田んぼの凄腕ハンター「タガメ」

田んぼの凄腕ハンター「タガメ」

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田んぼのハンターとも言われる「タガメ」。体調5〜6cmほどにもなる大型昆虫の生態と、ヤゴやドジョウをどのようにして捕まえているのかを見ていきましょう。

カエルを捕食するタガメ

タガメ

科目: カメムシ目コオイムシ科
体長: 約48~65mm
成体を見ることができる時期: 4月~10月
冬越し: 成虫
漢字: 田亀
田んぼでの愛称: 田んぼのハンター

忍者のように待ち伏せして獲物を捕まえる

水生昆虫のなかでも最強と言える「タガメ」は、キレイな水を好み直射日光が嫌いなので雑草の多い田んぼを住処にします。夜行性なので、日中は水底に積もっている落ち葉や水草などの間に隠れ、夜になると獲物を求めて活動をはじめます。

ヤゴやドジョウ、オタマジャクシ、ときにはカエルを捕まえて食べるほど大型で獰猛な「タガメ」。その狩猟方法は必殺の待ち伏せ。稲や浮き草に頭を下にしてつかまり獲物が前を通るのをじっと待ちます。呼吸はお尻についた呼吸管を水上に出して空気を取り入れるシュノーケル方式。そのために、水面に浮上する必要がなく、いつまでも待っていることができるわけです。

また、水草や落ち葉に体を似せるという擬態をしています。発達した複眼を持ち、目で獲物を見つけるようです。獲物が通りかかると、鋭い鎌のような前足で捕まえ、どんなに暴れても離しません。針のように尖った口を突き刺して獲物を麻痺させる液体を注入し、体液を吸います。

意外にもイクメンなタガメ

タガメのメスは5月から7月にかけて、水面から10~15cmくらい突き出ている杭や木の枝、水草の茎などにたくさんの卵を数回に分けて産みます。数回に分けるのは雄に父親の自覚を持たせるためだそうです。そして、産卵が終わるとメスはその場を去ります。卵が孵化するまでは、父親の自覚を持たされた雄が卵に覆い被さって守ります。また、ときどき水に入って体を濡らしたり、ストローのような口を卵の隙間に射し込んだりして水を出し、卵が乾かないようにします。卵はおよそ10日間で孵化します。幼虫はすぐ水中に入り、成虫と同じ獰猛さを発揮して、小さな生き物を捕らえて体液を吸って成長します。

ふだんはあまり飛びませんが、エサが少なくなったり、水が汚れたりすると空へ飛び立ち、他の場所へ移動します。移動距離は100kmくらいになる場合もあるそうです。

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