フランスでは、歴史的な旧市街地の中に高層建造物が建つなど、1960年代から都市開発の波が押し寄せていた。そんな中、フランスでは景観保全の起源ともいえるマルロー法が成立、歴史的な建造物や美しい景観を保護する取り組みが始まった。
そんなフランスをはじめ欧州には、細く入り組んだ石畳や、中世の建造物をそのまま残した美しい街並みが数々あったが、これらは概して振動に弱く、景観を保全するための工事の際にも大型の建設機械は容易に使えなかった。景観を保護し、都市基盤整備を進めるために欧州が求めたのは、街並みや建造物を傷つけることのない、安全でオペレーターや環境に優しい小型の建設機械だった。
クボタはそのような要求に高い次元で応えたMBKH10 を開発、1978年にはイギリスへ出荷、瞬く間に欧州を席巻していった。その快進撃を支えたのは欧州に設立した販売拠点だった。1974年、クボタは欧州最初のトラクタ・建設機械・エンジンの販売会社、Kubota Europe S.A.S.(KE)を皮切りに、1988年にはドイツに生産と販売の拠点であるKubota Baumaschinen GmbH(KBM)を設立、活性化する欧州建設機械市場で事業領域の拡大を図っていった。
また当時から、欧州では排出ガスにおける環境汚染が課題となっており、環境保全は景観保全や都市基盤整備と並ぶ重要なテーマだった。環境先進国フランスを含むEU(欧州連合)では、かねてより排出ガスに対して厳しい規制を課していた。そこでクボタは世界的な環境保全への対応をいっそう進め、1993年にはエンジンメーカーで世界初の排出ガス規制認証を取得。以来、各国の厳しい排ガス規制をクリアするクリーンエンジンを搭載したクボタの小型建建設機械は、操作性だけでなく世界レベルで厳しくなる騒音対策や環境保全にも対応した機械として選ばれ、2002年、ついに6tクラスのミニバックホーで販売台数世界トップに躍り出た。クボタの小型建設機械は、今後ますます厳しくなる環境規制や、より高い次元で求められる環境性能に電動化や自動化で応え、トップランナーとして走り続ける。