環境マネジメント
クボタグループは、クボタグローバルアイデンティティや環境宣言に基づいて、各拠点・事業部門などバリューチェーン全体で業務運営を行うため、環境マネジメントシステムを体系的に整備しています。さらに、拠点・事業部門の活動形態に応じた環境マネジメントを推進しています。特に、生産拠点では、エネルギーや廃棄物などの環境負荷が大きく、大気汚染や水質汚濁のリスクがあります。それらに適切に対応するため、ISO14001やEMASをベースとした環境マネジメントシステムを構築し、決められたルールに基づいた業務運営と環境保全活動の継続的な改善につとめています。
環境法令遵守状況
環境法令を確実に遵守して環境事故を未然に防止するために、環境保全に関して定めた規定類に従って業務を運営しています。
排出ガス・排水・騒音・振動などについては、生産拠点ごとに法律や条例の規制値より厳しい自主管理値を設定して徹底した管理を実施し、環境関連法規制の不遵守や苦情があれば、速やかに関係行政機関と本社に報告する体制をとっています。
また、拠点における環境保全の仕組みや活動内容が、適正に実施されているかを確認する環境監査や、環境リスクの状態を明確にして改善につなげることを目的とした環境リスクアセスメントを毎年実施することによって、環境法令違反や環境事故の防止を図っています。
しかしながら、 2023年には国内で廃棄物不適切処理が2件、排水の規制値超過が2件発生しました。 これらについては、 周辺環境への影響を調査するとともに再発防止に取り組んでいます。なお、罰金および罰則の適用はありませんでした。
クボタグループの環境マネジメントシステム
以下の図は、クボタグループの環境マネジメントシステムを体系的に示しています。
1. 環境関連規定類
クボタグループでは、内部統制システムに基づいて、クボタ、すべての連結子会社および、環境マネジメント上で重要性が高い一部の持分法適用会社を対象に、環境関連規定類を定めています。
規定類の構成は以下のとおりです。
これらの規定類は、事業環境や法令の改定などに合わせて毎年見直しを行っています。また、グループ内のポータルサイトで最新版を掲載し、世界中の従業員が参照できるようにしています。
2. クボタグループにおける環境データの把握・管理
クボタグループは、グローバルで環境保全活動を実践するため、事業所におけるエネルギー使用量や廃棄物等の発生量・排出量、水使用量、VOC排出量などに関する環境データを「クボタ環境情報管理システム(KEDES)」を用いて収集しています。
「KEDES」は国内・海外の事業所における環境データを一括管理するシステムで、各事業所では毎月の実績データを登録し、自事業所での目標管理に役立てており、環境管理部では登録されたデータを集計・分析し、社内外への報告などに活用しています。環境データは、把握対象である株式会社クボタおよび全て(100%)の連結子会社をカバーしています。
3. 環境監査
国内グループの生産拠点・サービス拠点・オフィス・建設工事部門・維持管理部門および海外グループの生産拠点に対して、環境管理部が書面監査に実地監査を交えた環境監査を毎年実施しています。
また、生産拠点では、この環境管理部による環境監査に加え、各拠点でも内部環境監査を毎年実施し、環境管理状況をセルフチェックしながら環境管理レベルのさらなる向上につとめています。
すべての監査結果は、全社内部統制システムに従い、全社リスク管理委員会にて社長および経営層に対し報告しています。
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2023年度環境監査実施状況 対象拠点数 287(274拠点および農機販社13社) 監査項目数 29項目(生産拠点)~54項目(サービス拠点) - 詳細は下表のとおり
監査内容 水質・大気管理、騒音・振動管理、廃棄物・化学物質管理、温暖化防止、
異常時・緊急時対応、環境マネジメントシステム -
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クボタ伊丹オフィス
*環境監査は実地監査とリモート監査を併用して、実施しています。
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生産拠点 | オフィス | サービス拠点 | 建設工事 部門 |
維持管理 部門*2 |
監査拠点数 合計 |
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農機販社 | その他 | |||||||
国内グループ | 監査拠点数 | 25 | 80 | 13社*1 | 85 | 44 | 8 | 255 |
監査項目数 | 45 | 42 | 54 | 54 | 39 | 31 | ||
海外グループ | 監査拠点数 | 32 | - | - | - | - | - | 32 |
監査項目数 | 29 |
- 1 農機販社は拠点単位ではなく会社に対して実施
- 2 環境プラントの運転やメンテナンスを事業として行っている部門
4. 環境リスクアセスメント
生産拠点の環境関連設備の機能や管理方法等から、設備に存在している環境リスクを評価し、対策が必要であると判定した設備については、環境リスクが受容可能なレベルとなるように、設備対策、管理対策を強化するリスク低減活動を推進しています。
環境監査と環境リスクアセスメントという視点の異なる2つの活動を並行して行うことにより、さらなるリスク低減につとめています。
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環境リスクアセスメントの様子
クボタ筑波工場
5. 環境パトロール
各拠点では、環境事故や環境関連法違反につながる状態がないかを、拠点全体にわたってつぶさに確認する環境パトロールを実施しています。環境パトロールで、異常の原因となり得る状態を早期に発見することにより、環境リスクの低減につとめています。
-
環境パトロールの様子
久保田農業機械(蘇州)有限公司(中国)
6. 異常時・緊急時訓練
各拠点では、事業活動における環境リスクを特定し、リスクごとに対応手順を定めてリスクの極小化につとめています。
さらに、環境事故やそれにつながる事態が発生した場合を想定し、周辺環境への影響を最小限に抑えるために、対応手順に基づいた訓練を毎年実施しています。
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オイル漏えいを想定した訓練
株式会社クボタ建機ジャパン長崎営業所
7. 廃棄物処理委託先・有価物売却先の現地調査
クボタグループの国内拠点では、廃棄物等(有価物含む)の適正処理推進のため優良認定業者に処理委託先をシフトしています。
また、産業廃棄物・専ら物処理委託先、有価物売却先の訪問調査に関する社内ルールを規定し、調査報告書を共有するシステムにより調査の分担・効率化を図っています。
2023年度は、訪問調査は自治体条例等で現地確認を要求されている拠点でのみ実施し、その他の拠点では、処理委託先の公開情報等による調査を実施しました。今後も適正処理推進のため調査の実効性を高める取り組みを推進していきます。
サプライヤー管理
クボタグループは、環境経営を支えるサプライヤーと共同で環境保全の取り組みを推進しています。
具体的な活動例として、久保田農業機械(蘇州)有限公司(中国)では、調達部品の供給停止リスクを抑制するために、既存のサプライヤーに対して環境法令の遵守状況を確認する「環境パトロール」を実施し、発見された改善点への取り組みを進めていただくようお願いしています。また、新規サプライヤーに対しては、事前に環境法令遵守状況のパトロールを行い、法令遵守が確認できたサプライヤーのみ新規に採用することとしています。
環境教育・啓発
1. 2023年度の環境教育実績
クボタグループ社員を対象に環境教育と意識啓発を実施しています。階層別研修、専門教育、一般教育などの従業員教育に加え、外部団体の環境教育への協力なども行っています。
分類 | 教育・研修 | 回数 | 受講人数 | 概要 |
---|---|---|---|---|
階層別教育 | 経営幹部向け ESGフォーラム |
1 | 470 | 沖大幹氏(東京大学 総長特別参与 大学院工学系研究科 教授)による講演『気候変動・水・資源・生物多様性 ークボタの事業を取り巻く環境課 題とその対応』 |
スタッフ職新入社員研修 | 1 | 329 | 地球・地域環境問題とクボタグループの環境保全への取り組み | |
新任職長研修 | 1 | 6 | クボタグループの環境管理と職長としての取り組み | |
新任作業長研修 | 2 | 52 | クボタグループの環境管理と作業長としての取り組み | |
目的別専門教育 | 環境管理基礎 | 1 | 18 | 環境法規制、環境リスク、環境保全などの基礎知識 |
廃棄物管理 <基礎> |
2 | 58 | 廃棄物処理法と廃棄物管理 | |
廃棄物管理 <応用> |
1 | 11 | 廃棄物・資源循環関連法と廃棄物管理・削減 | |
環境関連施設管理 | 1 | 9 | 公害防止関連法と公害防止技術 | |
ISO14001 入門・初級講座 | 1 | 17 | ISO14001の概要 | |
ISO14001 環境監査員養成 教育 |
2 | 53 | ISO14001規格・環境関連法と監査技法 | |
e ラーニング | 海外生産拠点の環境管理 | 1 | 1,016 | 海外生産拠点で特に注意すべきクボタグループの環境管理ルール |
計 | 14 | 2,039 |
2. 環境功績賞
クボタグループでは、環境保全に顕著な貢献があったグループ・個人の活動功績を讃えるとともに、グループ社員の環境保全意識の高揚と環境保全活動の活性化を図ることを目的に、毎年、環境功績賞の表彰を行っています。
2023年度は、生産部門、非生産部門、製品部門、教育啓発部門、社会貢献部門の5区分を対象として環境保全活動の評価を行い、省エネルギー、廃棄物削減、VOC削減、環境配慮製品の開発、教育啓発活動などで成果のあった27件を表彰し、うち2件を優秀賞に選出しました。
今後も、地域や地球環境保全に貢献する優秀な活動を表彰し、その内容をグループ内で共有することを通じて、環境保全活動の活性化を図ります。
2023年度環境功績賞 優秀賞
対象 | 会社・所属 | テーマ |
---|---|---|
生産部門 | Siam Kubota Corporation Co., Ltd. | ゼロエミッション活動 |
非生産部門 | クボタグローバル技術研究所(KGIT) | KGIT建設における「社会に貢献する環境配慮型施設」実現をめざしたプロジェクト活動 |
2023年度環境功績賞 区分別受賞件数
-
対象 区分・件数 生産部門 優秀賞 1件、奨励賞 12件 非生産部門 優秀賞 1件、奨励賞 4件 製品部門 奨励賞 5件、特別賞 1件 -
対象 区分・件数 教育啓発部門 教育啓発賞 2件 社会貢献部門 社会貢献賞 1件
環境マネジメントシステム認証取得状況
クボタグループでは、すべての生産拠点を対象にISO14001または同等の環境規格(EMAS等)の認証を取得することを規定しています。
2023年12月末現在で、グローバルでは48拠点(カバー率*89.6%)が認証を取得しています。国内生産拠点では、24拠点すべて(カバー率*100%)が、海外生産拠点では、24拠点(カバー率*76.9%)が認証を取得しています。今後も継続して認証拡大を進めていきます。
- カバー率は生産金額ベースで算出
1. ISO14001認証
一覧表の拠点・事業ユニットには非生産拠点を含みます。
No | 拠点・事業ユニット | 認証に含まれる組織・ 関連会社 | 主要製品・サービスなど |
審査 登録 機関 |
認証取得 年月日 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 筑波工場 | 東日本部品総括室 筑波研修センター |
エンジン、農業機械 | LRQA | 1997年 11月28日 |
2 | 京葉工場 | 流通加工センター | ダクタイル鋳鉄管、異形管、スパイラル鋼管 | LRQA | 1998年 7月16日 |
3 | 市川工場 | スパイラル鋼管 | LRQA | 1998年 7月16日 |
|
4 | 阪神工場 | 尼崎事業所 丸島分工場 |
ダクタイル鋳鉄管、異形管、圧延用ロール、非金属鉱物製品(チタン酸カリウム) | LRQA | 1999年 3月5日 |
5 | 久宝寺事業センター | クボタ環境エンジニアリング(株) クボタメンブレン(株) ㈱クボタ計装関西支社 |
計量機器・計量システム、電子・光学関連製品、ポストハーベスト機器、廃棄物破砕機器・選別機器、液中膜ユニット、業務用空気清浄機 | DNV | 1999年 3月19日 |
6 | 枚方製造所 | 鋳鋼、建設機械 | LRQA | 1999年 9月17日 |
|
7 | 恩加島事業センター | 産業用鋳鉄製品 | JICQA | 1999年 12月22日 |
|
8 | 堺製造所・堺臨海工場 | 農業機械、建設機械、エンジン | LRQA | 2000年 3月10日 |
|
9 | 滋賀工場 | FRP製品 | JUSE | 2000年 5月18日 |
|
10 | 水循環事業ユニット | 新淀川事業所 | 下水・汚泥・浄水・用排水処理施設、ゲート、ポンプ、ポンプ設備 | ICJ | 2000年 7月14日 |
11 | 環境事業部環境機械部門 | ポンプ、ポンプ設備、バルブ、ゲート | ICJ | 2000年 7月14日 |
|
12 | 宇都宮工場 | 田植機、収穫機 | LRQA | 2000年 12月8日 |
|
13 | グローバル技術研究所 | 農業機械、建設機械、およびそれら関連機器 | LRQA | 2023年 9月1日 |
No | 会社名 | 認証に含まれる組織・グループ会社 | 主要製品・サービスなど |
審査 登録 機関 |
認証取得 年月日 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 日本プラスチック工業(株) | 本社工場、美濃工場 | 合成管・プラスチックシート | JSA | 2000年 10月27日 |
2 | (株)クボタ建設 | 土木構造物・建築物の設計・施工 | JQA | 2000年 12月22日 |
|
3 | クボタ環境エンジニアリング(株) 【旧:クボタ環境サービス(株)】 |
上水・下水・埋立て処分・し尿・ごみのプラント施設、ポンプ・ポンプ設備、環境保全プラント | MSA | 2002年 11月20日 |
|
4 | (株)クボタケミックス | 栃木工場 | 合成管・継手 | JUSE | 2003年 3月27日 (2011年 統合認証) |
堺工場 | |||||
阪神工場 | |||||
小田原工場 | |||||
(株)九州クボタ化成 | |||||
(株)沖縄クボタ化成 | |||||
5 | クボタ空調(株) | 栃木工場 | セントラル式空調機器、ヒートポンプ空調機器 | JQA | 2004年 8月27日 |
6 | (株)管総研 | 水道事業支援パッケージソフトウェア | JCQA | 2014年 4月14日 |
No | 会社名 | 主要製品・サービスなど |
審査 登録 機関 |
認証取得 年月日 |
---|---|---|---|---|
1 | SIAM KUBOTA Corporation Co.,Ltd.[Headquarters] (タイ) |
小型ディーゼルエンジン、農業機械 | BSI | 2003年 2月28日 |
2 | P.T. Kubota Indonesia(インドネシア) | ディーゼルエンジン、農業機械 | LRQA | 2006年 2月10日 |
3 | Kubota Materials Canada Corporation(カナダ) | 鋳鋼製品、ティーザクス | SGS (米) |
2006年 6月15日 |
4 | KUBOTA Precision Machinery (Thailand) Co.,Ltd.(タイ) | トラクタ用機器 | LRQA | 2015年 8月5日 |
5 | Kubota Manufacturing of America Corporation(アメリカ) | 汎用トラクタ、小型トラクタ、トラクタ用インプルメント | SGS | 2012年 9月20日 |
6 | SIAM KUBOTA Corporation Co., Ltd.[Amata Nakorn] (タイ) |
トラクタ、コンバイン | LRQA | 2012年 9月27日 |
7 | 久保田三聯ポンプ(安徽)有限公司(中国) | ポンプ | CCSC | 2013年 5月29日 |
8 | 久保田農業機械(蘇州)有限公司(中国) | コンバイン、田植機、トラクタ | SGS | 2013年 11月13日 |
9 | 久保田建機(無錫)有限公司(中国) | 建設機械 | SGS | 2014年 12月11日 |
10 | SIAM KUBOTA Metal Technology Co., Ltd.(タイ) | エンジン、トラクタ用鋳物 | MASCI | 2014年 12月19日 |
11 | 久保田発動機(無錫)有限公司(中国) | ディーゼルエンジン | SGS | 2015年 3月22日 |
12 | Escorts Kubota Limited (インド) | トラクタ、トラクタトランスミッション、トラクタ部品・スペアパーツ、建設機械、鉄道用機器 | TÜV EGAC |
2015年 5月25日 |
13 | KUBOTA Engine(Thailand)Co., Ltd.(タイ) | ディーゼルエンジン | LRQA | 2015年 7月3日 |
14 | Kubota Farm Machinery Europe S.A.S(フランス) | トラクタ | BV(仏) | 2017年 2月20日 |
15 | KUBOTA KASUI VIETNAM Co., Ltd.(ベトナム) | 水処理用化学薬品 | Inspect | 2021年 5月25日 |
16 | Kubota (U.K.) Ltd.(イギリス) | トラクタ、建設機械、エンジン、汎用機械の販売 | CQS | 2021年 7月23日 |
17 | Kverneland Group Manufacturing Kerteminde A/S(デンマーク) | 農業機械 | DNV | 2024年 8月19日 |
LRQA: LRQA Limited(イギリス)
DNV: DNV Certification B.V.(オランダ)
JUSE: (一財)日本科学技術連盟 ISO審査登録センター
ICJ: Intertek Certification Japan Limited
JICQA: 日本検査キューエイ(株)
JSA: 日本規格協会ソリューションズ(株)
JQA: (一財)日本品質保証機構
MSA: (株)マネジメントシステム評価センター
JCQA: 日本化学キューエイ(株)
MASCI: Management System Certification Institute (Thailand)(タイ)
SGS(米): Systems & Services Certification,a Division of SGS North America Inc.(アメリカ)
BSI: BSI Assurance UK Limited(イギリス)
SGS: SGS United Kingdom Limited(イギリス)
BV: Bureau Veritas Certification Holding SAS - UK Branch(イギリス)
Ínspect: Ínspect Uluslarasi Beglgelendirme ve Gözetim Hiz. Tic. Ltd. Şti.
CCSC: China Classification Society Certification Co.,Ltd(中国)
TÜV: TÜV SÜD South Asia Private Limmited,Mumbai(インド)
EGAC: Egyptian Accreditation Council(インド)
BV(仏): Bureau Veritas Certification France(フランス)
CQS: Certified Quality Systems Limited(イギリス)
2. EMAS認証
No | 会社名 | 主要製品 | 審査 登録 機関 |
認証取得 年月日 |
---|---|---|---|---|
1 | Kubota Baumaschinen GmbH(ドイツ) | 建設機械 | IHK | 2013年 1月3日 |
IHK: Industrie- und Handelskammer für die Pfalz(ドイツ)