【種まきから20日目頃】 田んぼ作りの第一歩は、水の確保と言えます。日本は雨が多く、年間平均降雨量は1714mmあり、世界の平均973mmの2倍近くに相当します。それでも、米作りには、雨水だけでは十分と言えません。そこで、川の水を田んぼに引くために用水路を作ったり、ときには川の流れを変えたりしてきました。
出典:国土交通省ホームページ、白書・オープンデータおよび気象庁ホームページを参照
溜め池の重要性
また、人工で溜め池を掘り、用水を確保してきました。米作りをしていない冬場の川の水や、梅雨時期の必要以上の雨水を溜めておきます。高い場所に溜め池を作り、高い場所の田んぼから低い場所の田んぼへ、順次水を流す方法が一般的です。
溜め池の水門を開くと、開渠(かいきょ=上部を開け放した水路)をスタート地点として、水が水路を走ります。
地域のすべての田んぼに水を引くことができるようになっています。
低い場所の田んぼ近くにも、小さな溜め池が作られています。
また、農業用のパイプラインで、各田んぼに水を供給している場合も多くあります。パイプラインは据え付け工事終了後にほとんどが埋設されてしまいますが、見えない場所で役立っています。
水を汲み上げる仕組み
低い場所の川から高い場所の田んぼへ水を上げるには、さまざまな工夫が必要でした。例えば、用水路の一箇所に、堰(せき)板と土で固めた部屋を作って、そこに水を溜めます。部屋に下部から流入した水を、上部から流出させ、その高さの分だけ用水の水が引き上げられるというような工夫がされました。
昔は桶や踏車(とうしゃ)などの道具を使って水を上げました。いまではポンプなどを使用して水を汲み上げます。
次に行う代掻き(しろかき)に備えて、この時期に田んぼに水を入れます。