次のリンクより、本文、本ページのローカルメニュー、このサイトの共通メニューに移動します。

生物多様性の保全

私たちの企業活動は、土壌、大気、水、動植物などからなる自然資本から提供される様々な生態系サービスに依存しています。一方、生物多様性は、世界各地で様々な危機に瀕しており、国際的な枠組みであるSDGs(目標14、15)の達成のためにも、企業は生物多様性の保全と生態系サービスの持続可能な利用が求められています。
クボタグループは「生物多様性の保全」をマテリアリティの一つとして捉え、企業活動や製品・サービスの提供、社会貢献活動において、自然資本に与える影響をふまえ、生物多様性の保全や自然環境の保護に配慮するようつとめています。
これらをふまえ、環境保全中期目標2025から各拠点の特色や事業内容に合わせた生物多様性保全活動の目標設定を開始し、その活動の進捗状況を確認しています。

SDGsの達成に向けた活動

関連するSDGsとターゲット
14.海の豊かさを守ろう,14.1,15.陸の豊かさも守ろう,15.1,15.2,15.4,15.9,15.a,2.飢餓をゼロに,2.4,6.安全な水とトイレを世界中に,6.3,7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに,7.a,9.産業と技術革新の基盤をつくろう,9.4,12.つくる責任 つかう責任,12.2,12.8,12.a,13.気候変動に具体的な対策を,13.1,13.3
主な活動内容
  • 生物多様性の保全活動の推進
    • 稚魚放流、サンゴの再生ボランティア、植樹活動、野生鳥獣の保護
    • 事業所構内や周辺の緑化や美化活動
    • 社会貢献活動(クボタeプロジェクト)
  • 排水、排ガス、廃棄物の適切な管理・削減による自然環境の保全 など
2025年活動目標(KPI)
  • 環境保全中期目標2025:
    • 事業所内の緑化やビオトープの設置などを通して、自然環境の保護と生物多様性の保全を推進する。
    • 社会貢献活動として地域の自然環境保護や生物多様性の保全を推進する。

生物多様性保全の考え方

クボタグループは、環境保全の基本5項目の一つとして「生物多様性の保全」を定めています。2009年12月に「クボタグループ環境基本行動指針」へ生物多様性に配慮した企業活動を織り込みました。また、2021年に更新した「エコ・ファーストの約束」の中でも、生物多様性の保全のための活動を推進することを掲げています。

生物多様性保全の考え方

クボタグループは、「生物多様性の保全」を環境保全の基本5項目の一つとし、企業活動や製品・サービスの提供、社会貢献活動において、自然資本に与える影響をふまえ、生物多様性の保全や自然環境の保護に配慮するようつとめます。

【主な取り組み内容】
  1. 企業活動
    1. 設計開発段階では、製品環境アセスメントを実施し、自然資本に与える影響評価を実施します。
    2. 調達段階では、サプライヤーへ「グリーン調達ガイドライン」を提示し、生物多様性への配慮を要請します。
    3. 生産・物流段階では、事業所の操業や物資の輸送にともなう環境負荷低減や環境リスク管理につとめます。
    4. 環境マネジメントの一環として、従業員への環境教育や意識啓発を実施し、生物多様性の価値と保全活動の重要性に対する認識を深めます。
    5. 環境コミュニケーションの一環として、生物多様性保全に関する取り組みなどの情報発信につとめます。
  2. 製品・サービスの提供
    1. 低燃費や排出ガスのクリーン化など、環境負荷の少ない製品・サービスの提供により、生物多様性への影響低減につとめます。
    2. 汚水処理や廃棄物処理などの水環境ソリューションの提供により、動植物の生息・生育環境の改善に貢献します。
    3. スマート農業や環境に配慮した都市基盤整備などに寄与する製品・サービスの提供により、生態系サービスの持続可能な利用に貢献します。
  3. 社会貢献活動
    1. 社会貢献活動「クボタeプロジェクト」の耕作放棄地再生支援活動や里山・森林の保全活動などを通して、自然環境の保護を推進します。
    2. 事業所構内や周辺の美化・緑化や地域の動植物保護を推進します。

生物多様性との関わり

世界経済フォーラムによると気候変動関連のリスクと並び、生物多様性の喪失がグローバルリスクの一つとなっています。企業は、生物多様性の損失を減らし回復させる取り組みを進めること、すなわち、ネイチャーポジティブな経済活動への移行が求められています。このような状況の中、国際的なイニシアティブや枠組みが構築されつつあり、そのうちの一つに「TNFD」(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures,自然関連財務情報開示タスクフォース)があります。
TNFDは、企業の活動範囲を特定した上で、事業活動が各地域のどのような生物多様性・自然資本に依存し、どのような影響を与えているかを評価し、それらが自社の取り組みにとってどのようにリスクや機会となるのかを分析することを提唱しています。この分析手法はLEAPアプローチと呼ばれています。
下のチャートはクボタグループの企業活動および社会貢献活動と生物多様性との関わりを全体像で示したものです。このうち、生物多様性との関わりの重要性が高いと考えられる農業および水環境の各分野における評価結果を下の”LEAPアプローチによる評価結果”に記載しています。

LEAPアプローチ
TNFDは、自然関連リスクと機会を総合的に評価するプロセスとしてLEAPアプローチを策定しました。LEAPアプローチによる分析は、自然との接点を発見(Locate)、依存関係と影響の診断(Evaluate)、リスクと機会の評価(Assess)、そして自然関連リスクと機会に対応する準備と開示(Prepare)の4つのステップから構成されています。

LEAPアプローチの4つのステップ

    • Locate:発見
    • Evaluate:診断
    • Assess:評価
    • Prepare:準備
  • TNFDの詳細は以下サイトをご参照ください。
    tnfd.global/

LEAPアプローチによる評価結果

農業分野における生物多様性への影響とクボタの貢献

2050年には世界人口は新興国を中心に100億人近くになり、食料需要が増加すると予想されています。食料問題を解決するために農作物の収量確保は重要となります。しかしそのための新たな農地開墾や農薬・肥料の過剰な使用は生物多様性に悪影響を与えます。また、気候変動による干ばつ、高温、降雨量の変化などによる耕作適地の移動は新たな農地開墾につながり、動植物の生息域を奪う可能性があります。そこで、「農業」分野におけるクボタグループの事業活動と生物多様性との関わりを整理するため、LEAPのフレームワークに基づいて評価を行いました。

  • 稲作地域における事業の評価


    Locate 日本を含むアジア地域では稲作が多く、農機や関連製品・サービスが広く活用されている。
    Evaluate 農薬・肥料
    収量増加のために農薬や化学肥料を使用。過剰な利用は土壌汚染や水質悪化につながる。
    土 地
    農地拡大のため開墾や森林伐採の可能性がある。
    Assess 当社は稲作地域において農機や関連製品・サービス事業を展開している。
    リスク
    持続不可能な農業による農家の廃業や環境性能の低い製品販売による顧客離れの可能性がある。
    機 会
    農業の生産性向上に貢献する機械や持続可能な農業を実現するソリューションの提供を通じて生物多様性の保全に貢献し売上高増加が期待できる。
    Prepare 農作物の収量拡大や施肥量最適化に貢献する製品の提供を通じ、生態系や生息域への悪影響を抑制する。
    当社の取り組み例
    • KSAS 、スマート農機などが精密農業による農業の生産性向上に貢献し、単位面積当たりの収量アップを図る。
  • 畑作・果樹園地域における事業の評価


    Locate 欧州地域における畑作・果樹栽培では、農機や農作業用インプルメントが広く活用されている。
    Evaluate 農薬・肥料
    過剰な利用は土壌汚染や水質悪化につながる。また、EUでは農薬の使用制限に関する規制強化が議論されている。
    Assess 当社は畑作・果樹園地域において農機や農作業用インプルメント事業を展開している。
    リスク
    持続不可能な農業による農家の廃業や環境性能の低い製品販売による顧客離れの可能性がある。
    機会
    農業の生産性向上に貢献する機械や持続可能な農業を実現するソリューションの提供を通じて生物多様性の保全に貢献し売上高増加が期待できる。
    Prepare 農薬・肥料の過剰な散布量を抑える製品の提供を通じ、生態系への悪影響を低減する。
    当社の取り組み例
    • スプレイヤー、ドローンなどが農薬や肥料の適正利用に貢献し、過剰な使用を抑制する。

水環境分野における生物多様性への影響とクボタの貢献

近年、世界各地でみられる豪雨などの気象災害は今後一層増加すると予想されます。極端な異常気象は人間社会への影響だけでなく、生物の生息場所を奪い、生態系にも大きな影響を与えます。干ばつが発生すると人々や生物が生きていくために必要な水へのアクセスが困難になります。また、天然資源の採掘による自然破壊や環境汚染が生態系に悪影響を及ぼす可能性もあります。そこで、「水環境」分野におけるクボタグループの事業活動と生物多様性との関わりを整理するため、LEAPのフレームワークに基づいた評価を行いました。

  • 水に関連する事業の評価


    Locate アジアには、安全な飲み水へのアクセスが不足している地域や汚染水を処理するインフラ未整備の地域がある。
    Evaluate 局所的に水ストレス地域が多く存在し、水質の悪化や湖沼の枯渇など、生物の生息場所を脅かしている。
    Assess 当社は水インフラの整備や維持管理に貢献する事業を展開している。
    機会

    水資源や汚染水の浄化、有効活用のためのインフラや設備の需要が増加する。
    Prepare 上下水道の配管材の提供および水処理プラントのエンジニアリングなどにより、水インフラの整備や水リサイクルに貢献する。それが水域の環境や生物多様性の保全につながる。
    当社の取り組み例
    • 液中膜ユニットの提供により、濁り(SS)または有機物の除去、および処理水の中水や工程水への再利用が可能になる。
  • 資源に関連する事業の評価


    Locate 日本は肥料で使われるリンや金属などの天然資源を海外からの輸入に依存している。
    Evaluate 資源採掘は、多くの自然環境を破壊し、地域の生物の生息場所を奪い、生物多様性の損失につながる可能性がある。
    Assess 当社は資源循環の促進に貢献する事業を展開している。
    機会
    自然環境に悪影響を及ぼす資源採掘を抑制するため、資源回収・リサイクルの需要が増加する。
    Prepare 廃棄物から金属やプラスチックなどの資源を回収するための破砕・選別設備、下水汚泥から化学肥料の原料となる物質を取り出す溶融炉などのリサイクルプラントの提供を通じて、サーキュラーエコノミーを実現する。
    当社の取り組み例
    • 破砕機の提供により、廃棄物を破砕し、有用な金属を「生産」する循環型社会の実現に貢献する。
    • 汚泥溶融処理技術の活用により、廃棄物を減容化し、高度な資源回収を可能にする。

事業所での生物多様性の保全

2022年度は事業所構内におけるビオトープの保全、工場周辺の清掃や緑化を通じた社会貢献活動、そして様々な生物が暮らせる環境の整備などを行い自然環境の保護と生物多様性の保全を推進しました。

  • 虫のホテルを設置


    Kubota Farm Machinery Europe S.A.S(フランス)では、敷地内に虫のホテルを設置して、生物多様性の保全につとめています。

  • ビオトープの設置


    Siam Kubota Corporation Co., Ltd.(タイ)では、工場内にビオトープを設置して生物多様性の保全を図っています。

  • マングローブ植林


    Kubota Engine(Thailand)Co., Ltd.(タイ)では、自治体と協力して沿岸のマングローブ植林を行いました。マングローブは、海岸浸食を防ぎ、生物多様性の保全に役立ちます。

  • 養蜂


    Kverneland Group Nieuw-Vennep BV(オランダ)では、工場敷地内にミツバチの巣箱を設置しています。専門家の指導のもとに設置したミツバチの巣箱は、増設を重ね、合計4つとなりました。

  • 稚魚の放流


    Siam Kubota Metal Technology Co.,Ltd.(タイ)では、地元の自治体や企業と協力して、稚魚の放流を行いました。

  • 駐輪場の屋上緑化


    クボタ枚方製造所では、所内の緑化活動として構内駐輪場の屋根上に緑地を設置しました。

社会貢献活動の推進

クボタグループでは、海洋プラスチック汚染の原因となる散乱ごみを回収するため、事業所周辺において、1回/年以上美化活動を実施しています。

  • 工場周辺の清掃活動を実施


    クボタ宇都宮工場では、隔月で担当者による工場外周美化活動を行っています。

  •  


    株式会社九州クボタ化成では、隔月で担当者による工場外周美化活動を行っています。

  • Kubota Industrial Equipment Corporation(アメリカ)では、工場周辺の公共道路や駐車場の清掃活動を行いました。

  • Siam Kubota Corporation Co., Ltd. (タイ)では、コロナ禍で実施できなかった清掃活動の代わりに、寺院の活動を支援する非営利団体への寄付活動を行いました。

継続的な保全活動の推進

環境保全中期目標2025に掲げた生物多様性の保全に関する取り組みについては、事業所内の緑化や社会貢献活動などを継続的に推進しています。また、クボタグループでは事業所での生産活動にともなう環境負荷から、客先での製品・サービスによる影響まで、幅広く生物多様性に関わりがあると考えています。
生産拠点でのエネルギー消費量やCO2、廃棄物、水、化学物質などの排出量や、各拠点での削減対策の進捗状況については、執行役員会で報告しています。気候変動による影響が生物多様性の損失につながる可能性が指摘されており、この度、2030年のCO2排出削減目標値を上方修正しました。
農場における化学肥料の使用低減に向けた取り組みとして、クボタ営農支援システム「KSAS」と農業用ドローンやセンサ付きコンバインによるほ場管理の普及に取り組んでいます。農薬や肥料をより効率的に使用・散布することで、化学物質の環境への影響を減らし、生物多様性の保全にも貢献します。