気候変動の緩和と適応(TCFD対応)
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書では、人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がなく、大気、海洋、雪氷圏及び生物圏において、広範囲かつ急速な変化が現れているとされています。また、国際的な枠組みである「パリ協定」が2020年から始動しました。各国ではCO2排出実質ゼロやカーボンニュートラルを宣言するなど、脱炭素社会への移行に向けた動きが加速しつつあり、企業における温室効果ガス削減の取り組みがさらに重要性を増してきています。
クボタグループは「気候変動の緩和と適応」をマテリアリティの一つとして捉え、2050年カーボンニュートラルの実現に挑戦することを表明しています。省エネルギー活動や再生可能エネルギーの導入などにより、温室効果ガス排出量を削減する気候変動の「緩和」と、気候変動の影響に備える「適応」に向けた取り組みを進めています。
SDGsの達成に向けた活動
関連するSDGsとターゲット | |
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主な活動内容 |
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2030年/2025年活動目標(KPI) |
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環境保全長期目標2030および実績
2030年目標 | 2030年に、クボタグループのCO2排出量*を2014年度比で50%削減します |
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実績 | 2022年度は、クボタグループのCO2排出量*を2014年度比で23.6%削減しました |
- CO2排出量は、クボタグループ全拠点(100%)のスコープ1およびスコープ2を対象とし、非エネルギー起源の温室効果ガスを含みます。
環境保全中期目標および実績
取り組み 項目 |
管理指標*2 | 基準 年度 |
2025年度目標*4 | 2030年度目標*4 新設 |
2022 年度実績 |
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改定前 | 改定後 | |||||
CO2削減*1 | CO2排出原単位 (スコープ1,2) |
2014 | ▲25% | ▲45% | ▲60% | ▲38.9% |
再生可能エネルギー利用率*3 | — | 1%以上 | 20%以上 | 60%以上 | 8.3% | |
省エネルギー推進 | エネルギー使用原単位 | 2014 | ▲18% | ▲35% | ▲40% | ▲32.5% |
- *1.CO2排出量は、基準年のスコープ1およびスコープ2の90.6%を対象とし、非エネルギー起源の温室効果ガスを含みます。エネルギー起源CO2の算定において、電力の排出係数は基準年度の値を使用します。
- *2.原単位は生産高当たりの環境負荷量です。海外拠点の生産高を円換算する際の為替レートは、基準年度の値を使用します。
- *3.対象範囲はグローバル拠点です。
- *4.▲は「マイナス」を意味します。
気候変動の緩和
1. CO2排出量(スコープ1とスコープ2)
2022年度のCO2排出量は58.5万t-CO2で前年度比4.4%減少しました。一方、CO2排出原単位は前年度比21.6%改善しました。
CO2排出量は、海外でEscorts Kubota Ltd.などの機械系拠点が増加しましたが、再生可能エネルギーの利用拡大、鋳物系拠点の減産、電力使用にともなう排出係数の改善により減少しました。原単位は、連結売上高の増加に加え、燃料転換、省エネルギー活動の推進、高効率設備の導入などの削減対策の推進によりCO2排出量を抑制したことで改善しました。
-
CO2排出量*1と原単位の推移
- *1.グループ全体のCO2排出量への影響が大きい買収・売却した企業のCO2排出量を買収・売却以前に遡り補正した場合のCO2排出量は2014年度77.8万t-CO2、2015年度73.9万t-CO2、2016年度70.0万t-CO2、2017年度68.8万t-CO2、2018年度69.3万t-CO2、2019年度67.2万t-CO2、2020年度61.4万t-CO2、2021年度66.0万t-CO2、2022年度59.5万t-CO2となります。
- *2.CO2排出量(58.5万t-CO2)にはCO2として大気排出されず、鉄管などの製品に吸収される炭素相当分(1.5万t-CO2)を含んでいます。
- *3.2022年度に買収した海外拠点による化石燃料由来の増加分(3.8万tーCO2)
- *4.CO2排出量は、クボタグループ全拠点(100%)のスコープ1およびスコープ2を対象とし、非エネルギー起源の温室効果ガスを含んでいます。
- *5.原単位は連結売上高当たりのCO2排出量です。連結売上高は、2018年度より従来の米国基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。
2. CO2削減対策
クボタグループは、環境保全中長期目標を策定し、事業活動に伴うCO2排出量とエネルギー使用量の削減に注力しています。各生産拠点において、中期的な削減対策の実施計画を策定し、毎年見直しを行っています。その際、インターナルカーボンプライシング*を導入し、設備投資計画においてCO2排出量やエネルギー使用量の削減効果やCO2削減量当たりの投資費用を算定しています。案件ごとに環境面での有効性や経済合理性を明らかにし、投資判断の材料としています。
具体的な削減対策としては、エネルギー効率の高い設備への切り替えや適切な運転管理によるエネルギー消費のムダ取り、工程ごとの使用電力の見える化などの取り組みを進めています。また、グローバル全拠点において、LED照明の利用拡大を進めてきました。2022年末時点で、生産拠点における照明のLED化比率は79.8%となりました。2022年度は圧縮エアの省エネルギー対策などにも取り組みました。
また、再生可能エネルギーの導入も進めています。2022年度は、グローバル技術研究所やクボタ精機株式会社(日本)、KUBOTA Precision Machinery(Thailand)Co.,Ltd.などで新たに太陽光発電システムが稼働しました。グループ全体での再生可能エネルギーの利用量は68,183MWh (約41,831t-CO2の排出量削減に相当)となりました。再生可能エネルギー利用率は2025年目標を20%に引き上げました。2022年実績は8.3% となりました。
- 組織が内部的に炭素価格付けを実施すること
-
地域別CO2排出量
-
事業別CO2排出量
- *1.農業機械、建設機械、エンジンなどの製品の生産によるCO2排出量
- *2.ダクタイル鉄管、鋳鋼などの製品の生産によるCO2排出量
-
排出源別CO2排出量
-
国内
-
海外
-
- *1.非エネルギー起源温室効果ガスには以下を含みます。
CO2 4.3千t-CO2、CH4 0.9千t-CO2、N2O 0.4千t-CO2、HFC 1.3千t-CO2、PFC 0千t-CO2、SF6 0.02千t-CO2、NF3 0千t-CO2
-
事業所におけるエネルギー使用量と原単位の推移
- *1.PJ=1015J、TJ=1012J
- *2.2022年度に買収した海外拠点による化石燃料由来の増加分(0.6PJ)
- *3.原単位は連結売上高当たりのエネルギー使用量です。連結売上高は、2018年度より従来の米国基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。
3. バリューチェーンを通じたCO2排出量
事業所におけるCO2排出量にとどまらず、バリューチェーン全体の排出量の把握に取り組んでいます。ガイドライン*に基づき、スコープ3排出量を算定しました。今後も算定対象の拡大につとめていきます。
- 環境省・経済産業省「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」
区分 | 算定対象 | 排出量(万t-CO2)*4 | |||||
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2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | |||||
自社の排出 | 直接排出 (スコープ1)*1 |
化石燃料の使用 | 28.5 | 30.3 | 29.5 | ||
非エネルギー起源温室効果ガスの排出 | 0.6 | 0.6 | 0.7 | ||||
間接排出 (スコープ2)*1 |
購入した電力・熱の使用 | 27.9 | 30.4 | 28.3 | |||
上流および 下流での排出 |
その他の 間接排出 (スコープ3) |
1 | 購入した製品・サービスの資源採取、製造、輸送*2,3 | 304.6 | 373.2 | 410.4 | |
2 | 購入した設備などの資本財の製造、輸送 | 29.2 | 40.6 | 56.7 | |||
3 | 購入した燃料・エネルギーの資源採取、製造、輸送 | 10.5 | 11.2 | 11.1 | |||
4 | 輸送・配送(上流) | 19.9 | 28.5 | 28.2 | |||
5 | 拠点から排出した廃棄物の処理 | 2.8 | 3.1 | 3.1 | |||
6 | 従業員の出張 | 1.1 | 1.1 | 1.9 | |||
7 | 雇用者の通勤 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | |||
8 | 賃借したリース資産の運用 | 対象外 *5 | 対象外 *5 | 対象外 *5 | |||
9 | 輸送・配送(下流) | 0.0 | 0.0 | 0.0 | |||
10 | 中間製品の加工 | 9.0 | 11.7 | 14.1 | |||
11 | 販売した製品の使用*2,3 | 2,195.7 | 2,840.9 | 3,715.6 | |||
12 | 販売した製品の廃棄時の処理*2 | 4.9 | 6.1 | 6.8 | |||
13 | 賃借するリース資産の運用 | 対象外 *5 | 対象外 *5 | 対象外 *5 | |||
14 | フランチャイズの運用 | 対象外 *5 | 対象外 *5 | 対象外 *5 | |||
15 | 投資の運用 | 対象外 *5 | 対象外 *5 | 対象外 *5 | |||
合計 スコープ3 | 2,578.7 | 3,317.4 | 4,248.9 | ||||
合計 スコープ1、2、3 | 2,635.7 | 3,378.7 | 4,307.4 |
- *1.CO2排出量は、クボタグループ全拠点(100%)を対象としています。
- *2.2022年度より対象となる製品範囲を変更しました。この変更は過年度に遡及して適用しています。
- *3.精度向上のため製品ごとのCO2排出原単位を修正しています。この変更は過年度に遡及して適用しています。
- *4.各数値の四捨五入により、各数値を合計した値と合計値に差異が生じる場合があります。
- *5.「対象外」のCO2排出量は0に相当します。
-
スコープとは
気候変動への適応
1. 気候変動への適応策
気候変動が進むと、気象災害の頻発や農業形態の変化、熱中症の増加など、私たちの暮らしに悪影響を及ぼす可能性があります。気候変動に対して、私たちは温室効果ガスの排出削減(緩和)を進めるとともに、気候変動の影響による被害の回避・軽減(適応)対策も同時に進めていく必要があります。
クボタグループでは、気候変動への適応策として、製品・サービスと事業所での取り組みを実施しています。
カテゴリ | 主な取り組み | |
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食料 |
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水 | 洪水・浸水 |
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渇水 |
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管理システム |
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生活環境 |
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ほ場水管理システムWATARAS(ワタラス)の提供
WATARASは、スマートフォンやパソコンで水田の水位などをモニタリングしながら、遠隔操作や自動制御で水田への給水・排水ができるシステムです。
豪雨により河川が氾濫する危険があるときは、遠隔操作で排水する水位の設定を上げることで、一時的に田んぼに雨水をためるスマート田んぼダムの実証が行われており、洪水を防ぐ方法の一つとして期待されています。
- 1 ほ場水管理システムWATARAS(ワタラス)をご参照ください。
■事業所での取り組み
台風や豪雨により生産設備や物流への影響が考えられます。事業所ではBCP対策や災害対応マニュアル策定をして、気象災害時でも事業活動を停滞・遅延させないための取り組みを推進しています。BCP対策では耐震補強とともに、豪雨による建屋への影響軽減措置や浸水からの電源設備の保護などを進めています。さらに、高潮やゲリラ豪雨対策として排水ポンプの設置や防災訓練を実施するとともに、水不足に備え貯水槽を設置しています。
TCFD提言に基づく開示
クボタグループは、2020年1月にTCFD*提言へ賛同を表明しました。
- 金融安定理事会が設置した気候関連財務情報開示タスクフォース
(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)
1. TCFD提言
気候変動により発生する様々なリスクや機会は、企業の財務に大きな影響を与える可能性があります。TCFD提言とは、2017年に企業に対して「投資家向けの気候関連情報の開示フレームワーク」を示したもので、金融システムの安定化を損なう恐れがある気候変動への対応状況や事業への影響等の情報開示を推奨するものです。提言では、気候変動がもたらすリスクおよび機会の財務的影響やその対応状況など、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に関する企業の自主的な把握と情報開示を求めています。また、温室効果ガス排出削減にコミットする企業は低炭素経済への移行計画の説明が求められるなど、TCFD提言の一部が改訂(2021年10月)されました。クボタグループは今後も、気候変動への対応の検討を進め、開示拡充に努めていきます。
TCFD 提言による開示推奨事項 | 関連箇所 | Kubota Group ESG REPORT 2023 掲載ページ |
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ガバナンス | ||
a. 気候関連のリスクおよび機会についての取締役会による監督体制を記述 | 「環境経営推進体制」 | P34 |
「コーポレートガバナンス体制」 | P153 | |
b. 気候関連リスクおよび機会を評価・管理する上での経営者の役割を記述 | 「環境経営推進体制」 | P34 |
「役員報酬」 | P160 | |
戦略 | ||
a. 組織が選別した短期・中期・長期の気候関連のリスクおよび機会を記述 | 「環境経営のアプローチ – 環境経営におけるマテリアリティ」 | P19 |
「環境経営のアプローチ – リスクと機会」 | P20 | |
b. 気候関連のリスクおよび機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響を記述 | 「環境経営のアプローチ – リスクと機会」 | P20 |
「環境経営のアプローチ – 重点施策」 | P21 | |
c. 2°C以下のシナリオを含む様々な気候関連シナリオに基づく検討をふまえ、組織の戦略のレジリエンスを記述 | 「環境ビジョン」 | P22 |
「気候変動の緩和と適応」 | P36 | |
「環境配慮製品・サービスの拡充」 | P66 | |
リスク管理 | ||
a. 組織が気候関連のリスクを識別・評価するプロセスを記述 | 「環境経営のアプローチ – 環境経営におけるマテリアリティ」 | P19 |
b. 組織が気候関連リスクを管理するプロセスを記述 | 「環境経営のアプローチ – 環境経営におけるマテリアリティ」 | P19 |
「環境経営推進体制」 | P34 | |
「環境配慮製品・サービスの拡充」 | P66 | |
「内部統制 – 内部統制システム」 | P166 | |
「内部統制 – 内部統制システムの運営活動(リスク管理活動)」 | P166 | |
c. 組織が気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセスが組織の統合的リスク管理にどのように統合されているかを記述 | 「環境経営推進体制」 | P34 |
「コーポレートガバナンス体制」 | P153 | |
「内部統制 – 内部統制システム」 | P166 | |
指標と目標 | ||
a. 組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに則して、気候関連リスクおよび機会を評価する際に用いる指標を開示 | 「環境保全中長期目標と実績」 | P28 |
「気候変動の緩和と適応 – CO2 削減対策」 | P36 | |
「役員報酬」 | P160 | |
b. スコープ 1、スコープ 2、および当てはまる場合はスコープ 3 の温室効果ガス(GHG)排出量と、その関連リスクを開示 | 「気候変動の緩和と適応 – バリューチェーンを通じたCO2 排出量」 | P39 |
「環境データ」 | P82 | |
c. 組織が気候関連リスクおよび機会を管理するために用いる目標、および目標に対する実績を記述 | 「環境保全中長期目標と実績」 | P28 |
2. ガバナンス
クボタグループでは、2014年より「環境経営戦略会議」を設置し、気候変動などの地球環境問題や事業環境をふまえた環境保全に関する中長期目標や重点施策、環境ビジョンなどの審議を行ってきました。2021年からは、クボタ独自のESG経営を実現するため、「KESG経営戦略会議」に移行し、グループ全体のESG関連課題の審議を行っています。また、グループ全体の環境経営をグローバルに推進していくため、日本、中国、アジア、北米、欧州の5地域で「環境管理担当責任者会議」を設置しています。
「KESG経営戦略会議」は、代表取締役社長を委員長に、すべての社内取締役、事業本部担当役員、財務担当役員、人事担当役員、研究開発担当役員、製造担当役員、環境管理担当役員、経営企画部長などによって構成されています。環境経営については、気候変動などの地球環境問題や事業環境をふまえて、環境保全に関する中長期目標や重点施策など、当社環境経営の中長期的な方向性を審議し、環境負荷・環境リスクの低減や環境配慮製品の拡充など重点的に取り組むべき事項や計画を決定しています。会議の結果は取締役会や執行役員会に報告するとともに、グループ内に展開しています。また、グループ全体の環境保全活動 KESG経営戦略会議の進捗を把握・分析し、その結果を次の計画や方針の策定に反映することでPDCAサイクルに基づいたマネジメントを実行しています。 2022年のKESG経営戦略会議において、環境関連の課題を計4回審議しました。
「環境管理担当責任者会議」では、クボタグループの方針・推進事項の伝達や、環境保全中期目標に対する進捗状況の共有、省エネ対策・環境リスク対策などの事例共有、各地域における環境保全活動に関する課題解決のための討議などを行っています。
また、当社では、環境関連の社会動向や各国の規制などをふまえ、中期(5年の活動期間)・長期(15年の活動期間)視点の環境保全目標を策定しています。環境保全中期目標は5年ごとに見直しを行っています。グローバル生産拠点において、各拠点で個別に中期計画を作成しています。環境管理部は、年2回、目標に対する進捗状況の確認を行っています。同様にエコプロダクツについてもエコプロダクツ認定製品売上高比率の中長期目標を設定し、進捗状況の確認を年1回行っています。計画の内容や進捗状況を執行役員会へ報告しています。
-
環境経営推進体制
- 環境プラントの運転やメンテナンスを事業として行っている拠点
■これまでの取り組み
TCFD提言への賛同を表明して以降、本ガバナンス体制において審議を行った気候変動関連の事項は下表のとおりです。今後も環境経営をグローバルで推進する中で、気候変動に関する取り組みを進めていきます。
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
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3. 戦略
クボタグループは、2021年に、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)や国際エネルギー機関(IEA)などの1.5°C/2°C・4°Cシナリオをふまえ、将来社会の分析を行い、2050年に向けて環境面から事業活動の方向性を示す「環境ビジョン」を策定しました。環境ビジョンでは、拠点におけるCO2削減の取り組みなどを通じた環境負荷ゼロへの挑戦に加え、環境配慮製品・ソリューションの提供を通じて「食料・水・環境」分野における様々な社会課題解決やカーボンニュートラルでレジリエントな社会の実現に貢献することを表明しています。そのビジョンを実現していくためにも、事業活動に影響を及ぼす規制動向や技術進展、市場の変化を考慮する必要があります。また、気候変動が加速することによる物理的な変化にも着目する必要があります。そこで、1.5°C/2°C・4°Cシナリオを用いて将来想定される市場・事業環境の変化をふまえ、事業分野における気候変動による影響の分析および評価を行いました。
今後も各シナリオを用いた気候変動によるリスク・機会の分析、予測される事業活動への影響や財務インパクトの評価手法について検討を進め、さらなる開示拡充に取り組んでいきます。
(1)シナリオ分析
TCFD提言におけるシナリオ分析とは、不確実性の高い気候関連問題による事業への財務影響や、将来の事業戦略に及ぼす影響を検討するために活用していくものです。気候変動による影響のシナリオ分析では、2050年に向けた人口増加や経済発展をベースに、 IPCCやIEAなどが公表している1.5°C/2°C・4°Cシナリオを用いて、2030年に想定される事業への影響評価を行いました。
(2)シナリオ分析のプロセス
ステップ1 対象事業分野および気候シナリオの選定
2021年に策定した環境ビジョンは、2050年ごろの社会像を分析し、2050年のカーボンニュートラル実現に貢献することを目標として設定しました。さらに、将来求められる環境面から事業の姿を構築していくために、その途中の2030年を想定した事業軸における分析を実施しました。当社は「食料・水・環境」分野で事業を展開しており、そのうち、売上高などの財務的な側面と非財務の両面から気候変動による影響が大きいと想定される「食料」(農機)および「水」分野の事業を対象に2021年は分析を行いました。
2022年には、さらに対象を全事業に拡大しました。
-
シナリオ分析の時間軸
2030年の事業への影響を評価するため、利用可能な科学的根拠をふまえ、1.5℃/2°Cおよび4°Cシナリオを選定しました。
項目 | 前提条件 |
---|---|
対象事業 | 全事業 (機械および水環境) |
時間軸 | 気候変動による2050年ごろに想定される変化をふまえた上で、2030年の事業への影響を分析 |
設定シナリオ | 参照シナリオ | |
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移行面 | 1.5°C/2°Cシナリオ | IEAによる「2050年ネットゼロ排出シナリオ(Net Zero Emissions by 2050 Scenario, NZE2050)」*1、「持続可能な開発シナリオ(Sustainable Development Scenario, SDS)」*1, 2、FAOによる「持続可能追求シナリオ(Towards Sustainability Scenario, TSS)」*3 |
4°Cシナリオ | IEAによる「現行政策延伸シナリオ(Stated Policies Scenario, STEPS)」*1, 2 FAOによる「現状維持シナリオ(Business As Usual Scenario, BAU) |
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物理面 | 1.5°C/2°C・4°Cシナリオ | IPCCによる「共通社会経済経路(Shared Socio-economic Pathway, SSP)」シナリオ *4 |
- *1.出典IEA「World Energy Outlook 2020」
- *2.出典IEA「Energy Technology Perspective 2020」
- *3.出典FAO「The future of food and agriculture – Alternative pathways to 2050」
- *4.出典IPCC「第6次評価報告書」
ステップ2 リスク・機会の抽出
公開されている文献やデータなどを活用し、当社事業に影響があると想定される、リスクと機会の抽出と機械および水環境事業で想定される2030年の世界を分析しました。機械事業に関わる将来世界は、自動車の脱炭素化のように今後の規制強化が予想されており、産業機械分野においても動力源の多様化を求める動きが加速すると考えられます。欧州では持続可能な経済活動のリスト化(タクソノミー)が実施され、都市部への内燃機関製品の乗り入れ規制が進み、工事などで使われる建機や公園整備に使われる芝刈機などの産業機械においても電動化の需要が高まると予想されます。インドでは天然ガスインフラの普及が拡大するなど、地域により低・脱炭素エネルギーの需給状況が異なります。日本では持続可能な農業に向けた戦略が発表されるなど、農業由来の温室効果ガス排出抑制に取り組む必要が高まっています。産業機械は長時間の稼働が求められる工事や農作業といった充電施設などのインフラにアクセスが難しい地域での使用が想定されます。長期的には電気や低・脱炭素燃料の利用が拡大すると考えられますが、農機や建機などの用途においてそれらの普及状況は不透明です。2030年時点では一部の地域で電動化や低・脱炭素燃料の利用が進む一方で、化石燃料を使用した製品の需要も継続すると考えます。また、持続可能な次世代農法やそれらに対応した農機による温室効果ガス削減へのニーズが想定されます。その他にも、気象条件の変化により降水量や水源量への影響や、農作物が育つ環境にも変化が生じる可能性があり、変化への適応が求められています。
水環境事業に関わる将来世界では、製品の原材料となる鉄の製造方法の脱炭素化や炭素税の引き上げなどにより調達や製造などの各バリューチェーンで影響が顕在化すると考えます。また、人口増加や経済発展にともない鉱物資源などの利用の拡大が予想されます。社会全体で脱炭素およびサーキュラー・エコノミーの意識が高まり、新規資源の採掘を回避する循環利用が加速すると考えます。水資源についても需要の増加が見込まれますが、海面上昇による地下水の塩化、豪雨による河川の濁度上昇など水質悪化も懸念され、水資源の管理がより一層厳格に運用される可能性があります。また、日本、北米、欧州、アジアなどは水ストレスの高まりによる、農業・生活用水へ影響が出てくると想定されます。中緯度や熱帯湿潤地域、モンスーン地域では豪雨が頻発し、被害も甚大化する可能性があり、人々の暮らしに多大な悪影響を及ぼすことが予想されます。
-
機械事業に関連する2030年の世界
-
水環境に関連する2030年の世界
ステップ3 注視すべき変化の特定
気候変動による市場・環境変化の大きさ、影響を受ける事業・地域の重要性、バリューチェーン上での影響を勘案し、将来事業を展開していくために当社が注視すべき市場・環境の変化を特定しました。
ステップ4 シナリオ分析の実施
特定した注視すべき変化ごとに機械および水環境事業の視点で、事業への影響(リスク・機会)を評価し、それらへの対応戦略を策定しました。
(3)気候変動シナリオ分析による事業分野ごとのシナリオ分析結果
<機械事業において考慮した変化>
考慮した変化 | バリューチェーンの影響 | シナリオ | |||
---|---|---|---|---|---|
調達 | 直接操業 | 製品 | 1.5°C/2°C | 4°C | |
気候変動関連の規制強化等による製品設計・使用要件の変化 | ○ | ○ | ○ | ||
脱炭素化製品・サービスを望む市場ニーズの変化 | ○ | ○ | ○ | ||
農業における脱炭素推進による農業形態の変化 | ○ | ○ | ○ | ||
耕作適地の変化(農機・農法の需要変化) | ○ | ○ |
<機械事業における分析結果>
シナリオ | シナリオ分析結果概要(市場・事業環境の変化) | 評価結果(2030年) | 財務インパクト* (2030年) |
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1.5°C/ 2°C |
リスク 【技術】 機会 【製品】 |
気候変動関連の規制強化等による製品設計・使用要件の変化
|
|
中 |
|
小-中 | |||
機会 【市場】 |
脱炭素化製品・サービスを望む市場ニーズの変化
|
|
小-中 | |
機会 【市場】 |
農業における脱炭素推進による農業形態の変化
|
|
中-大 | |
4°C | 機会 【レジリエンス】 |
耕作適地の変化(農機・農法の需要変化)
|
|
中-大 |
対策戦略 | ||||
イノベーションを通じて製品使用段階でCO2排出抑制に貢献していきます
農業からの温室効果ガス削減や持続可能な食料生産活動を支援していきます。
|
- 損益への影響を 「小」≦25億円、25億円<「中」≦250億円、250億円<「大」 で示す。
<気候変動対応に貢献する取り組み例>
<水環境事業において考慮した変化>
考慮した変化 | バリューチェーンの影響 | シナリオ | |||
---|---|---|---|---|---|
調達 | 直接操業 | 製品 | 1.5°C/2°C | 4°C | |
社会が企業に求める脱炭素化対応の変化 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
水と資源の確保・保全に向けた社会動向の変化 | ○ | ○ | |||
社会の気象災害に対する意識の変化 | ○ | ○ |
<水環境事業における分析結果>
シナリオ | シナリオ分析結果概要(市場・事業環境の変化) | 評価結果(2030年) | 財務インパクト* (2030年) |
|
---|---|---|---|---|
1.5°C/ 2°C |
リスク 【規制・技術】 |
社会が企業に求める脱炭素化対応の変化
|
|
小 |
機会 【市場】 |
水と資源の確保・保全に向けた社会動向の変化
|
|
中-大 | |
機会 【資源効率】 |
水と資源の確保・保全に向けた社会動向の変化
|
|
中-大 | |
4°C | 機会 【レジリエンス】 |
気象災害に対する意識の変化
|
|
小-中 |
対策戦略 | ||||
様々な資源(水・エネルギー・鉱物など)の有効活用に貢献していきます。
気象災害に強い水インフラづくりに貢献していきます。
事業活動から発生するCO2排出抑制につとめていきます。
|
- 損益への影響を 「小」≦25億円、25億円<「中」≦250億円、250億円<「大」 で示す。
<気候変動対応に貢献する取り組み例>
<事業共通で考慮した変化>
考慮した変化 | バリューチェーンの影響 | シナリオ | |||
---|---|---|---|---|---|
調達 | 直接操業 | 製品 | 1.5°C /2°C | 4°C | |
社会が企業に求める脱炭素化対応の変化 | ○ | ○ | ○ | ||
異常気象増加による自社・サプライヤーへの影響 | ○ | ○ | ○ | ○ |
<事業共通の分析結果>
シナリオ | シナリオ分析結果概要(市場・事業環境の変化) | 評価結果(2030年) | 財務インパクト*1 (2030年) |
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1.5°C/ 2°C |
リスク 【規制】 |
社会が企業に求める脱炭素化対応の変化
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中 |
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小 (約25憶円*2) |
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4°C | リスク 【物理的】 |
異常気象増加による自社・サプライヤーへの影響
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中 (約30-60億円*3) |
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中 | |||
対策戦略 | ||||
事業活動から発生するCO2排出抑制につとめていきます。
自拠点・サプライヤーにおける気候変動リスク対策を強化していきます。
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- *1.損益への影響を 「小」≦25億円、25億円<「中」≦250億円、250億円<「大」 で示す。
- *2.2030年時点の予想される炭素税を乗じて試算
- *3.過去発生した気象災害にともなう損失を参考に試算
(4)低炭素経済への移行計画
気候変動にともなうシナリオ分析を通じて、事業への影響を抽出し対応戦略の検討を行いました。特に気候変動にともない、食料生産や生活に重要な水資源には大きな影響があると考えます。クボタグループの環境ビジョンでは、カーボンニュートラルでレジリエントな社会の構築に貢献することをめざしています。ビジョン実現を通じてこれら社会課題解決につなげていくための移行計画(ロードマップ)を策定しました。
<TCFD提言に基づく移行計画の開示>
移行計画において考慮する要素 | クボタの状況 | |
---|---|---|
ガバナンス | 承認、監督、説明責任、報告、レビュー | KESG経営戦略会議で報告・レビューを実施 |
透明性 | 統合報告書、ESGレポートなどを通じ、進捗状況や新たな取り組みなどを報告 | |
インセンティブ | ESGの推進に対する評価を役員報酬に反映 | |
保証 | 環境保全中長期目標、エネルギー使用量、CO2 排出量の実績値は第三者保証の対象 | |
戦略 | 整合性 | K-ESG経営のマテリアリティとして「気候変動の緩和と適応」を特定 |
シナリオ分析 | 1.5°C/2°Cおよび4°Cシナリオ分析の結果、環境ビジョンの背景を開示 | |
仮説 | 社会全体のメガトレンドとして人口増加、経済発展、都市化が進む | |
優先する機会 | 気候変動にともなう農業や水資源への社会課題解決に貢献する製品・ソリューションの提供 | |
行動計画 | 短中長期視点のロードマップを策定 | |
財務計画 | 気候変動対応に関連する設備投資、研究開発費を中期経営計画2025に含む | |
リスクマネジメント | リスクの説明 | 機械事業、水環境事業における1.5°C/2°C 、4°Cシナリオにおけるリスクを抽出 |
計画の課題と不確実性 | 現時点の検討可能な情報などに基づいているため、今後の技術開発や市場動向などにより大きく異なる可能性がある | |
指標と目標 | 指標、目標、日付 | P30 ~34、52を参照 |
方法論 | スコープ1, 2については、総排出量と原単位の両方を指標に設定。総排出量は1.5°Cシナリオで求められている目標レベル(2030 年までに半減、2050 年までにカーボンニュートラル実現)に基づいて設定。さらに再生可能エネルギー利用率も指標に加えている。各年度の実績は第三者保証を受けた数値をWEBサイトで公開している。 | |
GHG排出削減量 | スコープ1, 2において2030年に2014年度比で50%の排出削減を達成する。2022年度実績はESGレポート2023のP38、39を参照。スコープ3における排出削減は検討中 |
- 移行計画
-
TCFD提言では、移行計画を、「組織の全体的な事業戦力の一側面であり、GHG排出量の削減など、低炭素経済への移行を支援する一連の目標と行動」と定義しています。投資家などのTCFD関連情報の使用者は、低炭素経済への移行にともない、企業がどのように気候関連リスクを低減し事業機会を増やそうとしているのかに関心を持っています。2021年10月にTCFD提言が改訂され、移行計画の開示ガイダンスが公表されました。
TCFDの詳細は以下サイトをご参照ください。
www.fsb-tcfd.org/
<農業分野におけるクボタがめざすカーボンニュートラル・循環型社会>
当社の製品・サービスを通じた農業分野におけるカーボンニュートラルと資源循環への貢献を示しています。
<カーボンニュートラル実現に向けたロードマップ>
上記は現時点の検討可能な情報などに基づくものです。今後の技術開発や市場動向などにより大きく異なる可能性があります。
- *1)コンパクト電動トラクタ:www.kubota.co.jp/news/2022/newproduct-20220905.html
- *2)水素エンジン:www.kubota.co.jp/news/2022/management-20220928.html
- *3)マイクロハイブリッドエンジン:global.engine.kubota.co.jp/ja/technology/microhybrid/
- *4)農業ソリューション:www.kubota.co.jp/innovation/smartagri/
- *5)ほ場水管理システム:agriculture.kubota.co.jp/product/kanren/wataras/
- *6)農業系バイオマスを利用した地域資源循環システム:www.kubota.co.jp/news/2022/management-20220405.html
- *7)CO2削減プロジェクトのJ-クレジット認証取得:www.kubota.co.jp/news/2022/management-20221226.html
- *8)スマート水道工事:www.kubota.co.jp/product/ironpipe/products/technology/innovation/
- *9)水環境プラント・機器向けIoTソリューション:www.kubota.co.jp/product/ksis/
クボタスマートビレッジ構想
クボタグループは、2030年の当社がめざす姿として長期ビジョン「GMB2030」を策定しました。豊かな社会と自然の循環にコミットする“命を支えるプラットフォーマー”として当社がめざす姿が実現された社会、「クボタスマートビレッジ」構想を公開しました。「クボタスマートビレッジ」ではAIやIoTなどのテクノロジーを駆使して、ハードとソフト、ソリューションの提供を通じ、カーボンニュートラルと資源循環が実現した未来の社会を描いています。
詳細は以下をご参照ください。
www.kubota.co.jp/smartvillage/
4. リスク管理
■環境保全活動におけるリスク管理
2014年度に「環境経営戦略会議」を発足し、気候変動などの地球環境問題や事業環境をふまえた環境保全に関する中長期目標や重点施策、環境経営の中長期的な方向性の審議を行ってきました。2021年度より、環境関連の審議は社長を委員長とする「KESG経営戦略会議」に移行しました。当会議は、ESGの観点で、グループの中長期的な企業価値創出に向けた方針策定と主要な施策の検討・評価を行う事を目的としています。また、審議結果は、必要に応じ取締役会および執行役員会へ報告しています。
①リスク・機会の特定プロセス
当社では、バリューチェーン全体(直接操業、上流・下流含む)における気候変動に関わる移行・物理的リスクおよび機会を特定するため、気候変動への対応を含む環境保全活動に関わるマテリアリティの特定を行っています。発現するリスク・機会の対象期間は短期・中期・長期的な視点で行い、特定したリスク・機会は毎年見直しを行っています。マテリアリティの特定プロセスは以下のとおりです。
ステップ1) 国際的な政策や外部評価指標、当社事業分野におけるグローバルトレンドなどの情報収集・分析
ステップ2)「KESG経営戦略会議」での検討や社内関係部門へのヒアリング、ESG投資機関などとの対話を通じて、課題を抽出
ステップ3) ステークホルダーおよびクボタグループにとっての重要度を検討し、重要課題をマトリックス表にマッピング
ステップ4) 重要度が高い課題に対する影響(リスク・機会)を抽出した上で、重点施策を策定し、着実に推進
②リスク・機会への対応の評価プロセス
当社ではリスク・機会への対応および評価のプロセスとして、環境保全中長期目標を設定し、その進捗管理を行っています。目標設定にあたり、環境保全に関する対策案や中期(3-5年の期間)・長期(5-15年の期間)の目標を「KESG経営戦略会議」で審議しています。各拠点は計画を作成し、環境管理部は毎年進捗状況の管理を行っています。「KESG経営戦略会議」では、実績と目標との差異を分析した上で、重点施策や中長期的な取り組みの方向性を審議しています。また、各地域の状況に応じた気候変動への対応を推進していくため、5地域で「環境管理担当責任者会議」を実施し、地域に応じた課題の評価および対応を検討しています。
5. 指標と目標
クボタグループでは、気候変動によるリスクの低減と機会の拡大をめざした環境保全中長期目標を設定し、目標達成に向けた取り組みを推進しています。また、当社グローバル拠点(生産および非生産拠点)のCO2排出量(スコープ1, 2)および上流・下流側でのCO2排出量(スコープ3)を算定し、経年での実績値の開示を行っています。主な環境指標は第三者機関による保証を取得し、その精度向上につとめています。
スコープ1, 2のCO2排出量については、グローバル拠点を対象に50%削減(2014年度比)を環境保全長期目標2030として設定し、環境ビジョンで示したカーボンニュートラルは2050年までの実現をめざします。そのために、拠点におけるエネルギー消費を削減する省エネ活動の継続、キュポラの電炉化などの燃料転換、さらに再生可能エネルギーの利用拡大などを通じ、カーボンニュートラルの実現を推進していきます。
今後も、グローバルでの環境保全活動の推進や、環境配慮製品・サービスの拡充を通じて、気候変動課題の解決につながる取り組みを推進していきます。
■気候変動関連の目標と2022年度の実績
取り組み項目 | 管理指標 | 基準年度 | 2025年度目標*3 | 2030年度目標*3 | 実績*3 |
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CO2 排出量*1 | 2014 | — | ▲50% | ▲23.6% | |
CO2 排出削減 (スコープ1, 2) |
CO2 排出原単位*2 | 2014 | ▲45% | ▲60% | ▲38.9% |
再生可能エネルギー利用率*1 | — | 20% 以上 | 60% 以上 | 8.3% | |
省エネルギー推進 | エネルギー使用原単位*2 | 2014 | ▲35% | ▲40% | ▲32.5% |
エコプロダクツの拡充 | エコプロダクツ認定製品売上高比率 | — | 70% 以上 | 80%以上 | 65.6% |
- *1.グローバル拠点を対象とする
- *2.グローバル生産拠点を対象とする
- *3.▲は「マイナス」を示す