
【種まきから45~50日目頃】 稲を成長させ、豊かな収穫を迎えるためには、雑草は大敵となります。田んぼには除草剤を散布し、畦(あぜ)では草刈りが必要になります。
雑草を防除することの必要性


高温多湿の日本では、すぐに雑草がはびこります。そのため、昔は米作りの所要時間の半分近くが雑草取りと言えるほどでした。今日は、稲を痛めずに雑草だけを選択しながら防除する除草剤があり、広く使用されています。田植えの7日~10日後、苗が活着した頃に1回目の除草剤を散布します。
タイヌビエやコナギなどの雑草は、次のような理由で稲の成長を妨げます。
1. 水や養分を横取りする。
2. 日光をさえぎる。
3. 風通しが悪くなる。
4. 病害虫の発生源となる。
除草剤の散布方法

除草剤には、液状のものと粒状のものがあります。ただ、一種の除草剤ですべての雑草に効くような薬剤はありません。複数種を併用したり、雑草取りなどとあわせたりして除草するのが一般的です。
散布方法は、噴霧器や散粉機を使ったり、田んぼが集まった地帯では、ヘリコプターやドローンでまいたりする場合もあります。ここでは、粒状の除草剤を手でまく場合を紹介します。

苗を踏まないように気をつけて、田んぼの中に入ります。除草剤を掴み、放り投げます。
均一にまくことがポイントで、田んぼ全体にまんべんなくまきます。

白い粒が除草剤です。薬の成分が水に溶けて拡がります。
この後、10日ごとに2回、除草剤を散布します。3回目の除草剤散布が完了するまでは、除草剤がまんべんなく効果を発揮できるように、田んぼに水を溜めておきます。


これが田んぼの雑草タイヌビエです。とても生命力が強く、稲を押しのけて繁茂します。
右の写真のように繁茂してしまうと、収穫量も落ちてしまいます。こうならないように、あらかじめ除草剤を散布して防除します。
畦の草刈り

畦道の雑草には除草剤を使わずに、鎌や刈払機で刈り取る場合がほとんどです。これは雑草の根が張り、畦を強化しているからです。除草剤を使うと、根まで枯らしてしまい、畦が弱くなって崩れたり、水が漏れたりする原因となります。

エンジン駆動の刈払機は刈刃を毎分6,000回転以上の高速で回転させて、雑草を刈る機械です。雑草の種類や畦の状態に合わせて、刃の長さが異なる刈刃を選択します。

左回転する刈刃を、右から左へ振りながら前進し、なぎ払うようにして雑草を刈ります。

仕上げに鎌で刈っているところです。 雑草を刈り取った後、火をつけて野焼きをする場合もあります。