アメリカ・カリフォルニア州は、南北に長く、沿岸部から険しい山脈が連なり、乾燥地帯や森林地帯がある。多様な風土と気候が野菜をはじめ、果物やアーモンドのような木の実などの多彩な農産物の栽培を可能としている。中でもカリフォルニア州を世界的に有名にしているのがワインである。生産量はイタリア、フランス、スペインに次ぐ世界第4位、アメリカ国内の約85%を占めており、文字通りアメリカの人々の豊かな暮らしを彩っている。そのワイン用ぶどう畑でクボタのトラクタが活躍している。
クボタは1972年、カリフォルニア州に現地法人Kubota Tractor Corporationを設立し北米展開を本格的にスタートさせた。当初は個人客向けの小型トラクタで地位を築いていたが、1990年代に入ると高出力化とラインアップの拡大を進める。そして、2000年代の60~100馬力超のユーティリティトラクタの開発は、果樹園をはじめとする小規模農家のニーズにマッチ。ついにクボタはアメリカの農業市場への参入を果たす。特に、ナロータイプといわれる車幅の狭いトラクタはワイン用のぶどう畑に最適であった。ぶどう畑は木と木の間が狭く大型のトラクタなどが使用できなかったのだ。また1日に12時間から14時間稼働させるため、トラクタには耐久性やシンプルな操作感も不可欠な要素だった。クボタのトラクタはシンプルで故障が少ないことと、信頼性の高さがぶどうの生産者に大いに歓迎された。例えば、良質のワイン用ぶどう産地として世界的に名高いナパ・バレーで活躍するトラクタの3分の2はクボタのトラクタといわれるまでになり、カリフォルニアワインの生産を支えている。
近年は新興国も含め生活水準が上がり、世界的にワインの消費量が増えている。クボタはアメリカの人々の生活を豊かに彩るだけではなく、アメリカから世界の人々の暮らしを豊かにすることにも貢献している。