PFASの一種PFNAを99.999%を超える高効率で分解
2026年1月22日
株式会社クボタ
株式会社クボタ(本社:大阪市浪速区、代表取締役社長 CEO:花田晋吾、以下「当社」)は、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物、以下「PFAS」)の一種であるPFNA(ペルフルオロノナン酸、以下「PFNA」)について、溶融分離技術を用いた分解実証試験の結果、バーゼル条約*1の技術ガイドラインが定める要件の99.999%を超える効率で分解することに成功しました。同技術は、当社が設備を納入した国内の複数の廃棄物処理施設で、焼却灰などの有害廃棄物や土壌を含む不法投棄廃棄物の無害化及び資源化などに活用されており、今後、PFNA以外のPFASについても分解能力を確認することができれば、社会的な課題となっているPFASを含有する廃棄物を安定的に分解・資源化処理できることが見込まれます。
- *1 一定の有害廃棄物の国境を越える移動などの規制について、国際的な枠組み及び手続きなどを規定した条約。
1.背景
- PFASは、優れた撥水・撥油性、熱・化学的安定性を持ち、界面活性剤、表面処理剤、泡消火剤など、幅広い用途で活用されてきました。しかし、近年ではPFOS・PFOA・PFHxS*2・PFNAなど、一部の種類が環境への残留性や健康影響の懸念から残留性有機汚染物質(POPs)に指定され、国際的に規制が強化*3されています。PFASは、強固な炭素-フッ素結合を持ち自然界では分解されにくく、分解処理する方法の一つとして1,100℃以上の高温での焼却処理が推奨されています。
- 当社は、廃棄物の適正処理と資源化の実現のため、回転式表面溶融炉を用いた溶融分離技術を開発・提供しています。同技術は、焼却灰や廃棄物を高温で溶融することで有機物を分解し、鉄・銅・貴金属を含むメタル、肥料として有用なリン、重金属などを分離・濃縮して回収することが可能です。溶融時、炉内の温度は1,250~1,400℃とPFASの分解が可能な温度に達しますが、従来、このような温度帯で運転される溶融炉についてPFASの分解能力を評価した報告はわずかでした。
- *2 PFOS:ペルフルオロオクタンスルホン酸、PFOA:ペルフルオロオクタン酸、PFHxS:ペルフルオロヘキサンスルホン酸。
- *3 日本では、2026年4月から水道水においてPFOS・PFOAに関する水質検査の実施と基準の遵守が義務化。
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溶融分離技術による有害物質分解と分離・資源化の仕組み
2.試験の内容
- 試験では、PFNAの試薬を添加した焼却灰と添加していない焼却灰を当社が所有する溶融炉へ投入し溶融処理して、排出されるスラグ、飛灰、排ガスを採取しました。それらの試料に含まれるPFNAの濃度を測定し、1時間あたりのPFNAの投入・排出量を算出・比較しました。
- その結果、PFNAを添加した場合、処理前の焼却灰には9,611.53mg/hのPFNAが含まれていましたが、処理後に排出されたスラグ、飛灰、排ガスに含まれるPFNAの合計量は0.00649mg/h未満でした。これはPFNAを添加していない場合の同合計量0.00674mg/h未満と同程度であり、添加したPFNAは溶融処理によりほぼ完全に分解されたと考えられます。また、分解効率*4を算出すると99.99993%超となり、バーゼル条約の技術ガイドラインが定める要件(99.999%)を満たすことが確認されました。
- なお、本研究は、国立研究開発法人国立環境研究所と共同で国内外の学会等で発表し、国際水連盟(IWA)の汚泥管理に関する国際会議で優秀ポスター賞を受賞しました。
- *4 分解効率=(PFNA投入量-スラグ、飛灰、排ガス中のPFNA合計量)÷PFNA投入量×100(単位:%)
3.今後の展開
- PFNAに加え、PFOS・PFOAについても溶融分離技術による分解能力を継続して評価してまいります。
以上
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