地球環境と豊かな暮らしの両立に挑むクボタエンジン
エンジン
「高効率化」「省エネルギー」「省力化」。研究・開発から設計・製造まですべてのプロセスにおいて息づく、この思想こそがクボタエンジンの最大の特長です。高効率かつ省エネルギーであることはもちろん、使う人や環境にも配慮されたクリーンな排気や搭載適合性を持った高い総合力を持つエンジンこそが、クボタが目指す理想の在り方。環境と技術が理想的に調和する、さらなるエンジン品質の向上へ私たちは挑み続けています。
環境と人々の生活の両立
エンジンは自動車をはじめ、クボタが製造しているトラクタ、コンバイン、ミニバックホーなど、多くの機械に搭載されているばかりでなく、発電機やコンプレッサにも使われ、身近な動力として私たちの生活を支えています。その一方で、エンジンから排出される大気汚染物質の影響は、世界中で問題になっていることも事実。エンジンメーカーは、年々厳しくなる排ガス規制をクリアしなければなりません。クボタは、「環境」と「人々の生活」、その両方を守るという使命を担い、日々エンジンの開発と製造を続けています。
電子・化学技術からのアプローチでエンジンの性能限界を突破
クボタエンジンの研究開発が他社と大きく異なるのは、機械、電子、化学、物理など幅広い領域の専門家集団が製品の開発を行っている点です。
それにより、機械技術だけでは突破できない環境規制の壁を、科学の力を結集することで乗り越えてきました。エンジンを開発する上で避けて通れない環境規制。これまでのヨーロッパにおける排ガス規制であったStage ⅢAまでは、エンジンの機械性能を高めることで対応してきました。
しかし、2012年から施行されたStage ⅢBでは、排出ガス中のPM(Particulate Matter:すすなどの浮遊粒子状物質)をできる限り減らすことが求められており、もはや機械性能の改良だけで突破することはできませんでした。そのため、燃料噴射量とタイミングを精密にコントロールすることで完全燃焼を促し、排出ガス中のPMを減らすべくコモンレールシステムと呼ばれる電子制御システムの導入や、DPF(Diesel Particulate Filter:粒子状物質を捕集する排ガス後処理装置)やDOC(Diesel Oxidation Catalyst:酸化触媒機能を使った排ガス後処理装置)の搭載など、機械以外での進化が求められました。
排出する空気をより効率よく浄化するためにクボタはこれらの処理装置を独自に開発し、クボタエンジンに最適なものを作り上げました。その結果、DPFやDOCを搭載していないStage ⅢAのエンジンと比べて、約92%以上のPMの低減に対応しました。
今やクボタのエンジンは、機械技術の改善のみならず、電子や化学の力を借りた科学技術の叡智が詰め込まれた集合体として、さらなる進化を遂げています。
圧倒的な製品バリエーションは、世界中のニーズに応え続けてきた証
クボタエンジンが持つ強みのひとつが製品のバリエーション。そのきっかけは北米・欧州向けのフォークリフトでした。当時、ディーゼルはフォークリフト市場へ参入していましたが、ガソリンやLPG、天然ガス燃料のフォークリフトは自動車用ベースのエンジンが適用されていました。そこでクボタは、ディーゼルをベースに同じサイズと信頼性を兼ね備えたガソリン・ガスエンジンを開発スーパーミニからV3クラスまでの機種揃えを実現しました。今日、クボタのエンジンは「One source, multiple solution」という理念のもと、ディーゼル、ガソリン、天然ガス、LPGと柔軟に幅広く対応でき(fuel flexibility)、かつ他社とは比べ物にならない馬力帯のラインナップを誇っています。
ユーザー一人ひとりのニーズに耳を傾け、要求に答え続けた結果が、クボタエンジンが持つ業界屈指の対応力へとつながったのです。
ゼロベースの気持ちで挑み続けるエンジン開発
2019年から欧州オフロード向け排出ガス規制Stage Vが随時施行され、環境規制は今後さらに厳しくなります。クボタはこれまで積み上げてきたエンジン技術と、電子や化学など異分野技術を融合させることで、いかなる環境規制もクリアし、人々に確かな動力を届け続けます。
今後、クボタはより市場規模の大きい畑作市場に進出するため、トラクタの大型、高馬力帯への拡充を行います。それに伴ってエンジンも新たな領域への研究開発が求められています。高出力の大型エンジンは小型エンジンをそのまま大きくすれば良いわけではなく、規制の厳格化や、大きさゆえに発生する新たな課題への対応など、これまでとは異なる開発方法が求められます。これまで培ってきたクボタらしさを継承しつつ、研究者全員が初心に返って、たゆまぬ努力を積み重ねています。