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気候変動への対応

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第5次報告書では、気候システムの温暖化には疑う余地はなく、20世紀半ば以降に観測された温暖化は人間活動の影響が支配的な要因であった可能性が極めて高いとされています。また、国際的な気候変動対策の枠組みである「パリ協定」が2020年から始動しました。各国ではCO2排出実質ゼロやカーボンニュートラルを宣言するなど、「脱炭素」社会への移行に向けた動きが加速しつつあり、企業における温室効果ガス削減の取り組みがますます重要性を増してきています。
クボタグループは「気候変動への対応」をマテリアリティの一つとして捉え、省エネルギー活動や再生可能エネルギーの導入などにより、温室効果ガス排出量を削減する気候変動の「緩和」と、気候変動の影響に備える「適応」に向けた取り組みを進めています。

SDGsの達成に向けた活動

関連するSDGsとターゲット
13.気候変動に具体的な対策を,13.1,13.3,7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに,7.2,7.3,7.a,9.産業と技術革新の基盤をつくろう,9.4,9.5,2.飢餓をゼロに,2.4,11.住み続けられるまちづくりを,11.b
主な活動内容
  • 気候変動の緩和、適応、影響の軽減につながるモノづくりの推進
  • 省エネ・節電などによるエネルギー使用の効率化
  • JITと自働化を柱として、エネルギーのムダ・ロス削減の推進
  • 再生可能エネルギーの使用拡大 など
2030年/2025年活動目標(KPI)
  • 環境保全長期目標2030:
    • 国内クボタグループCO2排出量 2014年度比30%削減
  • 環境保全中期目標2025:
    • グローバル生産拠点のCO2排出原単位 2014年度比25%改善
    • グローバル生産拠点の再生可能エネルギー利用率 1%以上
    • グローバル生産拠点のエネルギー使用原単位 2014年度比18%改善

環境保全長期目標2030に対する2020年度実績

目標 2030年に、国内クボタグループのCO2排出量*を2014年度比で30%削減します
実績 2020年度は、国内クボタグループのCO2排出量*を2014年度比で26.3%削減しました
  • CO2排出量には非エネルギー起源の温室効果ガスを含みます。

環境保全中期目標2020に対する2020年度実績

取り組み
項目
管理指標*2 対象範囲 基準
年度
2020
年度
目標
2020
年度
実績

進捗状況

CO2削減*1 CO2排出
原単位
グローバル
生産拠点
2014 -14% -18.6% 生産設備や照明・空調の省エネや燃料転換、再生可能エネルギーの導入、建築物の断熱対策等を推進しています。
省エネルギー エネルギー
使用原単位
グローバル
生産拠点
2014 -10% -15.7%
  1. *1.CO2排出量には非エネルギー起源の温室効果ガスを含みます。エネルギー起源CO2の算定において、電力の排出係数は基準年度の値を使用します。
  2. *2.原単位は生産高当たりの環境負荷量です。海外拠点の生産高を円換算する際の為替レートは、基準年度の値を使用します。

気候変動の緩和

1. CO2排出量(スコープ1とスコープ2)

2020年度のCO2排出量は57.0万tで、前年度比9.5%減少しました。また、CO2排出原単位は前年度比6.3%改善しました。これらは、コロナ禍による製造停止や鋳物系拠点における生産量の減少に加え、LED化や燃料転換などの削減対策の実施、電気事業者ごとの排出係数の改善が主な要因です。

  • CO2排出量と原単位の推移

    1. *1.CO2排出量(57.0万t-CO2)にはCO2として大気排出されず、鉄管などの製品に吸収される炭素相当分(1.8万t-CO2)を含んでいます。
    2. *2.CO2排出量には非エネルギー起源温室効果ガス排出量を含んでいます。
    3. *3.原単位は連結売上高当たりのCO2排出量です。連結売上高は、2018年度より従来の米国基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。

2. CO2削減対策

クボタグループは、環境保全中長期目標を策定し、事業活動にともなうCO2排出量とエネルギー使用量の削減に注力しています。
各生産拠点において、中期的な削減対策の実施計画を策定し、毎年見直しを行っています。その際、インターナルカーボンプライシング*を導入し、設備投資計画においてCO2排出量やエネルギー使用量の削減効果やCO2削減量当たりの投資費用を算定しています。案件ごとに環境面での有効性や経済合理性を明らかにし、投資判断の材料としています。
具体的な削減対策としては、エネルギー効率の高い設備への切り替えや適切な運転管理によるエネルギー消費のムダ取り、工程ごとの使用電力の見える化などの取り組みを進めています。また、グローバル全拠点において、LED照明の利用拡大を進めてきました。2020年末時点で、生産拠点における照明のLED化比率は85%となりました。2020年度は生産設備の燃料転換や圧縮エアの省エネルギー対策などにも取り組みました。
また、再生可能エネルギーの導入も進めています。2020年度は、久保田農業機械(蘇州)有限公司(中国)で新たに大規模太陽光発電システムが稼働しました。グループ全体での再生可能エネルギーの利用量は5,683MWh(約3,280t-CO2のCO2排出量削減に相当)となり、2019年度と比較して2倍以上となりました。
グローバル生産拠点における環境保全中期目標2020に向けたCO2削減対策の2020年度成果として、基準年度(2014年度)から対策を実施しなかった場合と比較して4.22万t-CO2を削減しました。また、それらの対策の経済効果は2014年度比で9.1億円となりました。2020年度の生産高当たりのCO2排出原単位は2014年度比で18.6%改善しました。
今後も、生産設備や空調・照明などの省エネ対策に加え、クボタ生産方式(KPS)の考え方に基づくエネルギーのムダ・ロス削減や再生可能エネルギーの利用拡大を推進していきます。

  • 組織が内部的に炭素価格付けを実施すること
  • クボタ堺製造所では、自家発電時に生じた排熱を有効利用し、製造ラインで使用する蒸気ボイラーの燃料を削減するガスコージェネレーションシステムを導入しています。2020年度はこの取り組みにより、約370t-CO2のCO2排出量を削減しています。

  • 久保田農業機械(蘇州)有限公司(中国)では、工場棟の屋上に出力3.59MWの太陽光パネルを設置しています。これにより、2020年は約2,400t-CO2相当の発電を行いました。

  • 地域別CO2排出量

  • 事業別CO2排出量

  1. *1.農業機械、建設機械、エンジンなどの製品の生産によるCO2排出量
  2. *2.ダクタイル鉄管、鋳鋼などの製品の生産によるCO2排出量
  • 排出源別CO2排出量

    • 国内

    • 海外

  1. *1.非エネルギー起源温室効果ガスには以下を含みます。CO24.1千t-CO2、CH40.8千t-CO2、N2O0.4千t-CO2、HFC0.4千t-CO2、PFC0t-CO2、SF60.03千t-CO2、NF30t-CO2
  • 事業所におけるエネルギー使用量と原単位の推移

    1. *1.PJ=1015J、TJ=1012J
    2. *2.原単位は連結売上高当たりのエネルギー使用量です。連結売上高は、2018年度より従来の米国基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。

3. 物流CO2排出量

2020年度の物流CO2排出量は3.8万t-CO2で、前年度比で7.3%削減しました。また、物流CO2排出原単位は前年度比2.6%改善しました。積載効率の向上や船舶利用によるモーダルシフトなどの取り組みを継続して推進しています。

  • 物流CO2排出量と原単位の推移(国内)

    • 原単位は国内連結売上高当たりの物流CO2排出量です。連結売上高は、2018年度より従来の米国基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。
  • 貨物輸送量の推移(国内)

4. バリューチェーンを通じたCO2排出量

事業所におけるCO2排出量にとどまらず、バリューチェーン全体の排出量の把握に取り組んでいます。ガイドライン*に基づき、スコープ3排出量を算定しました。今後も算定対象の拡大につとめていきます。

  • 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」
バリューチェーンの各段階のCO2排出量(2020年度実績)
区分 算定対象 排出量(万t-CO2)*4
2018年度 2019年度 2020年度
自社の排出 直接排出
(スコープ1)
化石燃料の使用 30.9 30.3 28.5
非エネルギー起源温室効果ガスの排出 0.7 0.7 0.6
間接排出
(スコープ2)
購入した電力・熱の使用 33.1 32.0 27.9
上流および
下流での排出
その他の
間接排出
(スコープ3)
カテゴリー 1 購入した製品・サービスの資源採取、製造、輸送 239.1 244.6 232.2
2 購入した設備などの資本財の製造、輸送 21.5 29.0 29.2
3 購入した燃料・エネルギーの資源採取、製造、輸送*1 2.7 2.7 10.5
4 購入した製品などの輸送 未算定 未算定 未算定
5 拠点から排出した廃棄物の処理 2.0 2.6 2.8
6 従業員の出張 1.0 1.0 1.1*7
7 雇用者の通勤*2 0.3 0.6 1.0*7
8 賃借したリース資産の運用 対象外*5 対象外*5 対象外*5
9 販売した製品の輸送*3 19.2*6 18.4 19.9
10 中間製品の加工 17.3 32.0 14.8
11 販売した製品の使用 2,106.0 2,117.6 2,059.0
12 販売した製品の廃棄時の処理 4.2 4.2 4.1
13 賃借するリース資産の運用 対象外*5 対象外*5 対象外*5
14 フランチャイズの運用 対象外*5 対象外*5 対象外*5
15 投資の運用 対象外*5 対象外*5 対象外*5
合計 スコープ3 2,413.3 2,452.6 2,374.5
合計 スコープ1、2、3 2,478.0 2,515.6 2,431.5
  1. *1.2020年度より、購入した電力に加え、燃料を算定対象に含めています。
  2. *2.2019年度より、国内データに加え、海外子会社のCO2排出量を含んでいます。
  3. *3.2018年度より、国内データに加え、国内から海外への一部製品の船舶輸送にともなうCO2排出量を含んでいます。
  4. *4.各数値の四捨五入により、各数値を合計した値と合計値に差異が生じる場合があります。
  5. *5.「対象外」のCO2排出量は0に相当します。
  6. *6.精度向上のため、2018年度の販売した製品の輸送にともなう2排出量を修正しています。
  7. *7.算定に用いた金額当たりのCO2排出原単位が前年より大きな値となったため、CO2排出量は増加しました。
  • スコープとは

気候変動への適応

1. 気候変動への適応策

気候変動が進むと、気象災害の頻発や農業形態の変化、熱中症の増加など、私たちのくらしに悪影響をおよぼす可能性があります。気候変動に対して、私たちは温室効果ガスの排出削減(緩和)を進めるとともに、気候変動の影響による被害の回避・軽減(適応)対策も同時に進めていく必要があります。
クボタグループでは、気候変動への適応策として、製品・サービスと事業所での取り組みを実施しています。

■製品・サービスでの取り組み
カテゴリ 主な取り組み
食料
  • 異常高温でも品質・収量を低下させない米づくりのために深耕可能なトラクタの提供や、高温条件に対応した適正な肥料の散布など、土づくりのための情報提供
  • 農作業など炎天下の厳しい条件下での作業の軽労化を図る機械の高性能化、ロボット技術やICTを活用したクボタスマートアグリシステム(KSAS)の提供
  • 農業関係の方へ気候変動による気温、降水量、日射量の変化と作物への影響に関する情報提供
洪水・浸水
  • 異常気象による洪水などの災害対策として、災害復旧用排水ポンプ車や超軽量緊急排水ポンプユニット、雨水貯留浸透製品、マンホールトイレ配管システムなどの提供
  • 台風・豪雨などの災害でも、強靭な管体と優れた継手性能によりその有効性を発揮するダクタイル鉄管の提供
渇水
  • 渇水対策として、上下水処理システムや処理プラントの効率的な運転に貢献するIoTを活用した管理システムの提供
  • 排水を再利用可能な水に浄化する液中膜ユニットや槽浸漬方式セラミックろ過装置などの提供
管理システム
  • NTTグループと連携した気象情報を活用したダムから排水機場までの施設を管理するIoTを活用したクボタスマートインフラストラクチャシステム(KSIS)の提供
  • 農業用水分野における遠隔での水田の適切な水管理が可能なほ場水管理システムWATARAS(ワタラス)の提供
生活環境
  • 災害・停電時に非常用電源となる発電機用ディーゼルエンジンの提供
  • 災害の防止や復旧・復興に貢献する建設機械の提供
  • 異常気象においてもクリーンで快適な室内環境を作る高効率な空調機器の提供
ほ場水管理システムWATARAS(ワタラス)の提供

WATARASは、スマートフォンやパソコンで水田の水位などをモニタリングしながら、遠隔操作や自動制御で水田への給水・排水ができるシステムです。
豪雨により河川が氾濫する危険があるときは、遠隔操作で排水する水位の設定を上げることで、一時的に田んぼに雨水をためるスマート田んぼダムの実証が行われており、洪水を防ぐ方法の一つとして期待されています。

  • WATARASのシステム概要

■事業所での取り組み

事業所での取り組みとして、BCPや災害対応マニュアルを策定しています。さらに、高潮やゲリラ豪雨対策として排水ポンプの設置や防災訓練を実施するとともに、水不足に備え貯水槽を設置しています。

耐候性のある屋根材の導入

Kubota Manufacturing of America Corporation(アメリカ)では、建屋屋根の豪雨対策および気温上昇対策として、長期間の耐候性を備え空調の省エネルギーにもつながる屋根材(ポリイソシアヌレート断熱材と熱可塑性ポリオレフィンシート)を第一工場に続き第二工場にも導入しました。

  • 第一工場へ設置(2019年)(左)と第二工場へ設置(2020年)(右)

TCFD提言に基づく開示

クボタグループは、2020年1月にTCFD*提言へ賛同を表明しました。

  • 金融安定理事会が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース
    (TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)

1. TCFD提言

気候変動により発生する様々なリスクや機会は、企業の財務に大きな影響を与える可能性があります。TCFD提言とは、2017年に企業に対して「投資家向けの気候関連情報の開示フレームワーク」を示したもので、金融システムの安定化を損なう恐れがある気候変動への対応状況や事業への影響等の情報開示を推奨するものです。提言では、気候変動がもたらすリスクおよび機会の財務的影響やその対応状況など、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に関する企業の自主的な把握と情報開示を求めています。
TCFD提言に関連する当社の開示状況は以下のとおりです。

TCFD 提言による開示推奨事項 関連箇所 KUBOTA REPORT 2021
掲載ページ
ガバナンス
a. 気候関連のリスクおよび機会についての取締役会による監督体制を記述 「環境経営推進体制」 P50
「コーポレートガバナンス体制」 P156
b. 気候関連リスクおよび機会を評価・管理する上での経営者の役割を記述 「環境経営推進体制」 P50
戦略
a. 組織が選別した短期・中期・長期の気候関連のリスクおよび機会を記述 「環境経営のアプローチ – マテリアリティ」 P38
「環境経営のアプローチ – リスクと機会」 P39
b. 気候関連のリスクおよび機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響を記述 「環境経営のアプローチ – リスクと機会」 P39
「環境経営のアプローチ – 重点施策」 P40
c. 2℃以下のシナリオを含む様々な気候関連シナリオに基づく検討をふまえ、組織の戦略のレジリエンスを記述 「環境ビジョン」 P41
「気候変動への対応」 P52
「環境配慮製品・サービスの拡充」 P74
リスク管理
a. 組織が気候関連のリスクを識別・評価するプロセスを記述 「環境経営のアプローチ – マテリアリティ」 P38
b. 組織が気候関連リスクを管理するプロセスを記述 「環境経営のアプローチ – マテリアリティ」 P38
「環境経営推進体制」 P50
「環境配慮製品・サービスの拡充」 P74
「内部統制 – 内部統制システム」 P162
「内部統制 – 内部統制システムの運営活動(リスク管理活動)」 P162
c. 組織が気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセスが組織の統合的リスク管理にどのように統合されているかを記述 「環境経営推進体制」 P50
「コーポレートガバナンス体制」 P156
「内部統制 – 内部統制システム」 P162
指標と目標
a. 組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに則して、気候関連リスクおよび機会を評価する際に用いる指標を開示 「環境保全中長期目標と実績」 P46
「気候変動への対応 – CO2削減対策」 P52
b. スコープ 1、スコープ 2、および当てはまる場合はスコープ 3 の温室効果ガス(GHG)排出量と、その関連リスクを開示 「気候変動への対応–バリューチェーンを通じたCO2排出量」 P55
「環境データ」 P93
c. 組織が気候関連リスクおよび機会を管理するために用いる目標、および目標に対する実績を記述 「環境保全中長期目標と実績」 P46

2. ガバナンス

クボタグループでは、地球環境保全を重要課題として捉えています。当社は、経営層主導の推進体制による戦略的でスピーディな環境経営を実現するため、「環境経営戦略会議」を設置しています。また、グループ全体の環境経営をグローバルに推進していくため、日本、中国、アジア、北米、欧州の5地域で「環境管理担当責任者会議」を設置しています。
「環境経営戦略会議」は、代表取締役社長とすべての社内取締役、企画本部長、生産技術本部長、研究開発本部長、調達本部長、コンプライアンス本部長によって構成されています。ここでは、気候変動などの地球環境問題や事業環境をふまえて、環境保全に関する中長期目標や重点施策など、当社環境経営の中長期的な方向性を審議し、環境負荷・環境リスクの低減や環境配慮製品の拡充など、重点的に取り組むべき事項や計画を決定しています。会議の結果は取締役会や執行役員会に報告するとともに、グループ内に展開しています。また、グループ全体の環境保全活動の進捗を把握・分析し、その結果を次の計画や方針の策定に反映することで、PDCAサイクルに基づいたマネジメントを実行しています。
「環境管理担当責任者会議」では、クボタグループの方針・推進事項の伝達や、環境保全中期目標に対する進捗状況の共有、省エネルギー対策・環境リスク対策などの事例共有、環境保全活動に関する課題解決の討議などを行っています。
また、当社では、環境関連の社会動向や各国の規制などをふまえ、中期(5年の活動期間)・長期(15年の活動期間)視点の環境保全目標を策定しています。環境保全中期目標は5年ごとに見直しを行っています。グローバル全生産拠点を対象に、各拠点で個別に中期計画を作成しています。環境管理部は年2回、目標に対する進捗状況の確認を行っています。同様に、エコプロダクツについても売上高比率の中長期目標を設定し、その進捗状況を年1回確認を行っています。計画の内容や進捗状況は「環境経営戦略会議」で報告を行い、目標の達成に向けた課題や対策などについて審議しています。

  • 環境経営推進体制

  • 環境プラントの運転やメンテナンスを事業として行っている拠点

3. 戦略

クボタグループは、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)などが公表している2°C・4°Cシナリオをふまえ、将来社会の分析を行い、2050年に向けて環境面から事業活動の方向性を示す「環境ビジョン」を策定しました。環境ビジョンでは、生産活動でのCO2削減の取り組みなどを通じた環境負荷ゼロへの挑戦に加え、環境配慮製品・ソリューションの提供を通じて「食料・水・生活環境」分野における温室効果ガスの排出抑制をはじめとする様々な社会課題解決に貢献することで、カーボンニュートラルでレジリエントな社会の実現に貢献します。当社は、2021年にカーボンニュートラル推進部を新たに設置しました。長期的な視点でカーボンニュートラルの実現に向けた施策の立案と実施を進めていきます。

■シナリオ分析

TCFD提言におけるシナリオ分析とは、長期的で不確実性の高い気候関連問題による事業への財務影響や、将来の事業戦略におよぼす影響を検討するために活用していくものです。当社事業は気候変動の影響を大きく受ける可能性があり、人口増加および経済発展の予想をベースに、IPCCやIEAなどが公表しているシナリオを用いて分析を行いました。
今後も、各シナリオを用いた気候変動によるリスク・機会の分析、予測される事業活動への影響や財務的評価の評価手法について検討を進め、さらなる開示拡充に取り組んでまいります。

設定シナリオ 参照シナリオ
移行面 2℃シナリオ IEAによる「2℃シナリオ(2DS)」*1 および「持続可能な開発シナリオ(Sustainable Development Scenario, SDS)」*2
4℃シナリオ IEAによる「参照技術シナリオ(Reference Technology Scenario, RTS)」*1 および「新政策シナリオ(New Policy Scenario, NPS)」*2
物理面 2℃/4℃シナリオ IPCCによる「代表濃度経路シナリオ」(Representative Concentration Pathways)*3 -RCP2.6, RCP8.5
  1. *1.出典IEA「Energy Technology Perspective 2017」
  2. *2.出典IEA「World Energy Outlook 2018」
  3. *3.出典IPCC「第5次評価報告書」

■気候変動によるリスクと機会

想定されるシナリオ 事業影響 発現時期*
短期 中期 長期


政策・規制リスク 企業に対する省エネルギー対応や温室効果ガスの排出抑制に関する規制などの強化 規制対応コスト増
市場・技術の
変化リスク
脱炭素化に向けた動きが加速し、エネルギー構成の変化や再生可能エネルギーの利用拡大などによるエネルギー価格高騰 製品開発・製造コスト増
市場や顧客の気候変動への関心の高まりによる電動化への移行やエネルギー効率の悪い製品の淘汰 製品開発コスト増、販売機会の損失    
害虫増加や農作物の収量減少、耕作適地の移動などによる農業形態の変化 販売機会の損失    
物理リスク 気候変動に起因する台風や豪雨など気象災害の頻発化・激甚化 自社やサプライヤーの操業への悪影響

販売機会の増加、
競争力強化
省エネルギー・創エネルギーを可能とする製品・サービスなどの市場投入 販売機会の拡大
農業形態の変化に対する農業ソリューションニーズの拡大 気候変動適応ビジネスの拡大  
効率化、
コスト削減
事業所における高効率機器への更新など省エネルギー対策の加速 生産性の向上
  • 発現時期は以下を示します。
    「短期」:3年以内。 
    「中期」:3年超5年以内。環境保全中期目標の活動期間。
    「長期」:5年超。環境保全長期目標の活動期間およびその先の将来。

■気候関連問題への対応

環境ビジョンでは『環境負荷ゼロに挑戦しながら、「食料・水・環境」分野でカーボンニュートラルでレジリエントな社会の実現に貢献します。』を掲げています。これは事業活動における温室効果ガスの排出削減や環境配慮製品・ソリューションの提供を通じ、社会のCO2排出を抑制していくことで持続可能な社会の実現に貢献していくことを示しています。今後も以下の活動を推進するとともに、個々の事業への影響をふまえ、気候変動への対応戦略を立案していきます。

活動項目 取り組み概要
事業所における
CO2排出削減の推進
省エネルギー関連の規制強化や再生可能エネルギー拡大によるエネルギー調達コストの増加などは、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。クボタグループでは環境保全中長期目標でスコープ1, 2のCO2排出量の削減、CO2排出原単位やエネルギー使用原単位の改善目標を設定しています。事業所においてはクボタ生産方式(KPS)に基づいたエネルギーのムダ・ロス削減や再生可能エネルギーの利用拡大、LED照明の導入などを実施し、気候変動の緩和策を推進しています。
気候変動への適応対応 気候変動が進むと、気象災害による被害拡大が懸念されます。クボタグループの事業所では、BCPや災害対応マニュアルの整備や防災訓練の実施、排水ポンプなどを設置し、自然災害による被害軽減につとめています。また当社は、台風や豪雨などの災害にも強いダクタイル鉄管や、水害が発生した際、迅速な排水活動が可能な災害復旧用排水ポンプ車などの製品・サービスを提供しています。人々のくらしを支え、自然災害に強いまちづくりに貢献できる気候変動への適応策にも注力していきます。
環境配慮製品・サービスの取り組み 2020年にパリ協定が始動したことをうけ、今後さらに省エネルギーやCO2排出削減の動きが加速し、市場やお客様の気候変動への関心は高まっていくと考えられます。それにより、省エネルギーや脱炭素化、電動化のニーズが拡大すると想定されます。市場では、これら社会ニーズに対応できていない製品は淘汰され、販売機会を失う可能性があります。クボタグループでは、気候変動への対応をはじめ、環境配慮性の高い製品の拡充を進めています。これからも環境配慮性の高い製品・サービスの開発を進め、スコープ3のCO2排出量の抑制につとめていきます。

4. リスク管理

クボタグループは、気候変動関連リスクと機会について定期的に見直しを行い、リスクと機会への対応状況は主に環境保全中長期目標に対する進捗に基づき評価しています。「環境保全長期目標2030」は2016年に策定しました。環境保全中期目標は5年ごとに策定し、2021年に「環境保全中期目標2025」を策定しました。グローバルの全生産拠点において、環境保全中期目標に基づいた削減取り組みの計画を策定し、毎年見直しを行っています。取り組み実績は拠点ごとに、評価・管理しています。環境配慮製品・サービスについても、設計・開発段階で製品アセスメントを実施し、環境配慮性の評価を行っています。省エネルギー化などの環境配慮性が認められた製品は、当社独自に「エコプロダクツ」として認定し、その売上高比率の実績を評価・管理しています。
評価結果は、環境管理部にて集約し、特に重要と認識されたリスクと機会がある場合には、「環境経営戦略会議」で審議し、取締役会や執行役員会へ報告し、対策を行います。

5. 指標と目標

クボタグループでは、気候変動によるリスクの低減と機会の拡大をめざした環境保全中長期目標を設定し、目標達成に向けた取り組みを推進しています。また、当社グローバル拠点(生産および非生産拠点)のCO2排出量(スコープ1, 2)および上流・下流側でのCO2排出量(スコープ3)の実績を収集し、経年で実績値の開示を行っています。主な開示データは第三者機関による保証を取得し、その精度向上につとめています。
今後も、グローバルでの環境保全活動の推進や、環境配慮製品・サービスの拡充を通じて、気候変動課題の解決につながる取り組みを推進していきます。

■気候変動関連の指標と目標

取り組み項目 指標 基準年度 目標
環境保全長期目標2030 CO2排出削減 国内クボタグループのCO2排出量 2014 30%削減
エコプロダクツの拡充 エコプロダクツ認定製品売上高比率 80%以上
環境保全中期目標2025 CO2排出削減 CO2排出原単位* 2014 25%改善
【新規】再生可能エネルギー利用率* 1%
省エネルギ エネルギー使用原単位* 2014 18%改善
エコプロダクツの拡充 エコプロダクツ認定製品売上高比率 70%以上
  • グローバル生産拠点を対象