農業の現場で5Gが活用されているイメージ図

2021 . 07 . 19 / Mon

LIFE

クボタが描く次世代の農業とは5Gがスマート農業を
進化させた先にある新たな価値

写真・文:クボタプレス編集部

次世代の通信システムとして注目されている5G。高速通信を謳う携帯キャリアのCMが流れ、5Gに対応したスマートフォンが続々と発売されるなど、5Gは私たちの生活にも少しずつ浸透し始めています。

一般市民の生活だけでなく、さまざまな産業が5Gによって進化する可能性を秘めています。農業もその例外ではなく、自動運転農機やデータを活用したスマート農業の分野も、5Gによって大きく進化することが期待されています。今回のクボタプレスでは、クボタがめざすスマート農業の未来を通じて、5Gが農業にもたらす変化にフォーカスします。

クボタがめざすスマート農業の未来

国内の農業は、農業従事者の高齢化などにともない、就農者が減り続けています。それにより、離農と担い手不足が進行しています。離農した農家の農地は担い手農家に託され、農地が集約化。集約された農地の適切な管理、作業負荷の上昇など多様な問題が発生し、それに直面する担い手農家への支援が急務となっています。

こうした国内農業の課題解決に向け、ICTやロボット技術を活用して超省力・高品質生産を実現するスマート農業に期待が高まっています。国内の農機メーカーに先駆けてスマート農業の社会実装を開始したクボタは、農機の自動化・無人化とデータを活用した精密農業を研究開発の両輪としており、農家の負担軽減と高い生産性を実現する未来のスマート農業をめざしています。

クボタが研究開発でめざしている
自動運転農機と精密農業のあるべき姿

農機の自動化・無人化による超省力化

遠隔監視下において、農機がほ場*1内で行う作業の種類を増やし、複数のほ場で無人作業を実施できるようにする


データを活用した精密農業

農機やドローンなどから収集した生育データやほ場環境の情報、収穫量、市場データなどを分析、作付計画まで策定可能にし、データに基づいた農業経営の効率化ができるようにする。求められる作物を求められる時期に必要な量だけ栽培・収穫できる、ムダのない・儲かる・サステナブルな農業を実現する


*1 農作物を育てる田畑や農園


このスマート農業が実現することで、クボタはさまざまな価値を農家に提供できると考えています。生産性向上による儲かる農業の実現、軽労化・省人化がその一例です。また、現在は水田耕作におけるスマート農業の研究開発が進んでいますが、畑作においても農機の自動化・無人化、データ活用を進め、さまざまな価値を提供することをめざしています。

クボタがスマート農業で提供したい価値の一例

生産性向上により、儲かる農業を実現

  • 求められる作物を、必要な時期に必要な量だけ生産
  • 単位面積あたりの収量と食味の向上
  • 1人で広範囲のほ場をカバー可能
  • データに基づくムダのない施肥で肥料・農薬を削減
  • KSASと自動運転農機の連動により、ほ場や施肥量の間違いを防止
    など

軽労、省人化

  • 農機の自動化等により負担の大きい作業を解消し、働き方改革を実現
  • 自動運転農機で対応できる作業の種類が増え、作業負担が軽減
    など

環境負荷低減

  • データに基づく農業で肥料や農薬、水の使用量を最適化し、有機栽培へ適合
    など

農業の多面的な機能の維持

  • 規模拡大が容易になることで、耕作放棄地の活用が可能に
  • 気候変動に強いサステナブルな農業の実現
    など

このような未来のスマート農業の実現に向けて重要な要素の一つとなっているのが、次世代通信システムである5Gです。

スマート農業×5Gの可能性

これまでの通信システムと異なる5Gの大きな特長として、以下の三点が挙げられます。

一つ目が「超高速」。4Gの100倍速い通信速度は、2時間の映画を3秒でダウンロードできるとされています。二つ目が「超低遅延」です。利用者が遅延(タイムラグ)を感じず、離れたロボットをリアルタイムで操作したりすることができます。三つ目が「多数同時接続」。スマートフォンやPCをはじめ、身の回りのあらゆるデバイスがインターネットに接続できるようになります。

これらの機能が、スマート農業の進化を加速させていきます。進化するポイントは、農機の遠隔監視制御とリモートセンシング、畑作への対応です。

遠隔監視制御の確実性が向上

遠隔監視下にある複数の自動運転農機にほ場での同時作業を実現させるためには、広範囲の監視と農機の確実な制御ができなければなりません。超低遅延の通信や多数同時接続が可能な5Gを活用することで、複数の農機の監視・制御や、人・障害物の検知をリアルタイムで行えるようになります。

ほ場内で自動運転作業を行うクボタのトラクタとコンバイン。

5Gの活用で、複数の農機の遠隔監視制御の確実性が向上することが期待されています。自動運転農機の発展において重要な安全性の確保という観点からも、5Gは必要不可欠です。

遠隔監視性能が向上すれば、自宅などほ場から離れた場所でも一人で複数の自動運転農機を監視・制御できるようになります。限られた作期で一人あたりの作業面積が増大し、大規模化にも対応できるようになるのです。

リモートセンシングの精度と効率性が向上

農機やドローンなどによってほ場、作物の状態を把握し、収集した情報を活用するリモートセンシングにおいても、5Gは大きな効果を発揮します。

一般的に、高精細の画像データは容量が大きくなりますが、5Gでは高精細画像も高速でやり取りすることが可能です。広範囲に及ぶほ場の画像を短時間で収集・分析することにより、作物の生育状況をスピーディに把握でき、生育が良くないエリアには重点的に施肥を行うなど、適切な肥料散布ができるようになります。

リモートセンシングによって可視化されたほ場の生育状況。

リモートセンシングによって作物の生育のムラを把握し、それに応じて施肥量を調整することで、収量や食味の安定化につながります(画像は開発中のものです)。

また、AIが学習するための高精細画像を短時間で数多く収集することで、AIの精度や処理速度が短期間で向上することも期待できます。AIが進化すれば、次に必要な農作業をAIが提案できるようになるなど、よりデータに基づいた精密農業が可能になります。

自動運転農機が畑作に対応

現在販売されているクボタの自動運転農機は、平面である水田をメインに研究開発が進められてきました。5Gを通じてカメラから得られた高精細の画像データをやり取りし、作物や畝(作物列)をより正確に認識することで、それらを踏みつぶさないよう精緻な走行が可能になり、畑作にも対応できるようになります。また、さまざまなインプルメント(トラクタに装着する作業機械)を使えるようになることで、自動運転農機が行える畑作作業の幅が広がります。

スマート農業の発展のために、大きな鍵を握る要素の一つである5G。超省力化とさらなるデータ活用が実現した先には、前述した国内農業の課題解決、そして私たちの生活を支える、食の安定的な供給につながることが期待されます。

農業の5G活用へ歩みを進めるクボタ

2021年1月、クボタは、北海道岩見沢市で行われる総務省事業「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」と、農林水産省事業「スマート農業実証プロジェクト」に参画することを発表しました。

これらの事業では産学官民が連携し、ほ場から約10km離れた遠隔監視センターから無人の自動運転農機を適切に運用・遠隔監視・制御する実証や、自動運転農機やほ場に設置する各種センサーから取得される生育データをはじめとするビッグデータの送受信・集積など、ローカル5G*2エリア内における5分野の実証実験が行われます。

*2 ある敷地内をカバーエリアとして、事業者が独自に構築・運営できる5Gネットワーク


この実証実験では、クボタは実験に使用する農機(トラクタ、コンバイン)の提供と、遠隔監視制御の実証に向けた機材改修、水環境のIoTソリューションシステム「KSIS」(KUBOTA Smart Infrastructure System)とその関連機器の提供といった役割を担います。

北海道岩見沢市における実証実験のイメージ

北海道岩見沢市における、ローカル5Gの実証実験のイメージ図。

実証実験では、ローカル5Gエリアにあるほ場内で複数台の自動運転農機が協調作業を実施。農機に搭載されている4Kカメラで撮影した高精細映像が、遠隔監視センターに低遅延で送信され、緊急停止、動作開始といった制御が的確に行われるか実証します。

国内農業の課題解決のためには、スマート農業の社会実装は必要不可欠です。そのために、クボタをはじめさまざまな企業・組織が協力しながら、農業分野における5G活用をめざしています。未来の農業の実現に向けて道半ばではありますが、その歩みは一歩ずつ着実に進んでいると言えるのではないでしょうか。

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