AI・物理モデルを活用した「水害対策ワンストップソリューション(都市下水予測)」が「福岡市実証実験フルサポート事業」に採択 河川や雨水管路の水位・浸水をリアルタイムで予測、雨水ポンプ場の操作支援システムを構築し都市水害対策をサポート
2025年6月30日
株式会社クボタ
クボタ環境エンジニアリング株式会社
株式会社クボタ(本社:大阪市浪速区、代表取締役社長:北尾裕一)の100%子会社であるクボタ環境エンジニアリング株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:中河浩一、以下「クボタ環境エンジニアリング」)と、株式会社日水コン(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:中西新二、以下「日水コン」)が開発中の、大雨時における都市部水害対策に向けたリアルタイム浸水予測および雨水ポンプ場*1の運転操作を支援するシステム「水害対策ワンストップソリューション(都市下水予測)」(以下「本システム」)が、「福岡市実証実験フルサポート事業」(以下「本実証実験」)*2に採択されました。
本実証実験において、実際の大雨時における本システムの精度や効果を検証し、全国各自治体の適切な施設管理体制の支援ができるシステムの開発をめざします。
- *1.大雨や台風時に、都市部で排水できなくなった雨水をポンプで汲み上げて強制的に河川に排水し、浸水を防ぐ雨水排水施設。
-
*2.福岡市が全国から公募し、AIやIoT等の先端技術を活用して社会課題の解決に向けたプロジェクトをサポートする実証実験事業
https://www.city.fukuoka.lg.jp/keizai/kigyo-renkei/mirai/fullsup/fullsupport.html
-
(右から)福岡市長 高島宗一郎様、クボタ環境エンジニアリング㈱ 取締役執行役員 ポンプ事業部長 前田勝弘、㈱日水コン 執行役員 インフラマネジメント本部 DXイノベーション事業部長(兼)ソリューション開発部長 後藤光彦様、福岡地域戦略推進協議会 事務局長 石丸修平様
記
1.背景・課題
- 都市部では雨水管路網が整備され、雨水は管路から河川に排出されますが、大雨によって雨水管路内が増水し、マンホールや側溝から雨水があふれて浸水する内水氾濫*3が発生すると、市民生活に支障をきたします。
- 氾濫を回避するため、自治体では通常の自然排水では間に合わない場合に雨水ポンプ場を稼働させ、都市部から排水できなくなった雨水をポンプで汲み上げ強制的に河川へ排水しています。
- 操作員が手動で操作する雨水ポンプ場では、大雨が予想される場合、操作員が事前に待機しますが、いつポンプを操作するかわからない中で待機することは心身の大きな負担となっています。
- *3.雨が河川に排水できずに発生する氾濫。管路の雨水排水能力を上回る浸水や、河川水位の上昇により管路から河川へ放流できずに浸水すること。
2.「水害対策ワンストップソリューション(都市下水予測)」について
- クボタ環境エンジニアリングでは、河川水位予測に基づく排水機場*4の運転操作予測システム「運転計画シミュレーター」を開発中です。
- 「運転計画シミュレーター」と、日水コンが開発中の管路水位予測に基づくリアルタイム浸水予測システム「Blitz FLOOD(ブリッツ・フラッド)」を連携させることで本システムを構築し、河川や雨水管路の水位・浸水のリアルタイム予測から雨水ポンプ場の運転操作支援にいたるまで、ワンストップで都市水害対策をサポートします。
- 雨水管路の水位予測に基づいた雨水ポンプ場の運転計画のシミュレーションができるようになるため、施設管理者および操作員が余裕を持ち、適切なタイミングでの人員配置や運転操作にあたることができるようになります。
- *4.大雨や台風時に、排水できなくなった支川(本川に合流する川)や農業用水の雨水を、ポンプで汲み上げて強制的に本川(河口へつながる川)に排水し浸水を防ぐ雨水排水施設。
-
本システムのイメージ図
3.本実証実験について
- このたび、クボタ環境エンジニアリングと日水コンは本年度の実証事業に採択され、7月1日より福岡市内の雨水排水施設を対象に、実際の大雨における本システムの精度や効果を検証します。
- 本実証実験を通じ、雨水管路のリアルタイム浸水予測や雨水ポンプ場の運転予測の精度向上に加え、雨水管路や雨水ポンプ場の適切な施設管理体制をサポートできるシステムの構築をめざします。
- (主な実証実験の内容)
-
- 流入管路の氾濫危険個所での水位予測による、人員配置計画支援の検証
- 雨水ポンプ場のポンプやゲート稼働・停止予測による、操作員の運転操作支援の検証
4.今後の展望
本実証実験を通じてシステムの精度を高め、クラウドサーバー上でリアルタイムに閲覧可能なシステムを構築することで、全国各自治体の施設管理者の負荷軽減と施設の大雨時の対応力を向上し、地域住民にとって水害リスクが低い社会の実現に貢献してまいります。
- 本件に関する問い合わせ先
-
クボタ環境エンジニアリング株式会社 ポンプ事業部 ポンプ事業推進部 TEL:03-3245-3141
株式会社日水コン DX イノベーション事業部 ソリューション開発部 TEL:03-5323-6369
以上
ニュースリリースに記載されている情報は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承下さい。