GLOBAL INDEX
Kubota
[命の源・水のハンドリング]
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「水のエンジニアリング」で未来を拓く
――益本 康男社長インタビュー

海水淡水化用ポンプの開発へ



海水淡水化装置用ポンプ設備(アブダビ)

——その海水の淡水化事業についてはどんなビジョンをお持ちですか?
 クボタが海水淡水化に取り組む足掛りになるのは、残念ながらポンプ事業(⇒クボタ>ポンプ事業部)だけですが、現状ではRO膜(注2)用の大容量、高揚程のポンプは作っていません。他社に先行されているわけですが、2年から3年以内にわが社も開発する方向で考えています。もちろん性能面で他社の先発製品のスペックを上回るものをめざします。後発が製品企画で負けたら、話になりませんから。コストで勝とうと思えば戦略的にいろいろ工夫できますが、何といってもポンプの機能で勝つことが重要です。RO膜に関しては、独自開発が難しいので提携を考えています。もし、ハイスペックな海水淡水化用ポンプを開発できれば、クボタには水を「配る」技術も、一度使われた水をきれいにして「再利用」する技術もあるので一連の事業としてさらに幅広く展開できるのではないでしょうか(⇒GLOBAL INDEX「地域特性と新技術のクロスオーバー」)。

——海外で水事業を展開する上での課題はどのような点にあるのでしょう。
 まずコストの問題があります。一つひとつの機器は技術面でも耐久性の面でも大変優れていますが、メイド・イン・ジャパンのコストだから当然価格は高くなってしまいます。その際、日本仕様をそのまま持って行くのではなく、機器の一つひとつをコストダウンしていかなければいけません。不必要なものを切り捨てて、日本とは違う「海外向け仕様」が求められます。もちろん、コストを落とすからといって品質まで落としてしまうわけにはいきませんから、たいへんな努力と工夫が必要になってきます。
 例えば技術的な問題でいうと、日本の下水処理は行政の様々な規制がありますから、流れてくる汚水の成分が大きく変わることはなく、あらかじめ分かっているのでやりやすい。しかし、海外では汚水の成分がどうなっているのか、安定しているのかを見極めなければいけません。処理の入口となるところのスペック、条件が決まっているとやりやすいのですが、そこが不安定だとそれぞれの機器を設計からやり直さなければいけないことになりますから。それに、地域によっては高度な技術者でないと扱えないような機器でなく、現地の人が使える水準の機器を作ることも重要な要素です(⇒GLOBAL INDEX「水処理技術のアプリケーション」)。

納入したポンプのメンテナンス方法を現地スタッフに指導するクボタ社員(カンボジア・シェムリアップ)

(注2)
RO(リバース・オスモシス)膜とは逆浸透膜のこと。もともと海水の淡水化を目的として開発された分離膜で、水は通すが微粒子やイオン物質などを通過させない性質を持ち、高い水圧をかけて水をろ過させる。