台風による被害と対策

台風による被害と対策

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台風による被害は近年、農作物だけではなく人の命にまで大きく関わってくるようになりました。避けられない自然災害とはいえ、台風の性質を知り、事前・事後に対策を行うことで、被害を最小限に食い止めることができます。

台風について知る

台風は、中心付近の最大風速が毎秒17m(34ノット、風力8)以上の熱帯低気圧です。激しい雨や風により、農作物に大きな被害をもたらします。ここ19年間(1991~2020年)の平均では、年間で約26個の台風が発生し、約12個の台風が日本から300 km以内に接近し、約3.5個が日本に上陸しています。発生・接近・上陸ともに、7月から10月にかけて最も多くなっていましたが、近年の気候変動により、発生・接近・上陸時期に若干の変化が見られます。

出典:国土交通省ホームページ、白書・オープンデータ、および気象庁ホームページを参照

衛星から見た台風の目

夏の台風は日本海側を進むことが多く、雨は少なく、風が強い傾向があります。また、フェーン現象が発生する場合があります。フェーン現象は、山から乾燥した高温の風が吹きおりることで、これが起こると葉や花は急に脱水して白く枯れてしまいます。
特に出穂(しゅっすい)直後の場合は、穂は白穂となり、収穫量は著しく低下します。

秋の台風は太平洋側を進む傾向にあります。秋になると、秋雨前線が南下してきて日本の上空に停滞し、秋の長雨となります。ここへ台風の襲来が重なると大雨となり、洪水が起きて、農作物に大被害をもたらします。
今では、台風の進路予測などを天気予報で知ることができます。事前の対策を立てることも可能となりました。

台風被害を抑えるための事前対策

・収穫間近の場合は、早めに稲刈りを行います。
・強風のときは深水管理にして稲の振動を抑え、倒伏(とうふく)や振動によるくず米の増加などを軽減します。また、深水管理は、フェーン現象などによる水分不足で発生する白穂や青枯れを防止します。
・冠水(かんすい=水をかぶること)の恐れのある地域では、スムーズに排水ができるように排水路の掃除・補修を行います。
・毎年のように台風が来る地域では防風林、防風ネットを常設し、風を防ぎます。

台風被害の事後対策

倒伏した場合
・排水して、穂についている籾(もみ)の発芽を防止します。
・倒伏した稲をできるだけ持ち上げて株を起こし、乾燥させます。
・穂についている籾が発芽する前に、倒伏した稲はできるだけ早めに刈り取ります。
・倒伏した場合は、不完全な状態の玄米である青米・茶米・死米が増え、石の混入も多くなるので、収穫・乾燥時に注意します。

冠水した場合
・稲の一部でも水面上に出るように、一刻も早く排水します。
・冠水した稲は、水分調整機能が低下し、水分を失いやすくなるので、収穫・乾燥時に注意します。
・葉が水面に出てからは、徐々に排水して乾燥を防止します。
・稲に付着した泥をできるだけ洗い落とします。
・冠水後は、病害虫(ウンカ類、いもち病、紋枯病、白葉枯病等)の被害が発生する可能性が高くなるので、田んぼを見回って早めに防除します。

高潮で海水が流入した場合
まず、海水を排水します。その後、川の水を掛け流しにして、稲や土から塩分を洗い流します。

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