世界トップクラスの普及率と水質の高さ、漏水率の低さを誇る水インフラを持つ日本。しかし、そのインフラの維持管理においては、人口減少にともなう財政難、施設老朽化、人材不足、頻発する災害の対策など、さまざまかつ複雑化した課題が山積していた。そんな社会の課題解決をいかに少ない労力、資源、財政で遂行していくのか。それがクボタの使命だ。
クボタはこれまで管路・ポンプの補修・更新などにあたり、ICTなどの最新技術による省力化や省エネ化、省コスト化に挑戦してきた。そして2017年、下水道をはじめ、農業用水や河川、工場など幅広い施設で活用できる水のIoTソリューションであるKSIS(KUBOTA Smart Infrastructure System)を開発した。このKSISはIoTを活用し、機器のライフサイクルコスト削減や傾向管理のための診断や予測、監視、制御をするシステムで、水事業の業務効率化や高付加価値化を実現できる。
KSISのポイントは“水のいつでもどこでも見える化”にある。浄水場や配水池、下水処理場やポンプ場、さらに水門などにカメラや通信装置を取り付け、運転や機器監視データをクボタのKSISサーバーに送信し、インターネットで遠隔監視するシステムだ。パソコンやスマートフォンなど各種デバイスで水の“今”を確認できることが多くのメリットを生み出した。まず、巡回点検を省力でき、機器や施設の状況などもメールでチェックできる。監視データを分析して機器の不具合の予兆を検知することで効率的な予防保全が可能になる。さらに、上下水道や水門などのモニタリングで広域管理も可能になるうえ、気象情報を組み合わせることで、上下水道のほかに、農業用水や河川などの安全や持続、異常の早期発見が可能になる。
創業以来、長年にわたって水の現場をつぶさに見てきたクボタは、水インフラの維持管理において、何が重要であるかの知識と経験を蓄積してきた。大量に収集されるデータの中から、どのデータをどう使うかを、経験豊富なスペシャリストが見極め、そのノウハウをAIで構築し活用。さまざまな最先端技術やアイデアを積極的に生かし、人的、経験的、財政的な逆風が吹く水事業の効率的な運用を可能にするシステムへと発展させていく。