田起こしの目的と効果

田起こしの目的と効果

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田起こしは4月から5月にかけて、田んぼの土をなるべく乾燥させ、肥料を混ぜる作業です。ここでは田起こしの目的と効果について紹介します。

田起こしの目的と効果

湿田で作業する男性

明治初期までは、一年中水を湛えた「湿田」がほとんどでした。
現在、私たちが目にする田んぼは「乾田」と言われるもので、稲刈りの後は水がありません。

乾田は、秋に田んぼの水を抜いて乾かし、春に深く耕すことで、土が細かく練り上げられ、地力を向上させて収量を増やす方式です。
この明治時代に奨励された田起こしの方式には、次のような目的・効果があります。

1. 土を乾かす
土が乾くと窒素肥料が増加します。土に含まれる窒素は、植物が吸収しにくい有機態窒素の形で存在していますが、田起こしをすることで、土の中に空気が入って乾燥しやすくなり、微生物による有機態窒素の分解が促進され、植物が吸収しやすい無機態窒素に変化します。これを「乾土効果」と言います。
また、土を起こして乾かすと、土が空気をたくさん含むので、稲を植えたときに根の成長が促進されます。
深く耕すほど高収量が得られるという意味で「七回耕起は、肥いらず」「耕土一寸、玄米一石」などと言われてきました。

2. 肥料を混ぜ込む
肥料をまいてから田起こしをすれば、土に肥料をまんべんなく混ぜ込むことができます。

団粒化の様子

3. 有機物を鋤き(すき)込む
稲の切り株や刈り草、レンゲなどの有機物を鋤き込みます。
この有機物を微生物やミミズなどが分解して、養分を作り出します。
これが有機質肥料です。
有機質肥料の中には、窒素・リン酸・カリをはじめとする微量な養分も含まれています。

4. 土を砕いて団粒化する
土を細かく砕き、植物が腐ってできた有機物である「腐植」とくっついて、
直径1~10mmの小粒になったものを「団粒構造」と言います。

では、どのようにして団粒構造の土ができるのかを見ていきましょう。

団粒構造のでき方

普通の土は、粒間に小さな隙間があるだけです。

団粒構造のでき方

土に混ざっている植物は、腐って腐植となります。

団粒構造のでき方

腐植は、土の粒とやわらかくくっつきます。

団粒構造のでき方

微生物は腐植を食べ、砂や粘土の粒同士をくっつけるノリの役目をする排泄物を出します。例えば、ミミズは腐植や土を食べ、カルシウムたっぷりの有機物と土との混合物を分泌します。

団粒構造のでき方

植物の根やミミズの動きも団粒化を促進します。

団粒構造のでき方

団粒構造の土は、水や空気が隙間を流れるので排水性・通気性が良くなります。一方、直径1~10mmの小粒である団粒は水や肥料を蓄えるので、保水性・保肥力が良くなります。
また、水の保温力により保温性も良くなります。排水性・通気性・保水性・保肥力・保温性のすべてが良く、稲の育成に理想的な土となります。

5. 雑草を防除する 雑草は、おもに地表下1~3cmのところから発芽します。 田起こしをして、雑草の種子を深く埋めることにより、雑草の発生を減らすことができます。

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