【稲と食】 日本人の食文化の柱、お米

【稲と食】 日本人の食文化の柱、お米

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お米にはいくつかの品種があり、精米の度合いで呼び方が異なります。また栄養価や保存性も高いという特徴があり、日本人の主食としてだけでなく、さまざまな食品にも利用されています。

お米の種類

お米は植物としての品種の違いや、その性質などによって、いくつかに分類することができます。

●お米の品種による分類
現在、世界で栽培されている稲の大部分は、オリザ・サティバ(Oryza sativa)というアジアで栽培されたアジア稲で、インディカ(インド型稲)、ジャポニカ(日本型稲)、ジャバニカ(ジャワ型稲)の3種類があります。
・インディカ(長粒種)一般的に、細長い米粒。くき葉が長く、高温を好みます。
・ジャバニカ(半長粒種)一般的に、やや丸型の米粒。くき葉が長く、くき数が少ない。
・ジャポニカ(円粒種)一般的に、丸い米粒。くきが短い。

●お米のでんぷん質組成の違いによる分類
・糯(もち)米
・粳(うるち)米
・その他: 醸造米・酒米、 赤米、 香り米

●お米の栽培法による分類
・水稲(すいとう): 水が大好きな稲
・陸稲(りくとう): 水がほとんどなくても作れる稲

日本ではジャポニカ・粳(うるち)・水稲の生産が大半を占めています。

精米の度合いによる、お米の呼び方

精米度が大きいほど食べやすく、一般的には味も良くなり、消化吸収も良くなります。しかし、栄養成分は逆に減っていきます。

玄米

・玄米(げんまい)
玄米は籾(もみ)の籾殻を取りのぞいたもの。糠(ぬか)、胚芽(はいが)、胚乳(はいにゅう)がすべて揃っている状態です。玄米の主成分は72%が胚乳部のでんぷんで、あとは7.4%のたんぱく質、脂質、繊維。ビタミン、ミネラルなども多く含まれています。成人病予防などの健康食品としても注目されています。

胚芽米

・胚芽米(はいがまい)
特別な精米機を使って精米し、胚芽の保有率が80%以上あるのが胚芽米。お米100gに2g以上の胚芽を含んでいます。精米と比べてビタミンB1は2.5倍、ビタミンEは10倍以上あります。

五分づき米・七分づき米

・五分づき米・七分づき米
完全に精米しないで、途中で取り出したお米です。糠(ぬか)を50%取りのぞくと五分づき米、70%取りのぞくと七分づき米になります。糠の量が少なくなればビタミン、ミネラル、繊維の量も少なくなります。

白米

・白米(はくまい)
玄米から糠と胚芽を取りのぞいたものです。ほとんど胚乳部だけで、糠と胚芽の栄養分は失われますが、消化はよくなり、でんぷんやたんぱく質の栄養利用率は高まります。炊きあがりは真っ白で見た目にも美しく、口当たりがよくなります。

お米の栄養価

玄米100g当たりで炭水化物は72g、たんぱく質7.4g、脂肪1.3g、ビタミン0.15mg。さらにミネラル、カルシウム、リン、鉄、ナトリウム、カリウム、ナイアシンなどさまざまな栄養素を含んでいます。消化吸収率が98%と高く、100g当たりの熱量が356キロカロリーもあり、高栄養食品といえます。
意外に多量のたんぱく質を含み、実は日本人の主要なたんぱく源となっています。
お米はインスリン分泌が弱く、糖質が低いので皮下脂肪になりにくく、美容にもいいようです。また、血糖値の急激な上昇を抑えるレジスタントスターチを多く含みます。糖質もおだやかで、糖尿病などになりにくい性質を持っています。
また、ストレス低減効果があるとされているギャバというアミノ酸も含んでいます。

お米のおいしさ

大昔は収穫した籾を煎り、籾殻を外した焼米をおいしく食べていたようです。その後、籾を脱穀(だっこく)して玄米にし、それを蒸して強飯(こわいい)にしました。
次に水をたっぷり入れて煮る粥(かゆ)が発明されました。そして「炊く」という技術が生まれ、お米のおいしさがさらに引き出されるようになりました。これも一つの大発明でしょう。

お米のおいしさは・炊きたてのご飯の白さ(視覚)・独特の香り(臭覚)・ほのかな甘さ(味覚)・粘りと歯ごたえ、舌触り(触覚)などの総合点で評価されます。咀嚼(そしゃく)したときの食感もポイントで、でんぷんやたんぱく質の含有量、脂肪の酸化度、ミネラル、水分の含有率がおいしさを左右するようです。

お米の72%を占めるでんぷんには、アミロースとアミロペクチンの2つの成分があります。このアミロペクチンが粘りの成分で、この量が多いほどおいしくなります。アミロース含有量は品種、栽培条件、気温に影響されます。
たんぱく質が多くなるとでんぷんの粘りが弱くなり、おいしさも低下すると考えられています。脂肪も水分の浸透をさまたげ、粘りを低下させます。
お米のうま味成分は遊離アミノ酸、遊離糖、有機酸が有力だといわれています。

お米は保存性が高い

穀象虫
穀象虫(コクゾウムシ)

お米は長期保存がききます。-20℃なら数百年もつといわれています。屋根裏から200年前の籾が出てきたこともあるそうです。
低温で貯蔵すると味が落ちることもなく、低温倉庫では15℃以下で保管しています。
家庭の米びつでは、鷹の爪(赤トウガラシ)を布袋に入れてお米と一緒に入れておくと虫も発生しません。

お米はさまざまな食品に利用される

納豆
ぬか漬け

・お米
酒や酢、しょうゆやみそに欠かせない麹(こうじ)の原料として不可欠ですし、あられ、かりんとう、あま酒、白玉、赤飯、お餅、だんご、ちまき、ぼた餅、ビ-フン、せんべい、おかき、おこし、玄米茶などの原料にもなります。
・稲藁
稲藁には納豆菌がついているため、煮た大豆を稲藁で包んでおくと納豆が作れます。稲藁の灰は、わらび、ぜんまいのあく抜きに利用されます。
・糠(ぬか)糠は筍(たけのこ)のあく抜きに使われるほか、糠漬けを作ることもできます。

ご飯のおいしい炊き方

御飯

炊くという技術は煮る、焼く、蒸すの複合技術です。ご飯を炊くときの火加減としてよく言われる「はじめチョロチョロ なかパッパ 赤子泣いてもフタとるな」はこの3つの工程を表現しています。 おいしさの感じ方には、もちろん民族差があり個人差があります。ここでは、芯がなく、粘りけがあり、ふっくらしたご飯がおいしいという想定のもとで説明します。

・お米の洗い方
乾燥したお米は水を吸収しやすいため、1回目の水洗いに時間をかけすぎると糠の匂いも吸収されます。1回目はたっぷりの水を加えて手早くかき混ぜ、その水はすばやく捨てます。

・水加減の工夫
水加減は、お米の種類や調理法によって変えます。例えば、新米では米の体積の同量、古米では1.2倍ぐらいを目安に、試行錯誤を重ね、家族や自分好みの決定的な水加減を探してください。

・炊く前にお米に水を吸わせる
お米に十分吸水させてから加熱のステップへ進みましょう。吸水速度は水温で変化します。夏で30分、冬で1時間を目安にしてください。

・炊き加減
水が沸騰するまでは強火で10分間くらい加熱します。火が強すぎると吸水が不十分になり、長すぎると煮くずれます。10分が理想的です。
沸騰したら中火にして、5分間維持します。沸騰しすぎると吹きこぼれるのでご注意ください。
5分たったら弱火にし、フタを開けずに15分間維持します。中心まで熱と水分を通して、でんぷんを変化させ、ふっくらとしたご飯をめざします。
そしていよいよ、火を消します。が、まだフタは開けずに10分から15分間蒸らします。仕上げです。我慢のしどころです。もし途中でフタを開けると、芯のある水っぽいご飯になります。
フタを開けたら、しゃもじで軽く混ぜます。そして、そっとお茶碗によそいます。

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