
ミャンマーでは労働力の不足から、稲刈りの機械化が進んでいます。機械化することで便利になったミャンマーの稲作について、農家の方のお話を伺ってみましょう。
(※2017年9月に行った取材に基づきます)
ミャンマーで活躍するコンバイン

クボタミャンマーのソーヨータさんに、稲刈りが行われるヤンゴン郊外の田んぼを案内していただきました。ヤンゴン川を渡り、東に約50kmの位置にあるトングァ地区の田んぼです。
ミャンマーの気候は熱帯モンスーン型であり、雨季(5月中旬〜10月中旬頃)にはベンガル湾から吹く湿った南西モンスーンが降雨をもたらし、乾季(11月〜2月頃)には大陸からの乾燥した北東モンスーンのため降雨量は非常に少なくなります。ちなみに、暑季(3月〜5月中旬頃)は大変厳しい暑さが続くそうです。
ミャンマーの南部は稲作地帯として有名で、ヤンゴン周辺は世界有数の米所です。7月頃から田んぼに直接、種籾(たねもみ)を撒き、10〜11月頃に稲刈りとなります。この日は乾季らしく、空は晴れわたっていました。
田植えができなくなった労働力の不足は、稲刈りでも同様です。田植えの場合は直播栽培に転換することで対処できますが、稲刈りはそうはいきません。コンバインの導入は必然的な流れだったのかも知れません。


これがミャンマー仕様のコンバインです。日本のコンバインとは違い、前部の刈り取り部がリールになっています。この違いは、お米の種類の違いからきているそうです。クボタミャンマーの村田社長にお話を伺いしました。
村田豊一社長
インディカ米が多い東南アジアでは、リールの付いたタイプのコンバインがスタンダードとなっています。


稲穂が揺れる広々としたほ場です。澄んだ青空にエンジン音が響き渡り、稲刈りが始まりました。ほとんど倒伏(とうふく)しているような稲穂も、スムーズに刈り取っていきます。
藁は切り刻んで、後部から排出し、田んぼにばら撒きます。
「機械が入って、便利になりました」
田んぼの持ち主であるチョージアさんにお話を伺いしました。チョージアさんは祖父母の代からの稲作農家です。親しみを込めて「ボスチョー」というニックネームで呼ばれていました。
チョージアさん
チョージアさん:「機械が入って、便利になって良かったです。工程も時間も短縮されました。昔は機械が無かったので、刈るのも時間がかかるし、人をたくさん使うので、人件費もたくさんかかっていました」
- 米作りで一番楽しいのは、どんなときですか?
チョージアさん:「米作りで楽しいのは収穫のとき、いまの時間ですよ(笑)。機械のおかげで早く刈り取れるので、早く収入を得ることができます」


コンバインによる稲刈りを、ご近所の方々が熱心に見つめていました。チョージアさんも一緒に見つめています。
刈り取った籾がコンバインのグレンタンク一杯に溜まったら、田んぼにシートを広げて排出します。


刈り取りによって集まった藁は、牛の飼料にするそうです。
田んぼの中に建っている家には、大きな水瓶が置いてあります。雨季には雨水を溜めて、その雨水で体を洗うこともあるそうです。
「機械代は、高くはありません」
チョージアさんに、機械代の負担についてお聞きしました。

皆さんが着用している腰巻きはロンジーという名前の民族衣装です。ミャンマーでは役所にも出かけられるフォーマルウェアとして認められています。