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水資源の保全

経済協力開発機構(OECD)の「Environmental Outlook to 2050(2012)」では、経済の発展や人口増加などにともない、世界の水需要は2000年から2050年までに約55%増加し、深刻な水不足に見まわれる河川の流域の人口は、世界人口の40%以上になると報告されています。
クボタグループは「水資源の保全」をマテリアリティの一つとして捉え、節水や排水再利用による水使用量の削減、排水処理や排水水質の適正な管理など、水資源の有効活用や水リスクへの対応に取り組んでいます。生産拠点については地域の水ストレスの状況を把握した上で、生態系や人々の生活に悪影響を及ぼすことのないよう、対策を推進しています。

SDGsの達成に向けた活動

関連するSDGsとターゲット
6.安全な水とトイレを世界中に,6.3,6.4,9.産業と技術革新の基盤をつくろう,9.4,9.5,12.つくる責任 つかう責任,12.2,12.4,12.a,14.海の豊かさを守ろう,14.1,15.陸の豊かさも守ろう,15.1
主な活動内容
  • JITと自働化を柱として、水資源のムダ・ロス削減の推進
  • 節水対策、漏水点検、自社技術を活用した排水再生処理設備の導入
  • 排水の適切な管理およびリスク管理の徹底 など
2025年活動目標(KPI)
  • 環境保全中期目標2025:
    • グローバル生産拠点の水使用原単位 2014年度比35%改善
    • 排水処理設備や水リサイクル設備の運用により、排水の放流先の基準に応じた適切な排水管理を行う

環境保全中期目標2025に対する2022年度実績

取り組み
項目
管理指標*1 基準
年度
2025*2
年度
目標
2021*2
年度
実績

2022*2
年度
実績

   
水資源節約 水使用原単位 2014 ▲23% ▲35% ▲40% ▲31.6%
  1. *1.原単位は生産高当たりの環境負荷量です。海外拠点の生産高を円換算する際の為替レートは、基準年度の値を使用します。
  2. *2.▲は「マイナス」を意味します。

事業所での水使用

1. 水使用量

2022年度の水使用量は512万m3で、前年度比11.1%増加しました。一方、水使用原単位は前年度比8.9%改善しました。2022年度は、鋳物系拠点における水使用量は減少しましたが、主に海外で機械系の新規拠点が増えたことによって、全体の水使用量は増加しました。原単位は、連結売上高の増加(前年比+21.9%)に加え、塗装工程での乾式ブースへの変更、再生水の利用率の向上、冷却水使用量の管理精度向上などを進めたことで改善しました。

  • 水使用量と原単位の推移

    1. *1.2022年度に買収した海外拠点による増加分(47万m3
    2. *2.原単位は連結売上高当たりの水使用量です。連結売上高は、2018年度より従来の米国基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。

2. 水使用量削減対策

クボタグループは、環境保全中期目標を策定し、生産拠点において、水使用量の削減に取り組んでいます。中国、タイ、インドネシア、アメリカの生産拠点などでクボタグループの技術を活用した排水処理設備や排水再生システムを導入しています。
2022年度は、従業員への節水意識向上の呼びかけや漏水点検パトロールなどの日々の活動に加え、緑地への散水方法改善などを継続して実施しました。また、生産工程では、冷却水使用量の管理精度を向上させることで水使用を削減しました。グローバル生産拠点における環境保全中期目標2025に向けた水使用量削減対策の2022年度の成果として、前年度から対策を実施しなかった場合と比較して約9,800m3を削減しました。またそれらの対策の経済効果は150万円となりました。2022年度の生産高当たりの水使用原単位は、基準年度(2014年度)比で31.6%改善しました。
今後も、節水活動やクボタグループの技術を活かした水リサイクルの推進など、水資源の3Rを通じて、水使用量の削減を推進していきます。

  • Kubota Engine (Thailand) Co., Ltd.では、膜分離活性汚泥法(MBR)による排水処理システムを増設し、排水を場内散水や生活排水に再利用しています。

  • 地域別水使用量

  • 事業別水使用量

  • 種類別水使用量

    • 国内

    • 海外

排水の管理

クボタグループでは、法律や条例の排出基準より厳しい自主管理値を設定するとともに、基準値超過を起こさないように、測定管理項目を定めて定期的な測定を行っています。また、環境保全中期目標2025において、排水処理設備や水リサイクル設備の運用により、排水の放流先の基準に応じた適切に排水を管理する目標を新たに掲げました。
2022年度の排水量*は水使用量の増加などにより、501万m3 (地表水110万m3、海水193万m3、下水道198万m3)となり、前年比で2.6%増加しました。拠点では、水使用量削減対策などにより、排水量の削減を進めています。
今後も引き続き、排水管理や水使用量削減の活動を通じて、地域の水環境への負荷を低減していきます。

  • 排水量には、一部の事業所の雨水および湧水を含みます。

  • クボタ堺臨海工場では、液中膜方式のFRP浄化槽を増設しました。生活系廃水の高度処理が可能で、1日当たり最大110m3の排水を処理することができます。
    また、BCP対策として、排水処理施設のコンクリート基礎の嵩上げを行いました。IoTを活用した水管理ソリューションシステム「KSIS」を導入し、工場排水の適切な管理を実現しています。

地域の水ストレス調査

クボタグループでは、水資源の利用に関するリスクを把握し、より効果的な水リスクへの対応につなげていくため、全生産拠点を対象に水ストレス*に関する調査を実施しています。
世界資源研究所(WRI)が開発した水リスク評価ツール「Aqueduct」を用いて、17カ国、計66拠点の水ストレスを調査した結果は以下のとおりです。

  • 「 水ストレス」とは、1人当たり年間利用可能水量が1,700tを下回り、日常生活に不便を感じる状態を指します。本調査における水ストレスは、河川の流域ごとの物理的な水ストレスを採用しており、これは水資源の利用可能量に対する取水量の割合から算出しています。(世界資源研究所(WRI)より)
  • 生産拠点の水ストレスに関する調査結果(2022年度)

    地域・国名 水ストレスレベル/水使用量(千m3)〈拠点数〉
    高~中 中~低
    アジア 日本 0 0 1,726〈8〉 1,533〈13〉 20〈2〉
    中国 0 79〈1〉 0 0 20〈2〉
    インドネシア 0 0 10〈1〉 0 0
    タイ 232〈3〉 27〈1〉 7〈1〉 0 0
    サウジアラビア 17〈1〉 0 0 0 0
    インド 437〈7〉 0 0 0 0
    欧州 ロシア 0 0.4〈1〉 0 0 0
    ノルウェー 0 0 0 0 21〈1〉
    デンマーク 0 0 37〈1〉 0 0
    オランダ 0 0 0 0 32〈1〉
    ドイツ 0 0 10〈1〉 0 3〈2〉
    フランス 0 0 5〈1〉 0 1〈1〉
    スペイン 0 0 0 1〈1〉 0
    ポーランド 0 0 0 0 0.4〈1〉
    イタリア 14〈2〉 0 0 0 0.4〈1〉
    北米 カナダ 0 0 0 0 240〈2〉
    アメリカ 0 0 150〈2〉 22〈8〉 0
    合  計 *1 701〈13〉 107〈3〉 1,944〈15〉 1,556〈22〉 338〈13〉
    1. *1.各数値の四捨五入により、各数値を合計した値と合計値に差異が生じる場合があります。
  • 水ストレスレベル別の水使用量

調査の結果、水ストレスが「高」および「高~中」レベルの生産拠点は、中国蘇州市、タイ中部、サウジアラビア、インド、ロシア、イタリアに位置する16拠点で、これらの拠点の水使用量は全体の約17%でした。次いで、「中」レベルの生産拠点は、関東地方・愛知県、インドネシア、タイ沿岸部、アメリカ合衆国南東部と、一部欧州に位置する15拠点で、これらの拠点の水使用量は全体の約42%でした。他、「中~低」および「低」レベルの生産拠点の水使用量は全体の約41%でした。
クボタグループは、生産活動で利用する水の大半を水ストレスの「中」レベル以下の地域で取水しているもののタイ、インドなどの主要な拠点の一部が水ストレスの高い地域に位置しています。現在、これらの生産拠点では、水使用量の削減や排水の適正管理などについて、地区内における優良事例の水平展開を推進しています。
また、よりグローバルな事業展開に向け、増設を予定している新規拠点についても、都度その流域における水ストレス調査を行っていきます。