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MERT

管内流体ガス撹拌により、熱分解炉の稼働率向上・チューブの長寿命化を実現

石油化学製品の原料となるエチレンやプロピレンなどは、ナフサやエタンなどの炭化水素を希釈スチームとともに、熱分解炉内のクラッキングチューブ(分解管)に流し熱分解することで得られます。

MERT(= Mixing Element Radiant Tube)は、クラッキングチューブ内の流体ガスを管内面の突起状ミキシングエレメント(攪拌素子)で攪拌することで、管内流体ガスの均一加熱、効率的な加熱・昇温を実現します。これにより、コーキング(遊離炭素の付着・堆積)の低減による加熱炉稼働率の向上、生産量の増加、省エネルギー、管温度の低下によるチューブの長寿命化等のユーザーメリットを提供します。

コンセプト

MERTは、管内面に螺旋状のミキシングエレメントを設けた遠心力鋳造管で、このミキシングエレメントの撹拌効果でクラッキングチューブ内の原料ガスが攪拌・混合され、「伝熱特性の向上」や「管内部流体ガス温度の均一化」など、熱分解効率を向上させます。

ミキシングエレメントにより管内流体ガスを攪拌・混合することで管内表面に存在する非常に伝熱抵抗の大きい境膜が破壊され、管の伝熱特性が向上します。これにより、管外表面温度が低下し、クラッキングチューブ内面へのコーキング (遊離炭素の付着・堆積)が減少し、デコーキング(付着・堆積炭素の除去)間隔延長が可能となり熱分解炉の稼働率が向上します。

攪拌機能なしのクラッキングコイルとの比較

熱分解炉内でクラッキングチューブは外表面への放射伝熱により加熱されるため、管内表面側の高温部と管中心付近の低温部との間でガス温度に差が発生します。ガス温度が高過ぎると熱分解反応は過剰に進み、目的生成物であるエチレンやプロピレンが分解・消失していまいます。ミキシングエレメントによる撹拌効果で管内流体ガス温度分布の均一化を図り、過剰な分解を抑制(熱分解反応を均一化)することでエチレンおよびプロピレン収率向上が期待できます。

MERTは、熱分解コーク・触媒コーク両方の抑制に作用し、ナフサ分解・ガス分解のいずれにおいても、コーキング抑制効果を発揮します。

MERTエレメントデザインのラインナップ

MERTは1996年の発売からさらなる進化を続けてきました。ミキシングエレメントデザインが異なる「MERT」「Slit-MERT」「X-MERT」の中から、熱分解炉タイプやニーズによって最適なデザインを提案いたします。

Slit-MERTは、高い熱伝性を維持しながら、MERTと比べて圧力損失を20%減らすことが可能です。低圧力損失設計の熱分解炉への適用やMERT適用長さを増やしたい場合に適したエレメントデザインです。

X-MERTは、Slit-MERTの改良版として2007年に発売。Slit-MERTと比較して、さらに10%圧力損失を下げることが可能です。X-MERTにより、圧力損失制限の影響を受けることなく、MERT適用可能な熱分解炉およびMERT適用長さの範囲がより大きく広がりました。

熱分解炉タイプや操業条件に応じて最適なミキシングエレメントを設計し、熱分解炉の稼働率を最大化できます。

熱流体解析(CFD=Computational Fluid Dynamics)によるX-MERTとSlit-MERTの伝熱特性比較

X-MERT 管内表面温度分布
Slit-MERT 管内表面温度分布
X-MERT 管内表面ヒートフラックス分布
Slit-MERT 管内表面ヒートフラックス分布

X-MERTではミキシングエレメントをより細かく分割して配置することで管内表面での撹拌作用がより均一となり、管内表面の温度分布とヒートフラックス分布をより均一化することが可能です。
圧力損失を低減するためにエレメント高さを小さくしても、MERTやSlit-MERTと同様に十分な撹拌効果と伝熱特性を維持することに成功しました。

採用実績

MERTは、1996年の販売開始以降、全世界の石油化学プラント647炉で採用されています。クボタの高機能品ラインナップの中から、お客様の炉に最適なクラッキングコイルを提案します。

納入実績(2019年5月現在)
  • MERT:283炉
  • Slit-MERT:245炉
  • X-MERT:119炉

技術サポート

熱分解炉解析シミュレーターの活用によるご提案
業界標準とも言える熱分解炉解析シミュレーターのSPYRO®を活用し、MERTシリーズ等の高機能クラッキングチューブ適用時のユーザーメリットを定量的に予測することで、お客様の炉タイプや操業条件に合った最適なクラッキングコイルデザインをご提案いたします。
余寿命診断サービス、浸炭測定装置のご提供
弊社製の測定装置を用いてクラッキングチューブの浸炭度合いを計測し、クラッキングチューブの余寿命診断とその計画的な更新を支援いたします。

関連製品

石油化学製品の原料となるエチレンやプロピレンの製造工程で使用される耐熱鋳鋼製のクラッキングコイル。

管内表面に強固で不活性なアルミナ皮膜を有する次世代の高機能クラッキングチューブ。

関連技術

材料表面への特殊な処理にて組成や構造を変化させ、母材に新たな機能を付加する技術。

お問い合わせ

商品、サービス、メンテナンス等について不明な点や疑問点がございましたら、各拠点情報へ直接お電話いただくか、Eメールにてお問い合わせください。 またお問い合わせいただく前に、FAQなどのサポート情報をご参照いただくと解決する場合がございますので、ぜひ一度ご覧ください。

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KUBOTA REPORT 2017

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