世界的に急激な都市化が進んでいる。2018年時点で世界の都市人口は、1950年の7.5億人から42億人に増加した。これは世界人口の55%を占める数である。また、2050年までに、都市部ではさらに25億人の人口増加が予想されており、その多くがアジアとアフリカの増加分である※1。著しい人口増加を見せる国々では、農村部から都市部への人口移動がさらに進むことになる。増加した人口を受け入れる都市部のインフラ整備が遅れることで、結果的に貧困や衛生面での問題が生じる懸念がある。つまりアジアやアフリカをはじめ、都市化が進む国々では、社会と環境のさらなる基盤整備が喫緊の課題となっている。
クボタは世界の都市基盤整備のために1970年代から多様な小型建設機械を供給。欧州から北米、さらにアジアへと市場を拡大してきた。その中でも、ミニバックホーは誕生以来、軽量コンパクトボディにパワフルな出力、さらにオペレーターフレンドリーな機能・操作性により、さまざまな国々や地域の現場要求に高い次元で応えることで評価されてきた。
しかし、その中でも国を挙げて都市化を進め、急速な発展を遂げてきている中国の市場は、それまでクボタがミニバックホーを展開してきた欧米とは、その使用環境が大きく異なり、中国独特の故障やトラブルが報告されていた。そこで故障の原因をエンジニアが現地で直接調査した結果、判明したのは一定の部位の金属疲労だった。稼働時間はヨーロッパの2倍を超えており、24時間連続稼働などの使われ方が引き起こしたものだった。
2012年、クボタは中国に生産拠点となる久保田建機(無錫)有限公司を設立、中国で求められる製品をつくるプロジェクトをスタートさせた。その答えは何よりも耐久性、そして低燃費・低コストの実現だった。クボタは各部品について仕様や設計を見直すとともに、耐久性の追求、各部品の組み合わせなど試行錯誤を重ね、過酷といえる稼働環境に対応できる高い耐久性とコストパフォーマンスを兼ね備えたミニバックホーの開発に成功。クボタの中国での取り組みの集大成といえる製品となった。
クボタは、これからも続く中国都市の社会と環境の基盤整備はもちろん、人口増加や経済成長の継続が予測されているアジア、アフリカ、中東など、さまざまな国や地域の現場ニーズに最適な小型建設機械の開発・供給を通じ、豊かで快適な生活環境の創造と再生のためのインフラ整備に貢献していく。