精密農業システム(FMIS)
より高度な営農支援を可能にするFMISで、農業の課題解決に貢献する
FMISはデータを活用した精密農業の鍵
昨今、農業従事者数は世界的に減少傾向にあります。国連食糧農業機関(FAO)によると、2000年にはおよそ10億人とされていた世界の農業従事者数は、2019年には約9億人まで減少しています。また、超高齢化社会が進行する日本では、2000年に230万戸だった販売農家は、2015年に130万戸、2020年には102万戸まで落ち込んでおり、この傾向は今後も変わらないと考えられています。
農業従事者が減少する中で、農業経験の多寡に関係なく高品質な農作物を生産できるようにするために、データを活用する精密農業が推進されています。クボタは、熟練者の勘や経験に基づいて行われていた従来の農業から、データという根拠に基づく農業へのシフトを実現するために、精密農業システム(FMIS=Farm Management Information System)を提供しています。
農業経営を見える化し、PDCA型農業を可能に
クボタのFMISは、農業経営を見える化する営農支援システムです。ほ場ごとに作業記録や栽培作物といった営農情報を蓄積・解析し、作業計画の策定やほ場管理の効率化に貢献。水管理システムと連携すれば、稲作に不可欠な水管理を効率的に行うことができます。
また、データドリブンな農業を可能にする点も強みのひとつです。GPSやセンサを搭載した農機、ドローンによるリモートセンシングを行い、FMISに食味・収量データや生育データを集め、解析します。これによってほ場ごとに食味・収量のばらつきを把握し、施肥設計や可変施肥、土壌改良、ひいては農作物の品質・収量の改善に役立てることができます。
このようにFMISは、蓄積した営農情報や食味・収量データ、さらには外部データなど栽培過程以外で収集したデータをAIによって分析し、最適な営農計画を作成する仕組みを構築します。過去のデータから次回(来年)の栽培に臨むことで、狙った食味・収量をめざすPDCA型農業を可能にします。
農業の課題解決により貢献するFMISをめざして
クボタは、データを活用した農業をさらに進化させるべく、FMISのオープンプラットフォーム化をめざし、そのための取り組みの一つとしてFMISのオープンAPI*1の提供を実施しました。これによって他社製の農機や農業関連サービス・システムとの連携を可能にし、農家が抱える課題解決のスピードアップに貢献していきます。
さらに、他社農機やサービスだけでなく、農業データ連携基盤「WAGRI」*2や、市場・流通網における外部データとも連携しながら、ほ場ごとに蓄積されたセンサーデータやビッグデータを解析することで、最適な営農計画の策定、ビジネスプランの提案を行うなど、より高度な営農支援システムの実現をめざしていきます。
- *1.「Application Programming Interface」の略。アプリケーション同士が情報をやり取りする際に使用されるインターフェース。アプリケーション間をつなぐことで、機能やデータの相互共有が可能になる。
- *2.農研機構が提供する公的クラウドサービス。気象や農地情報、生育・収量予測など、農業に関わるデータや機能をAPIで提供している。