さまざまな道具を駆使した「籾の選別」

さまざまな道具を駆使した「籾(もみ)の選別」

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脱穀(だっこく)した籾(もみ)からゴミなどを取り除くために、さまざまな農具が生まれました。明治時代に中国から伝えられた「唐箕(とうみ)」は、やがて一般の農家にも普及していきます。

風を使って、藁くずやゴミを吹き飛ばす風選

風選する女性

脱穀した籾には、稲の葉や藁くずが混ざっているため、これをさまざまな方法で取り除く必要があります。なかでも風の力を利用する方法が風選(ふうせん)です。風が吹くときに、籾と藁くずが混ざったものを高いところから少しずつ落とし、重い籾は下に落とし、軽い藁くずやゴミは遠くに飛ばす方法です。風が無いときは、筵(むしろ)や団扇(うちわ)、農業用扇風機などで風を起こしました。

明治時代になると人工的に風を起こし、籾や藁くずなど、それぞれの重さに選別する唐箕(とうみ)が中国から伝えられました。風選の原理を応用した便利な装置で、一般の農家に広く普及したのは大正時代と言われています。

籾の選別で使われた伝統農具

箕(み)
箕(み)

・箕(み)
籾と藁くずを選別する道具。ただ煽っただけでは籾も藁くずも一緒に跳ねるだけですが、下から横U字型を描くように動かすなどのコツをつかむと、選別できるようになります。また、籾や玄米を運んで俵に詰めたり、殻類を干したりするときにも使われ、無くてはならない農具でした。竹や藤の皮などで編まれています。
長さ738mm・高さ197mm・奥行き650mm

籾篩(もみふるい)
籾篩(もみふるい)

・籾篩(もみふるい)脱穀した籾をすくいとって、両手で持ってふるいます。籾は篩の目から落ち、切れた穂や藁くずなどが篩の中に残ります。篩による籾の選別は少しずつしかできず、根気のいる仕事でした。
長さ725mm・高さ135mm・奥行き725mm

淘り板(ゆすりいた)
淘り板(ゆすりいた)

・淘り板(ゆすりいた)上部よりつり下げ、揺することによって籾と玄米や、砕米などを選別しました。早く選ぶことができたそうです。
長さ670mm・高さ135mm・奥行き925mm

万石通し(まんごくとおし)
万石通し(まんごくとおし)

・万石通し(まんごくとおし)篩(ふるい)の機能をさらに発展させたもので千石通し(せんごくとおし)とも言われました。木枠に金網を張った大きな篩を傾斜状にして、選別したい混合物を流し落とします。網目より小さいものは下に落ち、大きいものは下まで到着します。

籾と玄米の選別や、玄米中のくず米や精米中の砕け米の除去など、網や傾斜角度を変えてさまざまな選別に利用されました。傾斜角度の調節には熟練を要しました。
長さ700mm・高さ1250mm・奥行き1460mm

農業用扇風機
農業用扇風機

・農業用扇風機
手で回す扇風機です。羽根が大型で、かなり強い風を起こすことができます。農作業の合間に、涼むためにも利用していたかもしれません。
長さ730mm・高さ1070mm・奥行き480mm

唐箕(とうみ)
唐箕(とうみ)

・唐箕(とうみ)
風の力でさまざまな選別ができる便利な農具です。籾や玄米を供給するための漏斗(ろうと)、手回しハンドルで羽根車を回転させて風を送る起風胴(きふうどう)、選別風胴(せんべつふうどう)、そして選別口からできています。

漏斗から落とされた混合物は、起風胴から送られた風により、重さによって選別されます。
例えば第一口には玄米や籾のような重い物、第二口には比較的軽いくず米など、そして第三口は藁くずや籾殻などの軽い物が吹き出されます。羽根は一定の速さで回さないと選別にむらが出ます。
東日本型と西日本型があるほか、地域によって形態に違いが見られます。西日本の唐箕は全体として横長、支える脚が4本ですが、東日本では縦長で多脚型となります。羽根の材質や回転を助ける歯車の導入などによって、次第に小型化していきました。写真は西日本型です。
長さ1670mm・高さ1380mm・奥行き567mm

縁起の良い、箕(み)

箕(み)の材料である竹は、1日で80~100cmも成長するのに中は空洞になっていて、昔から不思議なパワーを秘めている植物とみなされてきました。月のお姫様・かぐや姫も竹から生まれます。箕(み)もまた縁起の良いものとして、飾り物としても愛用されました。

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