
2億年前から同じ姿をしている「カブトエビ」。その秘密は、強い卵にあるんだとか。普通の生き物では考えられない卵の秘密に迫ります。

アメリカカブトエビ
科目: 背甲(ハイコウ)目カブトエビ科
体長: 約20~30mm
成体を見ることができる時期: 6月~8月
冬越し: 卵
田んぼでの愛称: 田んぼの草取り名人
カブトエビの卵はとても強い
「生きた化石」とも言われるカブトエビは、甲殻類の中で最も原始的な種類で、祖先は2億年以上前の三葉虫と言われています。
アメリカカブトエビは元々、北アメリカの砂漠が故郷だと言われています。砂漠で生きのびるために、卵は数年間の暑さや寒さ、乾燥に耐えられるようになっています。一匹で産む卵の数は1,000個以上にのぼります。このような卵を乾燥卵、または耐久卵といい、カブトエビが現代まで生き残れたのも、この特殊な卵であったからと言われています。
カブトエビの寿命は短く、産卵を終えると約1ヶ月の短い一生を終えます。つまり、1年のうち11ヶ月を卵で過ごしているわけです。
田んぼを育てるのに役に立つ「カブトエビ」
カブトエビは田んぼの雑草を取る働きがあります。泥の中に生えた雑草の芽を食べ、泳いでいる時には水を濁らせるため、発芽した雑草の生育を抑える効果もあります。また、泥をかき回すことで稲の根に酸素を送り、根腐れも防いでくれるのだとか。そのため、カブトエビをわざわざ田んぼに放して、草取りをさせている人もいるそうです。
カブトエビは40数対の足を絶えず動かして泥を掻き分けたり、這い回ったり、埋まったりして小さな藻類やミジンコを食べています。それだけでなく、水草やコケ、魚の死骸なども食べる雑食です。1ヶ月と短い寿命ですが、脱皮を繰り返し3cmくらいまで成長します。その寿命の中でも、卵を泥の中に生み、次の年にはまた田んぼに現れるのです。