「草刈り」のために開発されたさまざまな農具

「草刈り」のために開発されたさまざまな農具

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米作りで多くの時間を使って行われた「草刈り」は、稲の根に酸素を送り込むという目的もある重要な仕事でした。素手での草刈りは指先を痛めるため、さまざまな農具が考案されました。

米作りは雑草とのたたかい

草刈りをする人

雑草は水や養分を横取りして稲の成長を妨げます。高温多湿の日本では、すぐに雑草がはびこるため、米作りにかかる時間の半分近くが雑草取りと言えるほどでした。次々と生えてくる雑草を、一番草、二番草と言って、何度も田んぼに入らなければなりませんでした。一方で、除草には雑草を取ると同時に、土を掻き混ぜることによって、根に酸素を送り込むという目的もあります。

除草は田んぼの水を流し出してからはじめます。株と株の間を這うようにして、両手で土を掻き混ぜるようにして草を取り、土に埋めこみます。この作業は夏の災天下、太陽が燦々(さんさん)と照りつけるなかで、土の照り返しを受け、汗を流しながら行う重労働でした。しかも成長した稲がちくりと目や肌を刺し、素手での除草は指先を痛めます。そのため昔からいろいろな工夫がなされ、藁を編んで作った指袋や雁爪(かんづめ)などが考案されました。

写真提供: 渡部景俊「農を支えて-農具の変遷-」(秋田文化出版刊)

草刈りで使われた伝統農具

雁爪(がんづめ)
雁爪(がんづめ)

・雁爪(がんづめ)
軽くて小さい三本鍬を改良した除草農具です。明治30年代に入ってから使われました。鉄製の歯を持ち、除草と同時に土中の無駄な稲の根を切断して地上の稲の生育を促進させます。先端が細いので土の中に入りやすくなっています。最初は爪が湾曲しない平雁爪でしたが、後に爪を湾曲させてより使いやすく改良されました。

型は長柄付、中柄付、短柄付の3種類があり、爪は3本と4本のものが多かったようです。長柄付雁爪は、立姿勢で作業をするので楽ですが、土の攪拌作用は劣ります。形や大きさなど地域や個人により微妙な違いがあります。

長さ162mm・高さ130mm・奥行き179mm

中耕除草機(ちゅうこうじょそうき)
中耕除草機(ちゅうこうじょそうき)

・中耕除草機(ちゅうこうじょそうき)明治時代に発明された手押しの除草機です。とげのような鉄の歯がたくさん植えこまれた円筒状の車を柄の先に付けて、稲と稲の間を押していくと草が取れます。雁爪を回転式に改良したようなもので、正条植えと共に普及しました。

長さ157mm・高さ834mm・奥行き1310mm

朝飯前に馬の朝飯刈り

昭和30年頃までは牛や馬を多く飼っていたので、農家では「朝草刈り」をしていました。山や畑の草を草刈り鎌で刈ってきて家畜の飼料にします。夏の盛りの仕事ですから、暑くなる前のまだ朝露の残る早朝に行う、いわゆる“朝飯前”の仕事でした。

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