
稲作は、秋に選別した種籾(たねもみ)の保存から始まります。「種壺」などを使って保存しておいた種籾をさらに厳選して、苗代田(なわしろだ)や苗床にまいていきました。
良い苗を育てれば稲作の半分は成功


種籾は前年の稲刈りの時に厳選して、乾燥した倉庫に大切に保存していました。種籾を種壺に入れて密封することで、ねずみの被害などから守ります。
写真の種壺は、水瓶(みずがめ)として使用していたものにヒビが入ったため、竹で締め付けて割れないようにして再利用しています。
厳選した種籾を苗代田や苗床にまく

中身の詰まった良い種籾を選ぶために塩水選(えんすいせん)を行います。種籾を塩水につけて軽い種籾を浮き上がらせ、底に沈んだ良い種籾を選び、水で洗います。塩水選は、明治時代に開発された方法で、これだけで当時の収穫量が一割も増えたと言われています。
続いては、1週間ほど真水につけておいた種籾を苗代田(なわしろだ)や苗床にまきます。苗床は乾燥させた土に籾殻を燻した「燻炭」(くんたん)と肥料を混ぜて作ります。