特定PFASの無害化に向けた共同研究開発を開始 東北大・琉球大・クボタでNEDO先導研究プログラムに採択
2025年6月18日
国立大学法人 東北大学
国立大学法人 琉球大学
株式会社クボタ
発表のポイント
- 東北大学・琉球大学・株式会社クボタの共同研究テーマが「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム」に採択されました。
- 難分解・生体蓄積性・毒性が報告されているPFAS*1を低濃度かつ短時間で検出する技術を開発します。
- PFASを安全かつ効率的に分解し資源循環可能な手法を開発します。
概要
東北大学 多元物質科学研究所の岡 弘樹 准教授、琉球大学理学部海洋自然科学科の滝本 大裕 准教授、株式会社クボタによる提案「特定PFASの無害化資源循環に向けた検出・分解技術の開発(以下「本研究開発」)」が、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した、2025年度「NEDO先導研究プログラム/エネルギー・環境新技術先導研究プログラム(以下「NEDO先導研究プログラム」)」*2に採択されました。
本研究開発は、特定PFASの分解無害化においてボトルネックとなる課題解決を目標に、特定PFASの検出技術および分解技術の開発、さらには社会実装のための取り組みを推進します。
実施者
岡 弘樹 准教授(東北大学多元物質科学研究所、研究開発統括責任者)
滝本 大裕 准教授(琉球大学理学部海洋自然科学科)
株式会社クボタ
取り組みの詳細
研究開発の背景
PFASは、耐熱性・耐薬品性・難燃性などの特性により、空調機用冷媒やフッ素ポリマーなどに広く使用され、今後も半導体製造や高速通信(6G)装置など幅広い分野での利用が見込まれます。しかしながら、特定のPFASは、難分解・生体蓄積性・毒性が明らかとなり、世界保健機関(WHO)でも水道水中に500 ppt以下を目標値としており、日本では更に厳しい基準(水道水含有量50 ppt以下)が設けられるとされています。多くの産業やリサイクルなどの分野で、特定PFAS含有水のPFAS濃度を正確に把握し、分解・無害化できる技術が求められています。
今回の取り組み
NEDO先導研究プログラムに採択された、三者が提案した本研究開発(2025年度~2026年度までの2年間)は、特定PFASの分解・無害化においてボトルネックとなる課題解決を目標として、以下の技術開発を推進します。
- 特定PFASの簡便なリアルタイム検出技術の開発 (東北大学)
- 特定PFASのF-(フッ化物イオン)への効率的な分解技術の開発 (琉球大学)
- 本開発技術の社会実装のための課題に関連する技術開発 (クボタ)
今後の展開
本研究開発は、大量のエネルギー消費を伴う燃焼を用いることなく、特定PFASの分解を可能にします。また、分解のみならず分解後の生成物の再利用(資源循環)を見据えたサーキュラーエコノミーを強く意識したシステムを実現し得るものであり、社会実装できた際の省資源・省エネルギーのインパクトは極めて高いと言えます。
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図1.NEDO先導研究プログラムの実施体制
用語説明
- *1.PFAS:有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して「PFAS」と呼び、1万種類以上の物質があるとされています。PFASの中でも、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)、PFOA(ペルフルオロオクタン酸)は、幅広い用途で使用されてきました。これらの物質は、難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質があるため、国内で規制やリスク管理に関する取り組みが進められています。
- *2.「NEDO 先導研究プログラム/新技術先導研究プログラム」:脱炭素社会の実現や新産業の創出に向けて、課題の解決に資する技術シーズを発掘し、先導研究を実施することで、産業技術に発展させていくための要素技術を発掘・育成することを目的としたもの。国家プロジェクトを含む産学連携体制による共同研究等につなげていくことを目指したプログラム。
- 問い合わせ先
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(研究に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所
准教授 岡 弘樹(おか こうき)
TEL: 022-217-5812
Email: oka@tohoku.ac.jp(報道に関すること)
東北大学 多元物質科学研究所 広報情報室
TEL: 022-217-5198
Email: press.tagen@grp.tohoku.ac.jp琉球大学 総務部 総務課 広報係
TEL: 098-895-8175
Email: kohokoho@acs.u-ryukyu.ac.jp株式会社クボタ KESG推進部 広報課
TEL: 06-6648-2389(広報課)
TEL: 03-3245-3052(東京秘書広報課)
以上
ニュースリリースに記載されている情報は発表時のものであり、最新の情報と異なる場合がありますのでご了承下さい。