水不足の地の奇跡となった、観音水

水不足の地の奇跡となった、観音水

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水不足で悩んできた宇和町。しかし、一カ所だけ、その例外と言える水があります。それが戦国時代、水不足のこの地に観音さまがくださったと伝えられる「観音水」です。観音水は宇和町明間にある、名水百選に選定されている自然の湧き水です。この観音水で米作りをしている農家の松末勝己さんにお話を伺いました。

観音さまがくださった水

観音水
観音水

松末勝己さん
松末勝己さん

松末さん:「観音水は飲んでもおいしくて、水汲みにどんどん人が来るんです。松山のほうから、わざわざ水汲みに来る人もおられます。夏の暑いときは老人クラブが『流しそうめん』をやっておりますよ」
松末勝己さん

松末勝己さん

松末さん:「勤めているときは父が田んぼをやっておりました。私もずっと手伝っておりましたので、自分でやるようになってからも、迷わずにできたということです。農協に勤め、農業の販売関係とかをやっていたので、その経験がいまは非常に役に立っております」

松末さんが観音水の水源に案内してくださいました。

観音水の水源
観音水の水源

松末勝己さん

松末さん:「この水はいつから出たのか、本当のところは誰にもわかりません。穴があってですな、そこから自然にどんどん出とるんですよ。山から湧いているんですが、愛大(あいだい=愛媛大学)の先生が大学生を何人か連れて調査をやったんですけれど、どこから来とるかわからないんですよ。水がこの穴の左側3mほど下から吹き出とるんです。中には誰も入れないんですよ。
地域の方20人前後が山の水利権を持っておるんですが、一部を県が買い取って、こうして皆さんに使っていただいています」

地元の人が利用する「第二観音水」

第二観音水へ続く道
松末勝己さん

観光地としてにぎわう観音水は、地域では「第一観音水」と呼ばれており、実はもう一カ所「第二観音水」と呼ばれる水源地があります。松末さんが米作りに利用している「第二観音水」の水源地にも案内していただきました。

第二観音水の水源
社

松末勝己さん

松末さん:「ここの水が、私たちが生活用水や水道に利用している水です」

観音水で作られたうまいお米

松末勝己さん

松末勝己さん

松末さん:「米作りにとってここは、条件がいいんですよ。穴から出とる水が一年を通して常に14℃です。私の田んぼは棚田であって、場所としてはそんなにいいところでもないんじゃけど、夏場に水が冷たいのは作物には最高なんですよ。寒暖の差のある状態で作ると、大変おいしいものができます。それに観音水には不純物がなくて、きれいなんですね。私らは昔からこの地でお米を作って食べておりますから、普通のお米じゃと思うんですが、初めての方が食べたら『ああ、うまいなあ、ええなあ』と言われるんです。
今年(2011年)のように、田植え時期に低温の場合は、どのように水をかけるか、高温の場合はどのような対応をするか、常に頭に入れてやっていかなければならない。水が一番ですよ。水を上手に、ですね、田んぼにかけてやれば、稲のでき映えも違うんです」
イノシシを生け捕るための罠

これはイノシシを生け捕るための罠です。

松末勝己さん

松末さん:「イノシシは去年はだいぶおりました。若い人で猟銃の免許を取る人が少なくなったので、ああいうのは増えよるでしょうな。被害が太う(大きく)なるでしょう。収穫間際でごっそりやられますからな」
稲刈りの様子

お話を伺った日は、稲刈りのシーズン真っ盛りでした。倒伏(とうふく)している稲も見られましたが、風のせいではないそうです。

松末勝己さん

松末さん:「倒れているのは、お米の重みのためですよ。お米があまりできていないとこは、稲がぴんと立って、逆に収量がないということです。コンバインでどんどん走ってもですね、いつまで走ってもタンクに一つも籾(もみ)がいっぱいにならんという(笑)。稲ができとるやつは少し走っただけで、早くももう「ピッピッピッピッ(タンクが籾で満たされたときのアラーム音)」と、満杯になりましたあ、ってすぐ言うくらいです」
稲刈りの様子
松末さんと松原さん

松末勝己さん

松末さん:「農業、好きですから。私はもう、好きなことをやるのが一番じゃと思うて、誰が言うてもブレーキのきかん、そういう状態で、徹底してやっております。婆さんと二人でごそごそと、おかげで何とか体が動きますから。とにかく元気におるのが一番じゃと私は思いますら。ご飯を食わにゃあいけん。食べることが一番大事ですな。面白いです、米作りは(大笑)。指導者がいいですけんな。長い付き合いになりますけんな、この(株式会社四国クボタ宇和営業所の)松原さんは、ほんと、週に何回も私の田まで来られて『どうずら?』と声をかけてもらうし。やっぱりうれしいですら(笑)」

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