化学物質の管理
化学物質は人々の暮らしに欠かせないものとなっています。一方で、化学物質による人体や生態系への影響を抑制するために、各国では化学物質の使用・管理に関する法規制を強化しています。
クボタグループは「化学物質の管理」をマテリアリティの一つとして捉え、生産拠点の塗装工程から排出されるVOC(揮発性有機化合物)の削減をはじめとして、フロン類の切り替えや漏えい防止など、化学物質による環境への負荷を削減する取り組みを進めています。
- SDGsの達成に向けた活動
- 環境保全中期目標2025に対する2022年度実績
- 生産拠点での化学物質の管理・削減
- オゾン層破壊物質の管理
- 大気汚染物質の排出の管理
- 地下水の管理状況
- 製品に含まれる化学物質の削減
SDGsの達成に向けた活動
関連するSDGsとターゲット | |
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主な活動内容 |
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2025年活動目標(KPI) |
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環境保全中期目標2025に対する2022年度実績
取り組み 項目 |
管理指標*2 | 対象範囲 | 基準 年度 |
2025*3 年度 目標 |
2022*3 年度 実績 |
進捗状況 |
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VOC削減*1 | VOC排出 原単位 |
グローバル 生産拠点 |
2014 | ▲42% | ▲37.6% | VOCを含む塗料・シンナー類の廃止や削減を推進しています。 |
- *1.VOC(揮発性有機化合物)は、クボタグループでの排出量に占める割合が大きい、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼンの6物質を対象としています。
- *2.原単位は生産高当たりの環境負荷量です。海外拠点の生産高を円換算する際の為替レートは、基準年度の値を使用します。
- *3.▲は「マイナス」を意味します。
生産拠点での化学物質の管理・削減
1. VOC排出量
2022年度のVOC排出量は718tで、前年度比27%増加しました。VOC排出原単位は前年度比4.2%悪化しました。
国内では、鋳物系生産拠点において生産量が減少したことや、機械系生産拠点での塗装工程の改善活動などにより、VOC排出量は39t減少しました。海外では、VOCを含まない塗料への切り替えなどで削減した一方で、新規拠点が加わったことにより192t増加しました。原単位は、連結売上高の増加以上に排出量が増加したことにより悪化しました。
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VOC排出量と原単位の推移
- *1.2022年度に買収した海外拠点からの排出量(221t)を含みます。
- *2.クボタグループでの排出量に占める割合が大きいキシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、1,2,4-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリメチルベンゼンの6物質を対象としています。
- *3.原単位は連結売上高当たりのVOC排出量です。連結売上高は、2018年度より従来の米国基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。
2. VOC削減対策
クボタグループは、環境保全中期目標を策定しています。全生産拠点(100%)において、中期的な削減対策の実施計画を策定し、毎年見直しを行い、VOC排出量の削減に取り組んでいます。生産拠点において、取り扱う化学物質のリスク管理や、塗料やシンナーなどのVOC含有資材の削減を進めています。
2022年度は、塗料のVOCレス化やVOC除去装置の増強に取り組みました。
グローバル生産拠点における環境保全中期目標2025に向けたVOC削減対策の2022年度成果として、前年度から対策を実施しなかった場合と比較して16tを削減しました。
またそれらの対策の経済効果は0.40億円となりました。2022年度の生産高当たりのVOC排出原単位は、基準年度(2014年度)比で37.6%改善しました。
今後も、VOCを含む塗料やシンナーなどの廃止・代替化や使用量削減などの取り組みに加え、法令遵守と周辺地域への負荷低減に配慮した排気処理設備の導入により、VOC排出量削減を推進していきます。
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地域別VOC排出量
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事業別VOC排出量
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物質別VOC排出量
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国内
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海外
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3. PRTR法対象物質の排出量・移動量
2022年度のPRTR法*対象物質の排出量・移動量は506tで、前年度比15.3%減少しました。また、PRTR排出移動原単位は前年度比30.5%改善しました。VOC排出量の削減と同様、PRTR法対象物質の削減対策を継続して推進しています。
- 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律
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PRTR法対象物質の排出量・移動量と原単位の推移(国内)
- *1.拠点ごとの年間取扱量が1t(特定第1種は0.5t)以上の物質について集計
- *2.原単位は連結売上高当たりのPRTR法対象物質排出量・移動量です。連結売上高は、2018年度より従来の米国基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を適用しています。
オゾン層破壊物質の管理
クボタグループでは、オゾン層破壊物質である特定フロンを、意図的な製品への含有、また製品の製造過程での添加を禁止*1する物質と定めています。国内では、2016年度中にジクロロペンタフルオロプロパンを含む資材の切り替えが完了し、PRTR法*2届出対象のオゾン層破壊物質の取り扱いおよび排出はなくなりました。
また、国内では、エアコンや冷蔵冷凍機器に冷媒として充填されているフロン類については、フロン排出抑制法*3に定められた基準に従い、漏えい抑制のための徹底した管理を実施しています。
- *1.HCFCについては、冷媒、断熱材としての製品への意図的添加を禁止
- *2.特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律
- *3.フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律
大気汚染物質の排出の管理
クボタグループでは、法律や条例の排出基準より厳しい自主管理値を設定するとともに、基準値超過を起こさないように、ばい煙発生施設の運転制御や集塵装置の点検などの日常管理を徹底しています。
2022年度の大気汚染物質は、SOx排出量5.3t*(前年度比86.2%増加)、NOx排出量65.3t(前年度比16.5%増加)、ばいじん排出量37.2t(前年度比93.6%増加)でした。主な増加要因は、2022年度に新たにグループ会社となったEscorts Kubota Ltd.の追加によります。燃料転換による発生源対策や集塵装置の保全など、大気汚染物質の排出抑制につとめていきます。
- 一部の国内拠点では排出ガスの濃度実測値と排出ガス量からではなく、原料・製品・廃棄物の硫黄重量から推計してSOx排出量を算出しています。
(大気排出量 = 石炭投入量 - 鉄生産量 - スラグ廃棄量 - ダスト廃棄量)
2022年度末(2022年12月31日時点)で敷地内に保管しているスラグに含まれている硫黄分を考慮した場合、2022年度のSOx排出量は4.9tとなります。
地下水の管理状況
過去に有機塩素系化合物を使用していた拠点における地下水測定結果は、以下のとおりです。
拠点名 | 物質名 | 地下水測定値 | 環境基準値 |
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クボタ筑波工場 | トリクロロエチレン | 不検出(0.0001mg/ℓ未満) | 0.01mg/ℓ以下 |
クボタ宇都宮工場 | トリクロロエチレン | 不検出(0.001mg/ℓ未満) | 0.01mg/ℓ以下 |
製品に含まれる化学物質の削減
欧州のREACH規則*などの化学物質規制への対応として、製品に含まれる化学物質を把握し、適切に管理するためのルールを設定し、運用しています。
2010年度より、3つのレベルに区分して、製品に含まれる化学物質を管理しています。また、お取引先様のご協力をあおぎながら、製品含有化学物質の調査をグローバルに進めています。
- 欧州連合(EU)の化学物質の登録、評価、認可および制限規則
- 3つの管理区分 -
- 製品への含有を禁止する「禁止物質」
- 用途や条件によって製品への含有を制限する「制限物質」
- 製品への含有量を把握する「管理対象物質」