
米作りを終えた冬の農閑期には、藁を使って草鞋(わらじ)や蓑(みの)などの、生活に欠かせない衣料品を作りました。その用途にあわせて種類はさまざま、いろんな工夫が凝らされています。
農閑期に全家族の1年分を作る
「わらじ切れてもそまつにするな、わらはお米の親だもの」
冬の農閑期には藁を使ってさまざまな衣料品を作成しました。全家族の1年分を作ります。1年間で草鞋(わらじ)は1人10足、蓑(みの)は 1人1着が必要で、草鞋は1日で15足、蓑は1着作るのに2、3日かかったそうです。
藁で作った履き物
ご近所用や台所用、作業用、雪国での防寒靴など用途に合わせて多種多様なタイプが作られていました。
(協力・奈良県立民俗博物館)





草鞋の作り方

1.藁を打って柔らかくします。

2.藁を縒(よ)って縦縄にします。

3.縦縄を輪にして草鞋の基盤の形にします。

4.足の親指に引っ掛けて編み込み体勢をとります。

5.藁を横に編み込んでいきます。

6.さらに編み込みます。時々指でしごいてかっちりとさせます。

7.鼻緒になる縦縄を編み込みます。

8.さらに編み込みます。

9.編み込み完了。

10.一度藁をほどきます。

11.鼻緒の形にして編みなおします。

12.完成しました。
藁で作った上着や小物
イエズス会の宣教師たちは、簑を日本の雨合羽(あまがっぱ)、すなわち、雨のときに用いる外套(がいとう)と思っていたようです。確かに、昔の農村では傘をさすことがほとんどなく、雨の日は蓑と笠を用いたものです。しかし蓑は、雨のときに着るだけではなく防雪、防寒、陽除けなどとしても使われてきました。
蓑にはY字形やマント形などさまざまなデザインがあります。仕事をするときだけではなく、儀式用、道中用のものも作られました。結婚式のときなどに着用する蓑は、化粧蓑といって、襟のあたりなどに美しい模様を入れて編みました。 蓑は柔らかくて水切りのいい穂先で作ります。

・背中蓑(せなかみの)
雨具ではなく、荷物を背負うときの背あてとして使うのが一般的です。山道では荷物を背負って運ばなければならないので、背中が痛くないように当てたわけです。これを背に当てて、荷物を縄でくくって背負います。草刈りなどのときの陽除けとして使われることもあったようです。

・腰蓑(こしみの)腰蓑は腰に着ける蓑。岐阜の長良川で鵜飼をする漁師は現在でも腰蓑を用いています。田んぼでは泥除けを目的として使用していたようです。



・腰ふご
山行き用の藁製のバッグです。お弁当などを入れて腰に装着します。
・蓑帽子(みのぼうし)蓑帽子は帽子つきの蓑でミノボッチともいい、頭からすっぽり被ります。
・蓑笠(みのがさ)
昔話に、子どもが天狗を騙して蓑笠を手に入れ、それを着けると姿を隠すことができた、というのがあります。昔話での蓑笠の持ち主は天狗が多かったようです。