次のリンクより、本文、本ページのローカルメニュー、このサイトの共通メニューに移動します。

廃棄物の資源循環システム構築に向けた共同研究を開始

2023年5月10日
国立研究開発法人国立環境研究所
株式会社クボタ

株式会社クボタ(本社:大阪市浪速区、代表取締役社長:北尾裕一、以下「クボタ」)と、国立研究開発法人国立環境研究所(所在地:茨城県つくば市、理事長:木本 昌秀)は、廃棄物の資源循環システムの構築に向けた共同研究を開始しました。
各種廃棄物処理の現状調査や廃棄物に含まれる資源の調査、実証プラントでの廃棄物からの有価金属やリンなどの回収テストなど、「地域循環共生圏」*1を担う廃棄物の有効利用・資源循環の仕組みづくりに向けた共同研究を進めてまいります。

  1. *1.国が「第五次環境基本計画」で提唱した、各地域が地域資源を最大限活用しながら自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方。

背景と狙い

  • 近年、廃棄物を巡っては、環境負荷低減に加え限りある資源の有効活用のために、発生抑制だけでなく再使用や再生利用といった循環的な利用が求められています。また、経済安全保障の観点からも、有価金属など廃棄物に含まれる鉱物資源の回収が期待されています。
  • クボタは、廃棄物や下水汚泥の処理に使用される溶融炉を自治体や廃棄物処理事業者等に納入しており、現在もさらに効率的な資源回収に向けた研究開発に取り組んでいます。「国内最大級の不法投棄事件」と言われた香川県・豊島の産業廃棄物の処理にもクボタの溶融炉が用いられ、高温で溶融することで廃棄物のかさ(量)を減らすとともに、有害物質を分解・分離し、更に廃棄物に含まれる銅やアルミ、鉛などを取り出して再資源化しました。
  • クボタの溶融炉は資源回収効率に優れ、下水汚泥からは肥料に用いられるリンを高濃度で安定的に回収でき、加えて、従来はリサイクルが困難で焼却・埋立処分されていた電子機器や自動車のリサイクル残渣などの廃棄物からも有価金属を回収することが可能であることなどから、クボタの長期ビジョンGMB2030に掲げる埋立廃棄物ゼロ・廃棄物からの資源回収を実現する資源循環ソリューションの主要技術と位置づけています。
  • 国立環境研究所は、資源循環分野における国の中核研究機関であり、近年大きな問題となっている廃プラスチック等を含めて、環境負荷を広く把握し、影響を低減するための技術開発や政策提言・社会の仕組みに加え、資源循環と廃棄物処理の社会システム・資源利用の持続可能性評価と将来ビジョンの設計に取り組んでいます。
  • クボタの溶融炉は、着火し一定温度まで加熱した後は、プラスチックを燃料として使用できるため、高度なプラスチックリサイクルシステム*2から発生するリサイクルが困難なプラスチック残渣のみを燃料とした安定的な運転(自立溶融運転)が可能です。プラスチックを余すことなく再利用できるうえ、溶融炉は廃棄物の資源回収に活用できることから、複層的な資源循環システムを構築出来る可能性があります。その点を国立環境研究所が評価し、クボタと溶融技術を活用した資源循環の仕組みづくりに向けた共同研究を開始することにしました。
  • 今後、両者は埋立廃棄物ゼロ、廃棄物からの有価金属(処理物が下水汚泥の場合はリンを含む)のより効率的な回収と利用をめざして、共同研究を進め、日本の廃棄物処理システムを抜本的に見直し、地域循環共生圏構築を担う資源循環の仕組みづくりに向けた調査、実証を進めてまいります。なお、資源循環型の社会の実現には、幅広い関係者との連携が必要なため、国・自治体・大学・企業などに共同研究への参画を呼びかける予定です。
  1. *2.廃プラスチックをリサイクルしやすいよう、光学選別機などを用いてポリエチレンなどの材質ごとに精密に分別を行うシステム

2.共同研究の概要

共同研究の名称 自立溶融分離技術を中核とした複層的な資源循環システムの構築
(DEEP RECYCLE SYSTEM の研究)
期間 2023年4月~2026年3月
研究概要
  • 各種廃棄物処理の現状調査
  • 廃棄物に含まれる資源の調査
  • 実証プラントでの廃棄物からの有価金属やリンなどの回収テスト
  • 地域循環共生圏構築を担う資源循環の仕組みの検討 など
研究に関する問合せ

国立研究開発法人国立環境研究所
資源循環領域 試験評価・適正管理研究室
肴倉 宏史

株式会社クボタ
水環境研究開発第一部
井上 繁則

以上

ニュースリリースに記載されている情報は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承下さい。

シェアする