自家で作られていた施肥(せひ)

自家で作られていた施肥(せひ)

この記事をシェアする

twitter facebook line

稲の成長のためには一つ、欠かせない作業である「施肥(せひ)」。使われる堆肥は、青草や藁、野菜くずや米のとぎ汁などを用いて自家で作られていました。

一粒が万倍にもなる、成長力を支える肥料

肥料を混ぜる男性

田んぼに引き込む山の水は肥料となる養分を含んでいますが、夏が近づき、稲がぐんぐん成長する時期には施肥が必要です。人糞、家畜の糞、かまどの灰、米のとぎ汁、干し魚などさまざまな肥料が使われ、それらは一粒が万倍にもなる成長力を支えました。

堆肥は有機肥料の代表で古くから自家で作られてきました。堆肥作りにはいくつかの方法がありますが、その一つに、春から夏にかけて青草を刈り、台所で出る野菜くずや藁を混ぜて円形に積み、台所や風呂の汚水を何度もかけて発酵させる方法があります。ほどよく腐ったところでその上に再び藁や刈り草を乗せて、同じ事を繰り返します。
また、厩肥(きゅうひ)を積み上げて発酵させる方法もあります。厩肥の主成分は牛や馬が踏んだ藁や草です。夏の間にたくさんの草を刈って干し草として蓄えたり、冬に山の落ち葉を集めて踏ませたりしました。

施肥で使われた伝統農具

万能鍬(まんのうぐわ)

・万能鍬(まんのうぐわ)肥料を扱う万能鍬は田畑を耕す鍬より軽くて扱いやすいつくりになっています。細い刃が3本もしくは4本付いていました。写真のものは柄が竹で、より扱いやすくできています。

長さ450mm・高さ1070mm・奥行き140mm

トイレは我が家で

人の糞尿を肥料にしたものを下肥(しもごえ)と言い、農家では原料である大便や小便を大事にしていました。自家の分だけでは足りず、町家に汲み取りに行って足りない分を補ったところもあります。他人の家で大便をすると、損をしたような気になるとさえ言ったそうです。汲み取った糞尿を肥溜めなどでしばらく寝かせて、腐らせてから利用しました。

クボタのたんぼをシェアしよう!

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE
ページトップへ ページトップへ