボタスマートアグリシステム(KSAS)の提供
  • 農業関係の方へ気候変動による気温、降水量、日射量の変化と作物への影響に関する情報提供
洪水・浸水
  • 異常気象による洪水などの災害対策として、災害復旧用排水ポンプ車や超軽量緊急排水ポンプユニット、雨水貯留浸透製品、マンホールトイレ配管システムなどの提供
  • 台風・豪雨などの災害でも、強靭な管体と優れた継手性能によりその有効性を発揮するダクタイル鉄管の提供
渇水
  • 渇水対策として、上下水処理システムや処理プラントの効率的な運転に貢献するIoTを活用した管理システムの提供
  • 排水を再利用可能な水に浄化する液中膜ユニットや槽浸漬方式セラミックろ過装置などの提供
管理システム
  • NTTグループと連携した気象情報を活用したダムから排水機場までの施設を管理するIoTを活用したクボタスマートインフラストラクチャシステム(KSIS)の提供
  • 農業用水分野における遠隔での水田の適切な水管理が可能なほ場水管理システムWATARAS(ワタラス)の提供
生活環境
  • 災害・停電時に非常用電源となる発電機用ディーゼルエンジンの提供
  • 災害の防止や復旧・復興に貢献する建設機械の提供
  • 異常気象においてもクリーンで快適な室内環境を作る高効率な空調機器の提供
ほ場水管理システムWATARAS(ワタラス)の提供

WATARASは、スマートフォンやパソコンで水田の水位などをモニタリングしながら、遠隔操作や自動制御で水田への給水・排水ができるシステムです。
豪雨で河川の氾濫が予想される時は、KSIS から WATARASへの一括操作により田んぼを一旦落水し、その後に排水側の設定水位を上げることで、一時的に田んぼに雨水を貯めるスマート田んぼダムの実証が行われており、洪水を防ぐ方法の一つとして期待されています。

  • WATARASによるスマート田んぼダムシステムの概要

■事業所での取り組み

台風や豪雨により生産設備や物流への影響が考えられます。事業所ではBCP対策や災害対応マニュアル策定をして、気象災害時でも事業活動を停滞・遅延させないための取り組みを推進しています。BCP対策では耐震補強とともに、豪雨による建屋への影響軽減措置や浸水からの電源設備の保護などを進めています。さらに、高潮やゲリラ豪雨対策として排水ポンプの設置や防災訓練を実施するとともに、水不足に備え貯水槽を設置しています。