マイクロソフトとの戦略的提携でクボタのDXが本格的に加速する!

2020 . 7 . 29 / Wed

TECHNOLOGY

「食料・水・環境」領域の新たな顧客価値創出・最大化へ マイクロソフトとの戦略的提携で
クボタのDXが本格的に加速する!

文・写真=クボタプレス編集部

近年、ICT(情報通信技術)が飛躍的な発展を遂げ、あらゆる企業が最新ICTへの対応を迫られる中、クボタは新組織のグローバルICT本部(以下、G-ICT本部)を立ち上げ、新たなソリューション創出に向けたデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の実現を目指しています。そして2020年3月、マイクロソフトコーポレーション(以下、マイクロソフト)との戦略的提携を発表し、本格的なDXの推進に舵をきりました。

クボタはDXを通じて、何を実現し、どのような変革を起こそうとしているのか。今回、このクボタのDX戦略に着目し、具体的な目的や現在の取り組みを全2回に渡って探っていきます。

高度化するグローバル課題に挑むクボタDX

一般的にDXは、「企業がクラウドやビッグデータなどを利用して、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。関連するICT技術は飛躍的に進歩し、産業界に新たな可能性をもたらしています。

こうしたデジタル技術の進化と普及が広がる中で、クボタもまたデジタル技術を活用したさまざまなソリューションを生み出してきました。農業機械とICTを融合させた営農・サービス支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」や自動運転農機、水環境分野におけるIoTを活用したサービス「KSIS(クボタスマートインフラストラクチャシステム)」であり、食料・水・環境分野における課題に対し、独自の技術力や製品・サービスを提供してきました。

高精度GPSを活用し、作業者1名で有人トラクタと無人トラクタを使用した2台協調運転作業の様子。

しかし世界を取り巻く食料・水・環境の課題は、世界人口の増加や地球温暖化の深刻化などに伴い、今後さらに高度化・多様化していくことが予想されています。こうした地球規模で広がり続ける課題を解決することを使命とするクボタにとって、DXは必然だったといえます。

クボタは事業本部ごとに分かれていたIT部門を統合し、新たにG-ICT本部を設置。DX基盤を構築し、ビッグデータやAIなどの最先端技術を積極的に活用しながら、意思決定とアクションをスピードアップさせることで、顧客価値の新規創出と最大化を図っています。これが2025年にクボタの目指すDXの姿であり、今回のマイクロソフトとの戦略的パートナーシップの締結は、その大きな一歩でした。

グローバルにおける顧客価値の新規創出・最大化を可能にする
クボタのDX構想

DXを実現するまでのステップ

クラウドファーストによる生産性向上へ

クボタは今回の戦略的提携を機に、マイクロソフトのサービス基盤を多面的に活用し、DXを加速させていきます。その1つが、ITインフラなどの基幹システムの、高いセキュリティレベルを誇るクラウドサービス「Microsoft Azure(以下、Azure)」への全面移行。これにより、AIなどの先端技術の活用が容易となり、グローバル規模でのデータ活用が可能となります。また、基幹システムをクラウド上に統合し、さまざまなITテクノロジーを活用できるようにすることで業務が合理化され、生産性の向上を目指しています。

「クボタは、常にお客様視点でビジネスを行っています。ですから、どんなお客様がクボタの製品をどのように使っているかを把握することはとても大切です。たとえば、農機や建機の稼働情報、収穫された作物データなどをIoTでクラウドに集約し、可視化・分析ができるようになれば、よりお客様の課題に寄り添った新製品の開発につながるでしょう。また、お客様から寄せられるお問い合わせ情報と組み合わせれば、製品の品質問題に対してより迅速に対応できるようにもなると考えています」と、G-ICT本部の古谷嘉三さんはDXの可能性を説きます。

クラウドへのデータ集約には、従業員が行ってきた個別のデータ入力といった“作業”からの解放という側面もあります。これによって、業務プロセスはスリム化され、その分ひとつでも多くの新しいソリューション創出に注力できる時間が生まれることになります。

古谷嘉三(ふるや よしぞう)さん。大手外資系コンサルティング会社を経て、2012年に入社。積極的なDXを推進するため、グローバルICT本部における方針策定、企画・展開に、これまでの知見や経験を大いに発揮されています。

AIの積極活用で新しい価値提供を目指して

マイクロソフトには、これまでにさまざまな業種の企業と取り組んできたAIの活用ノウハウがあり、クボタには食料・水・環境分野において、事業を通じて課題解決に取り組んできた知見があります。両社の強みを高い次元で融合させることで、初めて大きなシナジー効果が生まれます。

G-ICT本部の斎藤敦彦さんは、AI活用の新たな可能性を次のように語ってくれました。「人にはできなくても、AIだからできることがあるはずです。たとえば、クボタには上水から下水まで水インフラを支える事業群を抱えており、多様かつ膨大なデータをAIが収集・分析して事業活動に紐づけることができれば、今まで以上に適切なソリューションを瞬時に提供できるようになるかもしれません」。

斎藤敦彦(さいとう あつひこ)さん。大手システム開発会社を経て、2012年に入社。グローバルICT本部所属。現在はAzureの社内推進を中心に担当されています。

クボタでは、すでにAI活用によるイノベーション創出を目的とした「AI Machine Learning Labプロジェクト」を立ち上げ、取り組みが進められています。「そのひとつが、堺製造所で始まっているAIを使った画像診断プログラムです。これまで人が行っていた製品検査を、工場の生産ラインに配置したカメラ画像からリアルタイムにAIが解析し、自動検査するという取り組みです。もうひとつが、製品品質向上の取り組みです。クボタのディーラーに持ち込まれる修理依頼の内容を解析し、品質向上に役立つ情報をAIが短時間で提供できるところまで来ています。今後はさらに食料・水・環境分野における課題解決に直結する新しいAIの活用方法を考えていきたいですね」と、古谷さんはAI活用の今後の展望を語ってくださいました。

グループ全体でDXをドライブさせていくために

DXにより、クボタはこれまでとはまったく異なる次元での製品・サービス提供に進化しようとしています。一方で、急速なICT化には地道な社内啓発が欠かせません。クボタグループ全体の取り組みとして推進していくために、その牽引役も担うG-ICT本部はどのような活動を行っているのでしょうか。

「G-ICT本部の発足当時、クボタでITといえば業務システムの構築という認識が一般的でした。一方、オフィスのIT化は未着手でした。そこで私たちは、業務システムのIT化と切り離し、まずは社用スマートフォンやタブレットの普及、ワークフローの電子化などに努めました。社内啓発は、社員一人ひとりがITを身近に感じられる業務改善の積み重ねが大切だと考えたのです。在宅勤務やリモート会議にスムーズに移行することができたのも、こうした背景があったからですし、これにより社内業務のスマート化が一気に加速しました」と、古谷さんは説明します。

「最終的なゴールはAIなどを活用した生産性向上ですが、そのための取り組みは始まったばかり。課題は山積みです」と古谷さんが言うように、DXは一足飛びで実現できることではありません。まずは社員の目指す方向性を定め、グループのITリテラシーを底上げしていくことが一番の近道ということなのかもしれません。

さまざまキャリアやバックグラウンドをもつメンバーからなるG-ICT本部は、2018年入社の谷本俊介(たにもと しゅんすけ)さん、2019年入社の佐藤翼(さとう つばさ)さんほか、若い力も活躍しています。

編集後記

グローバルで統合された多様なデータ活用によりイノベーション創出を加速させ、ソリューション提案型ビジネスへの変革を目指すクボタ。その変革への取り組みは動き出したばかりですが、マイクロソフトという強力なパートナーを得て、また一歩実現に近づいたことは疑う余地がありません。「現在は農業分野でのデータ活用を進めていますが、もちろん将来的には水や環境分野にもAIなどを積極的に活用し、どんどんお客様(顧客、ディーラー、サプライヤー)に新しい価値を提供していきたいですね」。そんな古谷さんの力強い言葉がとても印象に残っています。

次回のクボタプレスでは、「AI Machine Learning Labプロジェクト」の一環として、堺製造所で始まっているAIの学習機能を使った画像診断プログラムに迫る記事をお届けします。製造現場にAIが活用されることで、どのようなソリューションが生み出されているのか楽しみです。

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