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エンジニアがその手で市場を切り拓く。オペレーターフレンドリーを実現したクボタ製CTL/SSL

ローダー

北米のマテリアルハンドリング市場で根強い需要があるCTL(Compact Track Loader)/SSL(Skid Steer Loader)は、高い汎用性と機動力を兼ね備えた小型の建設機械です。当初、クボタのラインアップには存在していなかったCTL/SSLの開発にゼロから挑んだクボタエンジニア。地道な調査とオペレーター(作業者)に寄り添った開発体制により、作業環境の快適性を重視したユーザーフレンドリーな製品を実現しました。多彩な用途で使われるCTL/SSLがよりオペレーターにとって使いやすい製品となるよう、さらなる品質向上に挑み続けています。

ライフスタイルや住宅着工件数を背景にしたCTL/SSLの根強い需要

CTL(Compact Track Loader)/SSL(Skid Steer Loader)とは、アーム先端のアタッチメントと呼ばれる部品を付け替えることで、掘削や運搬、伐採、清掃といった作業が可能になる小型建機です。汎用性が高く、軽土木や園芸、宅地造成など幅広い用途で利用されています。CTLは足回りがクローラー式、SSLはホイール式という違いがありますが、双方ともに狭い場所や地盤の緩い場所でも作業ができる高い機動力を携えています。

北米では、郊外に広い敷地を持つ家で、休日に自宅の広大な庭を整備したり、家庭菜園を楽しんだりするライフスタイルが確立されています。そのため、これらの用途に活用されるCTL/SSLの需要は非常に根強いものがあります。さらに2010年以降、北米における住宅着工件数は安定的に伸びており、それに伴って住宅建築に活用されるCTL/SSLの需要も高まっていきました。

北米市場においてミニバックホーで高い評価を得ていたクボタは、小型建機の総合メーカーとしてさらなるユーザーニーズに応えるべく、2007年にCTLの開発をスタート。3年後の2010年に市場へ投入されると、わずか15年足らずで北米建機事業の成長を大きく牽引する製品となりました。しかしこのヒット製品も、一朝一夕に生まれたわけではありませんでした。

合言葉は「過酷な労働環境からオペレーターを解放しよう」

ゼロからCTLの開発を始めたエンジニアたちは、まず徹底した現地調査と他社機調査を実施。全米を駆け回り、時には他社製のCTLを乗せた車両を追跡して作業風景を見学させてもらうことを直談判し、実際にその目でCTLがどのように使われているのかを目の当たりにして知見を積み重ねていきました。

CTLの在りようを探っていく中で、クボタのエンジニアはオペレーター(作業者)の作業環境に着目しました。彼らの作業環境は、窮屈な運転席で土煙にまみれるという非常に過酷なもの。市場に出回っていたCTLは性能の追求が第一であり、オペレーターが快適に作業できる製品ではなかったのです。

合言葉となったのは「過酷な労働環境からオペレーターを解放しよう」。クボタのエンジニアはこの思いを胸に、基本性能の高さを確保しつつ、CABスペース(運転席)の快適性や整備性を向上させていくという、相反しうる要素の両立をコンセプトとして掲げました。

オペレーターフレンドリーを実現したクボタの総合力

過酷な環境からオペレーターを解放するために、クボタのエンジニアたちは、誰でも快適に作業できる「CABスペースの広さ」、アタッチメントと干渉せず、車外にいる補助作業員とも会話しやすい「跳ね上げ式ドア」、建機にとって欠かせない高い操作性の礎となる「緻密な油圧チューニング」の実現に取り組みました。

市場に出回っていたCTLにはなかった、これら3つの要素すべてを1つの製品の中で実現できた要因は、多種多様なプロダクトを手掛けてきたクボタの総合力にあります。

例えば広く快適なCABスペースには大きな平面の金属パネルが必要ですが、振動しやすいという課題がありました。そこで活きたのが、堺製造所の生産技術です。溶接の順序や形状を工夫して張力を与えることで、振動しにくい金属パネルを実現しました。

また、CABスペースには車両の転倒にも耐える強度と、作業しやすいよう死角の少ない視野を確保することが求められます。太い骨格で強度を確保しようとすると視野が狭くなるという相反する要素を両立させたのが、異形管構造です。農業機械開発出身のエンジニアの提案により、当時トラクタやユーティリティビークルで活用されていた異形管構造を採用することで、強度と視野を両立したCABスペースが実現しました。

CTLのドアには、開閉しやすい軽さと振動に耐える強度の両立が求められます。特にドアをCABスペース内部に収納する跳ね上げ式ドアには、部品そのものの強度だけでなくレイアウトの工夫、組み立ての精度など、多くの乗り越えるべき課題がありました。

この課題を乗り越える原動力となったのが、クボタならではの開発体制です。当時、CTLの開発には、製造部門、カスタマーサービス部門、試作部門のスタッフも技術部員として参加。これにより、開発初期の段階から、各部門の視点から見た品質を保つために譲れないポイントを把握することができます。その結果、強度や軽さ、組み立てやすさやレイアウトなど、相反する要素の落とし所を押さえた開発が可能になり、開閉のしやすさと振動に耐える強度を両立した、難度の高い跳ね上げ式ドアが実現しました。

CTLにおいて重要な要素のひとつは、オペレーターの操作とCTLの動作が密接にリンクし、まるで自分の手のように動かすことができる高い操作性です。その鍵を握るのが、動作を司る油圧のチューニングです。

オペレーターがより良いフィーリングを得られる操作性を実現するべく、クボタはエンジニア同行のもと、CTLが使用される現場に試作機を持ち込みました。実際に作業を行うオペレーターに試乗してもらい、フィーリングを直接確かめるためです。オペレーターからのフィードバックを受けたエンジニアは、解決方法について議論したり、時にはその場で油圧を調整したりしながら、最適な油圧のチューニングを探っていきました。

油圧チューニングの改善において活きたのが、当時クボタでミニバックホーの開発を長年担当していたエンジニアの知見でした。ミニバックホーは、CTLと同様に緻密な油圧のチューニングが必要です。そのミニバックホーの開発に携わったエンジニアがCTLの開発に参加したことで、質の高い油圧チューニングが実現したのです。

このように、総合力をもってオペレーターフレンドリーなCTLの開発に挑んだクボタエンジニア。一方で、彼らがめざしたオペレーターフレンドリーの実現は、エンジニアだけで完結するものではありませんでした。彼らは試作した製品を何度もオペレーターの元へと持ち込み、実際に使ってもらいながら、CABスペースの視界や油圧のフィーリングなどに関する細かなフィードバックを受け、製品に反映していきました。クボタのCTLは、試作と現地ユーザーからのフィードバックを繰り返す現場主義から生まれたものなのです。

CTL/SSL市場を活性化させた「クボタ流ものづくり」

クボタのものづくりは、ユーザーであるお客様が抱える課題を解決したいという思いからスタートしています。お客様の課題解決につながる製品を作るために、お客様の元へエンジニアが直接赴くのがクボタ流。例えばCTLの開発においては、お客様が作業する現場の気温や土の質、ダスト、さらにはお客様の声のニュアンスや表情など、現場でつかめる肌感覚やフィードバックは数多くあります。クボタエンジニアは、そういった要素を開発へ徹底的に落とし込み、「品質のクボタ」という定評に足る製品をつくり上げています。

CTLの後に登場したSSLにおいても、この姿勢は変わりません。基本性能の高さ、快適性、整備性というCTLのコンセプトに加え、酪農や養鶏といった環境で使われるSSLの開発では、清掃性も追求していきました。SSLが使用される環境はデブリ*が多く、お客様は何度も機体内部を掃除しなくてはいけないという課題を抱えていたからです。

  • 何らかのものが壊れたり崩れたりして生じた破片、欠片

このSSLも、CTLと同様に繰り返し現地へ試作機を持ち込み、さまざまなフィードバックを反映してつくり込まれていきました。クボタ製のCTLやSSLが登場すると、同製品の市場ではオペレーターフレンドリーを追求した製品が次々に登場し、開発競争が激化。現場主義を貫いてつくられたクボタの製品が、市場に風穴を開けたと言えます。

現行機では、より付加価値を高めるために、密閉性が高く、防塵、防音に優れた一体型構造のキャビンを採用したり、油圧と電子制御を組み合わせたりするなど、ユーザーニーズの多様化に合わせた製品へと進化させています。私たちはこれからも、エンジニアが現地に足を運び、その目で見る現場主義を貫きながら、お客様のニーズに応えられる製品を開発し続けていきます。

「突き詰められる部分がまだまだ残っている、非常にチャレンジングで面白い開発領域です」

(左から)
建設機械事業部
宇佐美 雄大
木村 健人
住吉 良平
阿部 太樹

私たちは製品の研究開発に対して常にチャレンジングな姿勢で挑み続けています。中でもCTL/SSLは、内部レイアウトひとつとってもメーカーによってさまざまで、機械設計の面でまだまだ突き詰める部分が数多く残っている製品です。また、CTL/SSLはとても過酷な環境で使われるので、要求値が非常に高い建機でもあります。つまり、未成熟な上に要求値が高いという、開発者として挑戦しがいのある面白い領域です。これからもお客様のニーズを的確に把握しながら新しい技術をどんどん取り入れ、私たち自身もサステナブルに進化していきたいと考えています。

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