アフリカの人口は2030年には約17億人※2になるといわれている。また若い世代が多く、人口の年齢層別構成はきれいなピラミッド型をしており、「未来の大陸」といわれ今後の発展が期待されている。近年、人口の急激な増加により食料需要も大幅に増えているが、農業では機械の導入が遅れていることもあり、作物の生産が追いついていないというのが現状である。アフリカの、ひいては世界の食料の安定供給を考えた時に、アフリカ農業の発展に貢献することは非常に大きな意義がある。
アフリカはさまざまな気候風土や地形が存在するため、地域ごとに多種多様な農業が行われている。稲作も多く、特に近年は、米の生産量が増加※3している。アフリカの稲作は、かつては手作業だったため重労働で効率も悪かった。現在では、歩行型の耕うん機の導入によって生産性が向上しているが、急増する食料需要に応えるためには、さらなる生産性の向上と効率化が求められており、より進んだ機械化が必要となっていたのである。
クボタがアフリカに進出したのは1970年代後半のことである。クボタの戦略は、各国の農業の状況に応じて段階的に機械化を普及させ、農家とともに成長しながらアフリカの食料増産に貢献することだった。タンザニアを例にするとクボタは1980年代から現地に進出。当時、米づくりはすべて手作業であったが、クボタは一気に機械化しようとはせず、まずは現状を調査することから始めた。農家の声をじかに聞き、現地スタッフとのミーティングを重ねていく。そしてサービスも含めたトータルなサポート体制で一歩一歩着実に普及を進めていった。特に難しかったのがメンテナンスの問題だった。現地の農家の知識不足もあり農業機械は適切な扱いをされていなかった。そこでクボタは、丁寧なメンテナンスの説明を心がける。その結果、故障などの問題が解決して経費が削減でき、農家の方々に喜んでいただいた。さらにクボタは、2017年に設立したケニアのKubota Kenya Limitedを拠点にアフリカの情報を収集。その分析をもとに、農業機械の販売網の構築を進めている。加えて各地で耕うん機のデモンストレーションを行い、機械化の普及に努めるなど、クボタはアフリカの食料の生産性向上に貢献するとともに、豊かな暮らしのお手伝いを着実に積み重ねている。