稲穂から籾(もみ)を分離する「脱穀(だっこく)」

稲穂から籾(もみ)を分離する「脱穀(だっこく)」

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【種まきから155日目頃】 根元から刈り取った稲の穂先から、籾(もみ)を分離する作業が「脱穀(だっこく)」 です。脱穀された籾は、その日のうちに乾燥機で乾燥させます。

コンバインでの脱穀

脱穀中のコンバイン
脱穀の仕組み

コンバインを使っての脱穀です。
刈り取られた稲は、搬送チェーンによって脱穀部に送られます。

コンバインの内部構造
こぎ胴

イラストは、コンバインの内部の基本的な構造です。
赤で囲った所が脱穀部です。
脱穀部には、こぎ歯が多数ついた「こぎ胴」があります。このこぎ胴が回転し、こぎ歯の側面などで籾をこぎ落とし、脱穀します。

明治以降の足踏み式脱穀機と現在の脱穀機

左の写真は、明治以降に使用されていた「足踏み式脱穀機」です。こぎ胴、こぎ歯の仕組みが現在のコンバインに応用されています。

回転するこぎ歯で、こく粒をこぎ落としている様子
回転するこぎ歯で、こく粒をこぎ落としている様子

こぎ胴の回転により、こぎ歯が籾をこぎ落としながら、奥から手前に移動しています。

受け網
受け網

脱穀された籾は、この受け網を通過して、選別部に落下します。
脱穀した籾には、稲の葉や藁くずが混ざっています。選別部では、風選(ふうせん)と揺動の2つの方法で籾を選別します。

揺動板
揺動板

揺動板が揺動することによって、籾と藁くずを選別します。

揺動作用でわらくずとこく粒を選別している様子
揺動板

揺動作用によって、小さな籾は下部に落下します。一方、揺動板に残った藁くずは、吸引ファンに吸引されて機外に排出されます。

明治時代の唐箕

風の力を利用する方法が風選です。風が吹くときに、籾と藁くずが混ざったものを高いところから少しずつ落とすと、重い籾は下に落ちますが、軽い藁くずやゴミは横に吹く風によって遠くに飛ばされます。
明治時代には人工的に風を起こし、籾や藁くずなど、それぞれの重さに選別する唐箕(とうみ)が中国から伝えられました。これは風選の原理を応用したもので便利な装置です。一般の農家に広く普及したのは大正時代と言われています。現代では、風が無いときは、農業用扇風機などで風を起こします。

トウミ
トウミ

コンバインもこの風選の仕組みを利用しています。ファンで風を起こし、風選を行います。このファンは、現在でも「トウミ」と呼ばれています。

右の写真は、トウミの風により、細かい藁くずを飛ばしている様子です。藁くずは機外に排出されます。 軽い藁くずは吹き飛ばされますが、重い籾は落下します。こうして藁くずを取り除かれた籾は、揚穀コンベヤでグレンタンクや籾袋に送りこまれ、蓄えられます。

コンバインによる藁の処理と、籾の収穫

排藁チェーン
排藁チェーン

脱穀された後の藁は、排藁チェーンによって藁処理部に送られます。

ディスクカッタ
結束して落とす場合

藁は、ディスクカッタによって細かく刻まれ、田んぼにばらまかれます。この藁は田起こしのときなどに土に鋤き込まれ、肥料となります。
また、ディスクカッタを使用せずにそのまま落としたり、結束して落としたりしていく場合もあります。

アンローダで排出中
アンローダで排出中

一方、グレンタンクに溜まった籾は、アンローダでコンテナなどに排出します。

籾袋に排出
直接籾袋に排出

籾袋に排出する場合もあります。コンバインの機種によっては、直接籾袋に溜める場合もあります。

ソラーナ

収穫された籾は、その日のうちに運搬し、乾燥機で乾燥させます。

昔の収穫では、稲刈りをしてから、天日で乾燥させ、その後で脱穀を行っていましたが、今ではコンバインで稲刈りと脱穀を同時に行います。刈り取ってすぐの生籾は水分が約20~25%。生籾は穀温25℃で5時間後、35℃では約3時間後に変質が始まります。そのため、収穫後5時間以内に乾燥を始めて、品質を守ります。水分が14.5~15%ぐらいになるまで乾燥させます。また、乾燥によって固くなり、籾摺り(もみすり)のときに砕けにくくなります。

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