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総延長100kmの上水道管を敷設 
バングラデシュの「命の管」で
チッタゴンの水道普及率を85%へ

急速に経済成長を遂げるバングラデシュで安全な水を安定供給
2019年、8年がかりでカルナフリ上水道(第1期・第2期工事)完成

南アジアに位置するバングラデシュ。紛争や独立などの社会的混乱によるインフラの未整備などから経済が停滞していたが、2000年以降、急速に経済成長を遂げ、とくにアパレル産業にとってなくてはならない存在となるなど、新興国のひとつとして台頭しつつある。

設備の老朽化や水質汚染など、都市部においても安心できる水の供給が待たれていた
設備の老朽化や水質汚染など、都市部においても安心できる水の供給が待たれていた

バングラデシュは亜熱帯地域に位置するため、雨季の降水によって水量は豊富にある。しかし、水源となる地下水の多くはヒ素などを含んでおり、安全とはいえなかった。そのうえ、清浄な水を届ける水インフラの整備が進んでおらず、安全な水を安定供給するための上水道の普及率を高めることが喫緊の課題となっていた。

そのような課題の解決へ、バングラデシュ南東部の中心都市チッタゴンで、株式会社クボタ工建(現・株式会社クボタ建設)の手で進められたプロジェクトが、「カルナフリ上水道整備事業」。ベンガル湾に注ぐカルナフリ川から取水し、浄水場を経て総延長約100km(第1期・第2期工事総計)にもおよぶ導水・送水管、配水管を敷設するバングラデシュ初の大規模な水関連インフラ建設計画で、JICA(国際協力機構)が主導のODA(政府開発援助)案件であった。クボタは配管技術力の確かさで、特殊な水管橋工事や推進工法などの困難な工事をクリアすべく、最適な工法を選択し提案。第1期は、総延長約68kmにおよぶ上水道管を敷設するもので、クボタが生産する管長9mのダクタイル鉄管※1を中心に、4,863本もの管を必要とした大きなプロジェクトだった。

難航工事の末に完成したチッタゴン市民の暮らしを守る水管橋
難航工事の末に完成したチッタゴン市民の暮らしを守る水管橋
工法とともに高く評価されていたダクタイル鉄管
工法とともに高く評価されていたダクタイル鉄管

この上水道整備の第1期工事※2は2012年に着工した。あふれる人の波、終わりのない交通渋滞をはじめ、掘削時に湧き出る水、軟弱な土質、何が出てくるかわからない埋設物など、まさに混沌の中で行われた難工事であった。当時の担当者は「上水道をつくれば水を供給できる。現地の人々に、今よりよい生活環境を提供できる。だから我々がつくる。我々にしかつくれない」という強い思いがあったと語っている。

地元の人たちへの安全教育にも注力
地元の人たちへの安全教育にも注力

またこの事業でクボタは、バングラデシュ人監督者のスキル向上、人材育成といった面でも貢献した。加えて力を注いだのが、安全管理教育の徹底だった。保護服やヘルメット、安全靴の着用を義務付け、繰り返し指導を続けたことで、作業者の安全意識の定着につながり第1期工事を無事故無災害で乗り切った。

そして第1期工事の実績が評価されて第2期工事も受注。2019年の第2期工事※3終了によって、チッタゴン市の水道普及率は、工事開始時の47%から85%にまで改善する見込みで、以前まで半日以下だった時間給水も、その時間は着実に長くなりつつあった。クボタが敷設した総延長約100kmの上水道管は、文字通り「命の管」として、人々の生活と命を支え、チッタゴンに恵みをもたらすことになるだろう。

ハルダ川にかかる水管橋。バングラデシュの豊かな未来を映す
ハルダ川にかかる水管橋。バングラデシュの豊かな未来を映す
注釈
  • ※1ダクタイル鉄管 管体がダクタイル鋳鉄という粘りがあり強靭な素材でできている水道管のこと
  • ※2第1期工事は(株)クボタ工建と丸紅株式会社のジョイントベンチャー事業
  • ※3第2期工事は(株)クボタ工建とコーロン・グローバル・コーポレーション(韓国)のジョイントベンチャー事業
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