「ミミズ」を二つに切断したら本当に2匹になるのか

「ミミズ」を二つに切断したら本当に2匹になるのか

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土の中で生活するミミズは、ちぎれたら分身すると言われていますが本当でしょうか。
手も足もないですが、実は土の中で活躍しているミミズの生態について見ていきましょう。

分裂するヤマトヒメミミズ

ヤマトヒメミミズ

科目: ミミズ目ヒメミミズ科
体長: 約10~15mm
成体を見ることができる時期: 一年中
冬越し: 成虫
漢字: 大和姫蚯蚓

分身の術を使う「ヤマトヒメミミズ」

土の中で生活している一般的なミミズが、半分にちぎれてしまったらどうなるでしょうか。
実は前半身は再生しますが、後半身は再生せずに死んでしまうので、分裂しても2匹にはなりません。

しかし、分身の術を使う珍しいミミズもいます。それは、農林水産省東北農業試験場の中村好男さんが日本で初めて発見した「ヤマトヒメミミズ」です。
ヤマトヒメミミズは成長して体長が1cmくらいになると1mmほどの10の断片に分裂します。その断片に頭や尻尾ができて、約4日で10匹のミミズになります。まさに分身の術、驚異的な再生能力です。そして、10日ほどたって、また1cmくらいになったら、ぶちぶちと切れはじめます。人間がカミソリでもっと小さく切っても、やはり再生するそうです。中村さんが飼育している、最初に発見したヤマトヒメミミズは、80回以上の分裂を繰り返しているそうです。

土を耕してくれる働き者のミミズ

田んぼで見かけるミミズの役割は土を耕すことです。土や落葉、地中に残る腐った根も食べて粉々にしながら土と混ぜて排泄します。また、土の中にトンネルを作ることにより、通気性が良くなり土の深い場所まで酸素が供給されます。まさに、人間が鋤(すき)で土を細かく砕き、肥料を混ぜるのと同じことをしているわけです。田んぼの畦(あぜ)にミミズがトンネルを作ってしまい、水が抜けてしまうこともありますが、ミミズの害と益では、益の方がずっと大きいのです。

ビーグル号に乗って世界一周航海をした、進化論で有名なイギリスの学者チャールズ・ダーウィンもミミズが大好きだったようで40年以上も観察していました。「鋤は人類が発明したもののなかで最も価値あるものの一つだが、実は人類が出現するはるか以前から、土地はミミズによってきちんと耕されてきた」という言葉を残しています。ダーウィンが最後に書いた本のタイトルは「ミミズの作用による肥沃土の形成とミミズの習性の観察」というものでした。

ミミズは100~150くらいの体節が連なる紐状の生き物です。産卵数は意外に少なく、シマミミズは年間11個、赤ミミズは74個という報告があります。成熟するまでにはほとんどの種類が1年以上かかるようです。

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