国土交通省の資料※2によると日本では、いわゆるゲリラ豪雨など1時間あたり50mmを上回る降雨が、最近30年間で1.3倍に増加。近年、雨の降り方も局地化、集中化しているという。こういったゲリラ豪雨では、近くに山や大きな河川がないからといって油断はできない。特に道路の舗装面積が増加している都市部では、雨水は地下へ浸透しにくく、下水道へと排水される量が急増している。河川の急激な増水、道路やアンダーパスなどの冠水だけでなく、ターミナル駅の構内といった地下空間に浸水災害が起こった場合、短時間に甚大な被害を引き起こす。その原因は、降水量が既存の排水能力を大きく上回り、雨水の処理が追いつかないことにある。ゲリラ豪雨の一気に迫りくる脅威に対し、どれだけスピーディーに対応できるか、それが社会を守るカギとなる。
クボタは、ゲリラ豪雨をはじめ、さまざまな浸水被害の危険性を低減するため、緊急排水ポンプの開発に取り組んできた。特に排水能力や機動力、軽量化や可搬性を大きく進化させた災害用ポンプは、近年ポンプ車にも搭載され、性能を発揮している。
過去、洪水が多発していたタイへ日本政府から派遣されたことをはじめ、2018年に西日本を中心に多くの地域を襲った「平成30年7月豪雨」や、2020年、九州地方に甚大な被害をもたらした「令和2年7月豪雨」などでの実績が記憶に新しい。
こういったポンプ開発の端緒となったのが、1980年代に活躍していた先行待機ポンプだ。2009年、クボタは多数発生している局所的な集中豪雨に対応するため、さらなる迅速な排水の実現と機動性を大きく向上させた「Hu-BOMBA MAX」を開発。このポンプは、それまで培った気水切替方式※3先行待機ポンプの技術に新開発の技術を融合・進化させたハイブリッド型先行待機ポンプ※4で、より低い水位から早く排水したいというニーズに応え、浸水被害を防ぐものだった。異常気象により、日本各地で多発する河川氾濫や浸水。クボタは知見と実績を積んだこれらの災害用ポンプの技術で、被災した都市や地域の環境と実情に応じた多様な復旧活動を行っていく。