【稲と住】 屋根や壁など生活のさまざまな場面で使われた藁

【稲と住】 屋根や壁など生活のさまざまな場面で使われた藁

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藁は住居や生活の中などさまざまなところで使われていました。藁だけでなく、お米を白米にする過程で出る籾殻(もみがら)や糠(ぬか)も有効に活用されていました。

藁打ち台は農家の土間の必須アイテム

藁葺(わらぶき)屋根をはじめとして、藁は生活のさまざまな場面で利用されました。
藁細工に使用する藁は一度打って、柔らかくしてから使用します。藁打ちの作業には、藁打台・槌・杵などの道具が使われます。藁打台は普通は石で、農家の土間の必須アイテムです。筵(むしろ)・菰(こも)・俵(たわら)など特殊なものは、打たずに固いままで作ります。

日本人の生活に欠かせなかった藁(わら)

藁葺き屋根の家
藁葺き屋根

・藁葺(わらぶき)屋根
水田と藁葺屋根は、やすらぎを感じる日本の原風景といえるでしょう。
かやぶきの屋根も、中には藁が敷き詰められ、屋根を支えるために藁でできた縄が使用されています。

土壁
土壁

・壁材
古い木造の家では壁材として、土に混ぜて藁が塗り込められています。強度を高めるためでしょうが、藁には神の力があるため、注連縄(しめなわ)のような意味合いもあったのかもしれません。

敷物

・敷物
寝室・産室の敷藁としたり、藁蒲団・敷筵(しきむしろ)・円座・揺り籠・縄暖簾(なわのれん)を作ったりしました。畳の中身にも使われていました。

肥料
肥料

・肥料
藁を灰にして肥料にしたり、藁をすき込んで肥料としたり、堆肥を作ったりします。草鞋(わらじ)が切れて使えなくなっても、かまどの燃料となり、灰となり、最後は土に帰されて翌年の稲の養分として循環するわけです。

燃料

・燃料
竃(へっつい=かまど)で稲藁を燃やしてご飯を炊いていました。

肥料を食べる牛

・飼料
牛や馬に食べさせます。

・俵(たわら)お米は米俵にいれて運搬されます。

藁を縒って作った縄
藁を縒って作った縄

・縄(なわ) 藁を縒(よ)って作ります。この縄をさらによじると綱になります。

注連縄

・注連縄(しめなわ) 藁には幸運を呼ぶ力があると信じられていました。正月には注連縄を飾り、小正月や孟蘭盆(うらぼん)には藁火を焚いて先祖の霊を迎えます。
正月の注連縄は、その家が神の家であることを示しています。注連縄の「シメ」は、そこを占有するといった意味で、占有するのは神です。建物を建てる時の地鎮祭でも注連縄が張られますが、この地を神が占有したのでその建物も守られる、という考えからきています。
注連縄を作るために、農家では秋の収穫の時に茎の長い青い藁を蓄えていました。

藁人形

・藁人形
藁で作った馬や人形は各地に見られます。正月や虫送りなど、さまざまな行事で使われるようです。

飯ふご
飯ふご

・飯ふご(めしふご) 米びつをすっぽりとくるんで保温するものです。

もっこ

・もっこ
運搬具です。

ふご

・ふご
運搬具です。籾殻などを運ぶのに使用されました。

お米の外皮・籾殻(もみがら)も無駄なく使う

籾殻の山
焼いて黒く炭化した籾殻

・籾殻を焼いて黒く炭化させた燻炭(くんたん)は苗代の保温材として使用します。
・牛・馬・にわとりの敷料として用いられ、その後は堆肥の材料となります。
・枕の充填(じゅうてん)材としても使われていました。
・くだもの箱などのクッション材、保温材にもなります。

栄養豊富で、美容にも使われる糠(ぬか)

・米糠は脂肪、たんぱく質、ミネラル、ビタミンなども含むので牛や馬の飼料になります。
・糠は油よごれをよく落とし、お肌をしっとりとさせるので、洗剤や石鹸、化粧品としても使われます。
・家具のつやをだすワックスとして使用されます。糠袋で漆器や家具、柱を磨くと、いいつやがでます。
・搾油した糠油は食用油、クリーム油、石鹸、グリセリン、頭髪油、ヘアトニックなどに加工されています。

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