
パエリア発祥の地として有名なエル・パルマール村で農業に取り組み、レストランも営むラウル・マグロナールさん。伝統的なバレンシアオレンジの薪を燃料としたパエリア作りを見せてくれました。
(※2017年9月に行った取材に基づきます)
パエリア発祥の街、エル・パルマール

エル・パルマールでは、川沿いにもパエリアのレストランが並んでいます。人口は約900人ですが、日曜日になると5,000〜6,000人の観光客が集まります。


マグロナールさんのもう一つの顔が、エル・パルマールのレストランオーナー兼シェフです。手にしているのは、一般の方に販売しているお米です。
マグロナールさんに好きなお米料理についてお聞きすると「パエリアも好きですが、カモ料理で汁気の多いものが好きですね」とのことでした。


マグロナールさんが舟でアルブフェラ湖を案内してくださいました。舟が進む先々で、カモの群れが飛び立っていきます。


アルブフェラ湖では漁業も営まれており、養殖場もあります。


釣りに出ていた舟が戻って来ました。右の写真はリスという魚で、ボラ科の淡水魚だそうです。


これはウナギを獲るカゴです。スペインには、一般的にウナギを食べる習慣はありませんが、バレンシアでは食べます。田んぼがあるためにウナギが繁殖して、食べる習慣ができたようです。
バレンシアオレンジの薪でパエリア作り
スペインでは、多い場合は1日に5回食事をするそうです。起きてすぐ、甘いお菓子とカフェオレ。11時になるとクロワッサンの朝食。そして、14時頃から2〜3時間かけての昼食となります。この昼食がメインです。自宅に帰って昼食をとり、その後、シエスタ(昼寝)をする場合も多いようです。中央市場や銀行も14時半には閉店します。夜は18時くらいからバル(BAR=軽食や飲物を出す喫茶店)をはしごして、22時30分頃に自宅やレストランで夕食となるそうです。
昼食の主役がパエリアです。この日は、伝統的なバレンシアオレンジの薪を燃料としたパエリア作りを見せてくれました。


薪に火をつけたら、鶏肉とウサギの肉を炒めます。


そしてお米をチェックします。黒い筋が入ったお米は「皆がいやがるので」取り除きます。お米は洗わずに、そのまま投入します。洗うと栄養分を失うというのが理由だそうです。
日本における「芯の残っている米」は、スペインでは「コシがある」「アルデンテ」として好まれるそうです。


お米を投入して、パエリアができ上がりました。
スペインの主食はパンで、パエリアは副食です。お米は、パエリアに不可欠な野菜といった感覚のようです。

これはお米を使った「メロッソ」という料理で、イタリアのリゾットにあたるそうです。材料はお米、カモ、大根、セロリ、オリーブオイルで、これがマグロナールさんが大好きな汁気の多い「カモご飯」です。

レストランには、お米が飾られていました。