クボタ、深海式海水淡水化技術開発の米国スタートアップに出資 持続可能な造水システムにより、水資源不足の課題解決に挑む

• 地球上に存在する水のうち淡水は2.5%程度、そのうち人類が利用しやすい状態で存在しているものはわずか0.01％程度と言われています。しかも偏在しているうえ、世界の人口増加や気候変動による枯渇・不足も心配されています。
• 中東など既に淡水の不足が顕在化している地域では、海水淡水化技術による造水が年々増加しています。しかし、現在主流の「逆浸透法」では地上に引き揚げた海水にポンプで高圧をかけて逆浸透膜（RO膜）でろ過するために大量の電力を消費することに加え、塩分濃度の高い排水による環境負荷等が問題視されており、特に環境保護に対する要求の厳しい米国カリフォルニア州などで、その持続可能性が懸念されています。
• そこで当社は、従来の技術に比べて省エネルギーかつ環境負荷が低い革新的な造水技術である、深海式海水淡水化に着目しました。

OceanWell社が開発を進める「深海式海水淡水化技術」は、水深約400mに自然に存在する高水圧を利用してRO膜でろ過するため消費電力を大きく削減できます。また、排水の塩分濃度を低く抑えることも可能で、環境負荷低減を実現するソリューションを提供します。

• 

  従来型の海水淡水化施設（左）とOceanWellの海水淡水化施設

• 

  深海400mに設置されたOceanWellの海水淡水化モジュール（イメージ）

• 当社は水道管やポンプ、バルブ、水処理プラントといった製品群と設計、施工、運転、維持管理業務までを含めた、水インフラに対する幅広いソリューション提供に取り組んでいます。
• しかしながら、世界で深刻化する水資源の枯渇という課題に対して、造水というソリューションを提供することは当社にとって未知の領域であることから、オープンイノベーションの推進部門であるイノベーションセンターが中心となってOceanWell社との連携を促進し、持続可能な造水技術の一つである深海式海水淡水化技術の社会実装に挑戦します。
• 水不足に悩まされている地域の水道事業体に対して飲用可能な水を長期間安定的に供給できるOceanWell社の技術に加え、当社がすでに保有するソリューションを提供することで、造水・給水から、排水・再生までの「水循環ループ」全体への貢献をめざします。
• また、当社にはポンプ事業で培った高度な技術があることから、深海の高圧下で使用可能な長寿命・高信頼性・高効率のポンプをOceanWell社と共同開発することも検討していきます。