1万以上の小さな目を持つ「トンボ」は、すべてお見通し

1万以上の小さな目を持つ「トンボ」は、すべてお見通し

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小さな個眼が1万~3万個も集まって形成されている「トンボ」の目。
そんな、田んぼ生まれの「トンボ」の不思議な生態について紹介します。

トンボの目

アキアカネ

科目: トンボ目トンボ科
体長: 約21~40mm
成体を見ることができる時期: 7月~10月
冬越し: 卵
漢字: 蜻蛉
田んぼでの愛称: 田んぼのジェット機

トンボの目はマルチスクリーン

トンボの複眼を虫眼鏡で見ると、ハチの巣のような六角形の目が集まってできていることがわかります。この小さな目を「個眼」といいます。その数は1万個から3万個にもなります。
レンズの部分では一つひとつ違う映像でマルチスクリーンのようになっていますが、それが脳では一つの映像として認識されているようです。上下左右前後、ほぼすべて見えているはずですが、後部の一部がほんの少しだけ死角になっているはずです。
上部の個眼は焦点が遠くで合い、下部の個眼は焦点が比較的近くで合います。トンボは太陽を目印に飛行しているようで、上部の個眼は常に太陽を捉えています。下部の個眼は餌を探していて、40m先で動いた昆虫も見逃さない千里眼の持ち主です。

田んぼで生まれて、田んぼで育つから、「飛ぶ田んぼ=トンボ」

田んぼで生まれて、田んぼで飛ぶから「飛ぶ田んぼ」、それが変化してトンボになったように、トンボは田んぼと密接な生き物です。
アキアカネは田んぼに水が入ると卵が孵化して幼虫のヤゴとなります。ヤゴは水中で成長し、稲が大きく育った、夏の初めの早朝、稲の茎につかまって羽化してトンボになります。トンボになると、夏の暑い間は暑さを避けて山の上で過ごします。そして、秋に稲穂がたれる頃、田んぼに戻ってきて産卵します。戻って来た頃はオレンジ色で、秋が深まるとともに赤くなり、赤トンボになります。トンボは、田んぼの一年に合わせてうまく生活している生き物です。

速度ゼロのホバリング(空中停止)状態から猛スピードまで、自由自在に飛び回り、ハエや蚊などを飛行中に捕獲して食べます。ときには網で待ち伏せているクモを食べたり、害虫ウンカも食べたりしてくれるので農家にとって強い味方です。

トンボは世界に約5000種が生息し、日本にはおよそ200種類が生息しています。日本はトンボの宝庫です。日本の美称として「秋津島瑞穂の国(あきつしまみずほのくに)」という言葉がありますが、この秋津とは赤トンボのことで「トンボが豊富な島で、みずみずしい稲穂の国」という意味です。赤トンボは日本で稲作が広がるにつれて、田んぼとともに増えたのかもしれません。

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