
【種まきから80日目頃】 種まきから80日が経つと、稲も60cm近くまで伸びてきます。この頃になると、気をつけたいのが、稲を食べに来る害虫です。田んぼにはさまざまな虫が生息しますが、害虫もいれば害虫を退治してくれる益虫もいます。
一番怖いのは「ウンカ」

ウンカは、稲の葉や茎から汁を吸って枯らしてしまう、田んぼの害虫のナンバーワンです。繁殖力が強く、田んぼの一部に穴を開けたように稲を枯らしたり、ひどい時には田んぼを全滅させたりすることもある恐ろしい害虫です。
ウンカは冬を越すことができないので、一旦いなくなりますが、アジア大陸で冬を越したウンカが、毎年6~7月に、梅雨前線の気流に乗って飛んできます。セミを小さくしたような形をしていて、体長は4~6mmくらいです。
ウンカには、セジロウンカ、ヒメトビウンカ、トビイロウンカの3種類がいます。
セジロウンカは「夏ウンカは肥やしになる」ということわざがあるくらいで、そんなに害はありません。やっかいなのが、写真のトビイロウンカです。鳥の鳶(とび)によく似た茶色なのでつけられた名前です。秋に繁殖して被害をもたらすことから秋ウンカとも呼ばれています。
ウンカは江戸時代の享保や天保の大飢饉を引き起こした原因の一つとも言われています。今では、さまざまなウンカ防除剤が開発されています。現在のような農薬が開発されるまでは、対処法として、鯨油や菜種油などを水面に張り、そこにウンカを叩き落として、油膜で動きや呼吸を封じる方法がとられていたそうです。
カメムシやイナゴも要注意

カメムシもウンカと同じく、稲の葉や茎から汁を吸います。
写真右の茶色に変色している部分がカメムシの被害のあとです。穂になる肝心のところが枯れており、もう穂は出ません。
畦(あぜ)道にハーブを植えてカメムシが好むイネ科雑草を減らしたり、稲に木酢液(もくさくえき)を散布したりするなど、防除の工夫も進んでいます。

イナゴも稲の葉や茎をかじります。
他にもメイチュウ、ニカメイチュウ、ツマグロヨコバイなどの害虫がいます。
害虫を退治してくれる虫たち

田んぼ周辺には、害虫を食べる昆虫も生息しています。
クモやトンボは害虫を食べてくれるので、お米作りの味方です。

水上や水中では、アメンボやゲンゴロウがパトロールと害虫退治を担当してくれています。