
米作りで、雑草と同様に手を焼く害虫を退治するために、毎年夏に行われていた「虫追い」。後に油を使った害虫退治も行われるようになりました。
蝗(いなむし)と総称された、田んぼの害虫

雑草と同じく手を焼いたものに害虫があります。浮塵子(うんか)、螟虫(めいちゅう)、二化螟虫(にかめいちゅう)、横這(よこばい)など多くの種類があり、これらは蝗(いなむし)と総称されてきました。毎年夏には害虫退治の行事である虫追いをしました。
近世後期には油を使用した害虫退治の方法が発明されました。田んぼに鯨油や菜種油などを注ぎ、油が一面に広がるのを待ちます。その後、長い棒や笹で稲の葉を静かに払うと、虫は油に落ちて死にます。
虫追いで使われた伝統農具

・提灯(ちょうちん)
紙の球体のなかにロウソクを入れているため、少しぐらい風が吹いても消えません。夜道を明るく照らします。
長さ280mm・高さ370mm・奥行き230mm
虫追い(虫送り)
「虫追い(虫送り)」とは、夕暮れ時に村人総出で松明や提灯を持ち、鉦(かね)や太鼓を鳴らしたり、ほら貝を吹いたりしながら「虫追い」と唱えて田んぼの畦(あぜ)を回り、村境へ害虫を送り出す行事です。地方によりさまざまなスタイルがありました。